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交換式バッテリーの有用性を知ると、バイク以外での活用の道が開けてくる
スマホの普及とともに、モバイルバッテリーの存在が我々の生活には欠かせない存在になった。手頃なUSB規格の小型バッテリーはもちろん、AC100V電源はアウトドアや災害対策にも有効で、大容量のリチウムイオンバッテリーも人気となっている。電動工具の普及から、そのバッテリーを活用する製品も数多くあり、気がつけば多種多様なリチウムイオンバッテリーに囲まれて生活しているのだ。そこで「もうちょっと統一規格で有効に利用したい」と思うのは自然な流れだろう。
これから拡大する電動モビリティ社会において、このような事態は普及の弊害になってしまう! そう考えた国内オートバイ4メーカーは、すでに電動オートバイ用バッテリーの規格を統一。いち早く対応したのはホンダの業務用スクーターだったが、一般向けではなかったことから、それほど社会的なインパクトは感じられなかった。それが、今回の「EM1e:」を一般販売することで大反響になる可能性がある。使用する「モバイルパワーパックe:」は汎用蓄電池として、私たちの生活をもっとエコで便利に変えてくれるからだ。この「モバイルパワーパックe:」はバイク以外にも、専用の機器にセットすれば汎用の100V外部電源として活躍。家庭用の蓄電システムにも利用でき、ソーラー発電と併用すれば日々の電気代の節約にも貢献する。単なる電動スクーターの発売というより、もっと有効な電源活用の手段として「EM1e:」のある生活が始まろうとしているのだ。
原付一種登録で航続距離は40km以上、都内を中心に「ガチャコ」サービスにも対応
肝心な車両について、まだ詳細は未発表ながらわかる範囲で見ていこう。公開された情報によると、登録は原付一種で気になる航続距離は1充電40km以上。最高速度は約45km/hと制限速度+αは確保し、駆動はインホイールモーターを採用する。おかげで車体サイズはかなりコンパクトだ。ホイールサイズはフロント12インチ/リヤ10インチで操安性も良さそう。灯火類はフルLEDでオシャレなルックスに貢献する。フロントポケット内にはUSB電源まで装備していて実用的だ。駆動用のバッテリーはシート下に収納する「モバイルパワーパックe:」1個で、バッテリーシェアサービス「ガチャコ」の規格に対応。ただ、インフラ整備が整っていないことから、家庭での充電を前提に販売をスタートするようだ。イメージとしては電動アシスト自転車のように、バッテリーを外して自宅に持ち帰って充電するのだろう。バッテリー重量は約10kgと重いが、26.1Ahという大容量ならば納得。米袋を運ぶと思えば、持てない重さではない。ちなみに充電時間は、すでに市販される業務用電動車両「ジャイロe:」の充電データで、ゼロから満充電まで約4時間。充電器の仕様変更があれば、多少の増減があるかもしれない。なお、バッテリー単品は8万8000円という価格だけに「EM1e:」の販売価格がどうなるのか気になるところだ。