43年間ありがとう、そしてさようなら

ヤマハSR400は20世紀の傑作車。令和時代にクラシックバイクを味わえる、希少な存在だ!

ビッグシングルトレール〝XT500〟で得たノウハウをオンロードに応用し、1978年に登場したスポーツモデルがヤマハのSR400/500だ。500については1999年に生産を終了。そして400も2021年3月15日に発売されたファイナルエディションをもって43年の歴史に幕を閉じた。昭和、平成、令和と生き長らえたSR、その魅力にあらためて迫る。

REPORT●大屋雄一(OYA Yuichi)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ライディングポジション&足着き性(175cm/64kg)

シングルらしいスリムなタンクだが、1984年以前はさらに狭く、通称〝ナロータンク〟と呼ばれている。ステップ位置は1985年モデルで後退し、1996年に再び前方に戻されている。
シート高は790mm。車体がスリムなことに加えて、乗車すると前後サスとシートのウレタンがほどよく沈み込むので、数値から受ける印象以上に足着き性は優秀で、安心感が高い。

ディテール解説

XT500のボアはそのままに、ストロークを84mmから67.2mmに短縮するなどして誕生したSR400の399cc空冷SOHC2バルブ単気筒。当初は強制開閉のVMキャブだったが、1988年に負圧式のBST34に。2001年のBSRキャブを経て、2010年にFI化。ミッションは初代から5段のまま。
2019年モデルで追加されたキャニスターは、蒸発ガソリンの大気放出を制限するためのものだ。セミダブルクレードルフレームはドライサンプ式エンジンのオイルタンクを兼ねており、クランクケース真下のほかにダウンチューブにもドレンボルトが設けられている。
初代はフロント19インチで、1979年にキャスト化されるも1982年に限定でワイヤースポークが復活し、1983年には再びレギュラー化。1985年には18インチに。フロントブレーキは1984年以前もシングルディスクだったが左側に装着されていた。再ディスク化は2001年。
リヤショックは5段階のプリロード調整が可能で、標準設定は最弱の1段目。フロントフォークは1983年のセミエア化(1994年に廃止)や1985年のブーツ追加など、時代ごとに仕様が変わってきたが、リヤショックの主なアナウンスは2001年のセッティング変更程度だ。
ネオクラシックモデルでは省略されがちなタコメーターを装備していることからも、これがロードスポーツであることが分かろう。文字盤がホワイトになったのは1985年からだ。
当初、400はテールカバーあり、500はなしという住み分けがされていたが、後に統一。規制緩和により1994年にシートベルトが省略されるも、この年のカタログは1993年を継続。
右サイドカバー下部のわずかなスペースを利用して作られた車載工具の収納スペース。ちなみに左サイドカバーの中には燃料ポンプが収まる。キャブレター時代はエアクリーナーボックスを撤去する〝スカチューン〟が流行ったが、FI仕様ではそれが不可能に。
ワイズギアが2021年8月に発表したクラフトビルド外装セット。燃料タンク、サイドカバー、シート表皮、テールカバーのセットで、2018年に発売された40周年記念モデルよりも鮮やかな仕上がりとなっている。2010年以降のFI仕様に対応し、価格は148,000円だ。

SR400ファイナルエディション 主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 2BL-RH16J/H342E
全長/全幅/全高 2,085mm/750mm/1,100mm
シート高 790mm
軸間距離 1,410mm
最低地上高 130mm
車両重量 175kg
燃料消費率
 国土交通省届出値定地燃費値 40.7km/L(60Km/h)2名乗車時
 WMTCモード値 29.7km/L(クラス2, サブクラス2-2) 1名乗車時
原動機種類 空冷・4ストローク・SOHC・2バルブ
気筒数配列 単気筒
総排気量 399cm3
内径×行程 87.0mm×67.2mm
圧縮比 8.5:1
最高出力 18kW(24PS)/6,500r/min
最大トルク 28N・m(2.9kgf・m)/3,000r/min
始動方式 キック式
潤滑方式 ドライサンプ
エンジンオイル容量 2.40L
燃料タンク容量 12L(無鉛レギュラーガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 2.5Ah(10HR)/GT4B-5
1次減速比/2次減速比 2.566/2.947
クラッチ形式 湿式, 多板
変速装置/変速方式 常時噛合式5速/リターン式
変速比 1速:2.357 2速:1.555 3速:1.190 4速:0.916 5速:0.777
フレーム形式 セミダブルクレードル
キャスター/トレール 27°40′/111mm
タイヤサイズ(前/後) 90/100-18M/C 54S(チューブタイプ)/110/90-18M/C 61S(チューブタイプ)
制動装置形式(前/後) 油圧式シングルディスクブレーキ/機械式リーディングトレーリングドラムブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ ハロゲンバルブ/12V, 60/55W×1
乗車定員 2名

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著者プロフィール

大屋雄一 近影

大屋雄一

短大卒業と同時に二輪雑誌業界へ飛び込んで早30年以上。1996年にフリーランス宣言をしたモーターサイクル…