2023年春のモーターサイクルショーで発売が発表されたスズキ・バーグマン ストリート125EX。すでに新車販売が開始されているため、ご存じだったり納車されたという人もいることだろう。ヨーロッパでは一足早い2022年秋に発表されていたため、国内への導入も予想されたわけだが、同時期に日本では新型アドレス125とアヴェニス125が発売されたため、バーグマンは見送られたものと思われていた。アドレスとアヴェニスについては過去の記事でも紹介しているので、当記事を読む前に一読すると理解が深まるはずだ。
アドレスが過去のモデルから打って変わった柔和なスタイルになったことに対し、アヴェニスは一層スポーティかつアグレッシブなスタイルに変身。この2台に注目が集まりバーグマンについては海外向けだけに止まると予想されていたのだ。確かにバーグマン125はヨーロッパ市場で発売されているし、インド市場でもバーグマン ストリートが発売されている。だから日本ではアドレスとアヴェニスだけしか発売されないものと思われていたのだ。
ところが2023年春のモーターサイクルショーでバーグマン125の発売が発表されると知り、モトチャンプでも大きく取り上げることとなった。そこで今回はユーチューブで動画を無料配信しているモトチャンプTVの中から、「スズキ初のアイドリングストップに大注目!」をダイジェストにまとめて、新型バーグマン ストリート125EXについて振り返りたい。
アドレス・アヴェニスの兄弟車として設計されているため、アンダーボーン式フレームに4ストローク124cc単気筒エンジンを搭載している点は同じ。だがアドレスやアヴェニスがフロント12インチ・リヤ10インチのタイヤ&ホイールを採用していることに対しバーグマンでは前後とも12インチタイヤ&ホイールが採用された。これは直進安定性に優れていることを意味し、前2車よりラグジュアリーな性格を持たせたバーグマンらしさに繋がるだろう。またエンジンもスズキとして初めてアイドリングストップ機構がつく新しいSEPαに進化した。発電機がスターターモーターを兼ねる設計とされたサイレントスターターシステムを採用することで、スタート時の静粛性とともにアイドリングストップが容易になったのだ。
アドレス・アヴェニスともにホイールベースが1265mmなのに対しバーグマンでは1290mmとロングホイールベース化されている。前後タイヤが12インチになったことも関係しているが、この違いはフロアに現れている。ステップスルー方式なのは同じだが、バーグマンでは足を前方に投げ出すことが可能なフロア形状とされた。ジャーナリストのケニー佐川がまたがってみると、着座位置からハンドルまでの距離が長いことを指摘している。これはリラックスした乗車姿勢が得られるとともに、ラグジュアリー性にも貢献している。
カウリングの裏には左右にポケットが装備され、奥行きの深さはもちろんだがカバーを備える左ポケット内にはUSBソケットが用意されている。また左右ポケットの間にコンビニフックが装備され、シート下にも折りたたみ式のフックが装備されている。日常的に乗るスクーターとして不可欠な装備は全て盛り込まれていると言えよう。
前後に12インチタイヤを採用したためだろうか、シート下スペースの容量は若干少なめ。アドレスより少ないがアヴェニスとはほぼ互角の21.5リッター容量となっている。原付2種スクーターとしては標準的なサイズと言えるだろう。
バーグマン ストリート125EXは最高出力がアドレス&アヴェニスより若干落とされている。アドレス&アヴェニスが8.7psを発生することに対しバーグマンは8.3psとされているのだ。ただ最大トルクは数値も発生回転数も3車とも同じなため、加速感が明かに違うということはないはず。最高出力を落としたのは燃費性能の向上に当たられたと考えられ、同じWMTCモードでもアドレス&アヴェニスを上回る56.0km/Lを達成している。さらに燃料タンク容量も3車中最も多い5.5リッターを確保。つまりロングツーリングに最も適していると言えるのだ。
最新モデルかつ燃費性能に優れるラグジュアリー・スクーターであるバーグマン ストリート125EXは、当然兄弟車中で最も高い価格が設定された。これを高いとみるか安いとみるかは価値観次第だが、高級感あるステップスルー方式の原付2種スクーターが欲しいなら最適だろう。