KTM・1290スーパーアドベンチャーR|楽しいけれど! 身長168cmだと足つきが少しキビしい。

KTMのフラッグシップとして君臨してきた最高峰モデルがこのスーパーアドベンチャー Rである。写真の試乗車は2021年型だが、この3月から2022年イヤーモデルが新投入されている。細かなデカール処理やブランドロゴ表記に若干の違いはあるが、基本的に大きな変更は無い。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●KTM Japan 株式会社

ディテール解説

シリーズ一連のスラントしたフロントマスク。“S”仕様には存在するレーダーセンサーが装備されていない関係で、中央の凹みが残るデザインには違和感を覚える。LEDライトにはコーナリングライトも装備されている。

21インチのスポークホイールにはブリヂストン製バトラックス・アドベンチャークロスを履く。フロントフォークはφ48mmの倒立式。フォークカバーも一体デザインのアンダーフェンダーが採用されているが、タイヤとのクリアランスはそれなりに空けられている。フローティングマウントされたダブルディスクローターはφ320mm。ブレンボ製対向4ピストンの油圧キャリパーがラジアルマウントされている。

フレームとエンジン部にボルトオンされたパイプ製サイドガードで、堅牢なイメージが高まっている。アンダーガードも含めて、いかにも“オフ”を行く本格派の雰囲気が漂う。

二つの触媒コンバーターを経てステンレス鋼製のサイドアップマフラーに導かれる。大容量を稼ぐために縦に長い楕円断面形状が採用されている。

白いコイルスプリングのモノショックはWP製。黒いダイヤルを回すとプリロード調節できる。標準設定は左(反時計)に回しきってから、右へ5回転が舗装路標準。オフロード標準は右へ1回転だ。この他、伸び圧それぞれのダンパー調節もできる。

φ267mmディスクローターはフローティングマウントされている。油圧キャリパーは2ピストンのピンスライド式。大きなブロックパターンが印象的なタイヤはブリヂストン製のバトラックスADVENTURECROSSを履く。

Sよりはコンパクトなスクリーンを装備。スタンディング等、ライダーの動き(体重移動)を邪魔しないデザインが採用されている。ハンドルは高強度アルミパイプ製のワイドなテーパードタイプ。取り付け位置が調節可能。コンパクトなスクリーンは55mmの高さ調節ができる。給油口直前にスマホホルダーが装備されている。

ハンドル左側スイッチには基本的に6つの機能が集約されている。下から順にホーン、ウインカー、メニュー&縦横キー、左上はリターン、右側はクルーズコントロールスイッチ。左下にはそのSET(−)&RES(+)キー。そして向こう側には人差し指で扱うライトスイッチがある。
右側スイッチは、下から順にエンジンキルスイッチ兼始動用スターター、上はイグニッションスイッチ。さらに上の赤いのはハザード。そして右端にあるのが、様々なメニューへクィックアクセスを可能とする、コンビネーションスイッチ。左右スイッチは内部照明付き。

多彩な機能を集約したコンビネーション・インストルメントパネルは、7インチサイズのTFTカラーディスプレイを搭載。取り付け角度が調整できる。またスマホとの連携も可能。

前後方向への体重移動がしやすく、スマートにデザインされた前後一体式のダブルシート。
左脇サイドカバー後部のシートスイッチを押すと解錠されて、一体シートは簡単に脱着できる。

コンパクトにデザインされたLED式テールランプ&ウインカー。転倒時でもダメージの少ない配慮が感じられる。

主要諸元

車名:KTM ・1290 SUPER ADVENTURE R
軸距(mm):1,578
最低地上高(mm):242
シート高(mm):880
車両重量(kg):228(半乾燥)
乾燥重量(kg):221
乗車定員(人):2
燃料消費率(L/100km):5.7(17.5km/L)

エンジン型式:水冷4ストローク 75°V型2気筒
動弁型式:DOHC 4バルブ チェーン駆動
排気量(㎤):1,301
内径×行程(mm):108×71
圧縮比:13.1:1
最高出力(kW[PS]/rpm):118[160]/9,000
最大トルク(N・m /rpm):138 /6,500
始動方式:セルフ式
バッテリー:YTZ14S(MF 12V 11.2Ah)
燃料供給装置形式:スロットルボディφ38mm。 Keihin製電子制御燃料噴射式@@
点火装置形式:非接触制御電子式点火(ツインプラグ式)
燃料タンク容量(L):約23.0(含む予備約5L)
潤滑方式:ドライサンプ(3ポンプ式)
潤滑油量(L):3.6

クラッチ形式:湿式多板式(油圧操作式パワーアシストスリッパークラッチ)
変速機形式:常時噛合式6速
変速比:
 1速:2.917(12:35)
 2速:2.133(15:32)
 3速:1.667(18:30)
 4速:1.350(20:27)
 5速:1.125(24:27)
 6速:0.914(35:32)
1次減速比:1.900(40:76)
2次減速比:2.471(17:42)

キャスター角(度):25.3°
タイヤ(前/後):90/90-21 M/C 54V TL / 150/70ZR-18 M/C 70W TL(チューブレス)
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式 / スイングアーム式
サスペンションストローク(前/後mm):220/220
フレーム形式:クロムモリブデン鋼管製トレリスフレーム。パウダーコート塗装

生産国:オーストリア

試乗後の一言!

一級のポテンシャル。本物思考を満足させる頂点のオフロード・アドベンチャー。

キーワードで検索する

著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…