スズキ・Vストローム800DEのイイトコロ|ミドルクラスながら、その存在感は大きく立派。しかもエンジンがイイ!

昨年11月に開催されたEICMA 2022で初公開された新型V-STROM(ブイストローム)800 DEは、360台の年間販売目標を掲げ3月24日に国内発売された。従来のVストローム650 XTと同1050 DE(新型)の間に追加された形だが、今回は並列ツインエンジンを新開発しての投入に驚かされる。

REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 スズキ

ディテール解説

縦に積み重ねられた前照灯。上はLEDポジションランプ。ツインヘッドランプもLED式で、下がハイビーム。ノーズを迫り出させたスズキらしいデザインが印象的。

ゴールドのアルミリムをマッチしたスポークホイールは本格的な21インチサイズを採用。装着タイヤはダッリップ製TRAILMAX MIXTOUR。シングルのフローティグディスクローターには、NISSIN製2ピストンのピンスライド式油圧キャリパーが装備されている。

ダイヤモンドフレームにリジッドマウントされているのは、新開発されたDOHC 4バルブの水冷直(並)列2気筒775ccエンジン。

右サイドにアップされたマフラーは2into1方式。左右エキゾーストパイプはエンジン下部で集合。排気は2段式触媒コンバーターを経て後部サイレンサーへ導かれる。

ボトムリンク式モノショックを備えたスイングアーム式リアサスペンションを装備。右サイドにダイヤル式 プリロードアジャスターが、ショックダンパー下部には伸び側の減衰調節を装備。ホイールトラベルで212mmのストロークを稼ぎ出している。

リアのシングルディスクブレーキには、NISSIN製1ピストンのピンスライド式油圧キャリパーを装備。ABSの介入レベルは2つのモードから選択できる他、リアはOFFすることもできる。

ワイドなパイプバーハンドルはテーパードタイプ。カバー黒いナックルカバーが標準装備されている。コンパクトなウインドスクリーンは、工具を使用して高さが3段階に調節できる。

左側のハンドルスイッチは、下から順にホーン、ウインカー、黒いモード、グレーのセレクター、向こう側に人指し指で扱うディマー&パッシングスイッチ。
右側ハンドルスイッチはふたつ。下は横スライド式ハザードスイッチ。上の赤いのはエンジンキルスイッチ兼始動用スタータースイッチ。

5インチフルカラーTFTマルチインフォメーションディスプレイを装備。写真はデイモード。夜間は表示が白黒反転する。両脇にレイアウトされた各種警告等も含め、表示内容は多彩だ。

メーター左脇にはには、USB電源ソケットが標準装備されている。
アップ/ダウン双方向で機能するクイックシフトも標準装備。
シートは前後一体の脱着式。車体左サイドのキー操作でロック解除できる。
後部に若干のスペースがあり、ETC機器(オプション)が収納できる。

ガッチリしたリアキャリアは標準装備。ライセンスプレートランプは唯一12V5Wの電球式。クリアレンズを採用したテールとウインカーランプはLED式だ。

主要諸元

型式:8BL-EM1BA
全長 / 全幅 / 全高(mm):2,345 / 975 / 1,310
ホイールベース(mm):1570 
最低地上高(mm):220
シート高(mm):855
装備重量(kg):230
燃料消費率(km/L):定地32.4 (60km/h)2名乗車時
WMTCモード値(km/L):22.6km/L 1名乗車時
最小回転半径(m):2.7

エンジン型式:FRA1/水冷・4サイクル・2気筒 
弁方式:DOHC・4バルブ
総排気量(㎠):775
内径×行程(mm):84.0 × 70.0
圧縮比:12.8:1
最高出力(kW):60〈82PS〉/8,500rpm
最大トルク(N・m):76〈7.7kgf・m〉/6,800rpm
燃料供給装置:フューエルインジェクションシステム
始動方式:セルフ式
点火方式:フルトランジスタ式
バッテリー:FTX9-BS(12V-8.0Ah)
潤滑方式:圧送式ウェットサンプ
潤滑油容量(L):3.9
燃料タンク容量(L):20
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
 1速:3.071
 2速:2.200
 3速:1.700
 4速:1.416
 5速:1.230
 6速:1.107
減速比(1次 / 2次):1.675 / 2.941

フレーム形式:ダイヤモンド
キャスター(度):28
トレール(mm):114
ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスク(ABS)/油圧式シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ(前/後):90/90-21 M/C 54H チューブタイプ/150/70R17 M/C 69H チューブタイプ
舵取り角左右(度):40
乗車定員:2名

試乗後の一言!

1Lバイク並のスケール感には圧倒させられてしまうが、堂々の乗り味が楽しめる。

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著者プロフィール

近田 茂 近影

近田 茂

1953年東京生まれ。1976年日本大学法学部卒業、株式会社三栄書房(現・三栄)に入社しモト・ライダー誌の…