特定原付、施行から1か月。この制度は改善が必要|電動キックボード

免許証必要でも、不要でも、同じナンバープレートを容認 “原付”が自転車レーンを走ってると言われかねない

特定原付は無免許で自転車専用レーンを走ることができます。一方通行など通行規制があっても、自転車と同じように免除されることがあり、免許が必要な一般原付とは違う交通ルールで走ることができます。同じ電動キックボードでも、免許が必要な一般原付としての走行性能がある場合もあります。ナンバープレートで特定原付が一見して識別できることは、同じ道路を走るほかの車両のためにも必要です。ところが、総務省は特定原付専用のナンバープレートの制度を作りましたが、従来の原付ナンバーでも容認する姿勢を見せています。なぜでしょうか。

 特定原付を見分ける識別法は、現状では4つあります。
(1)特定原付用の正方形のナンバープレートが取り付けられている
(2)前後から見える緑色の識別灯が取り付けられている
(3)「性能等確認制度」に基づく性能等確認済みシールを車体に貼付、または、「型式認定制度」に基づく型式認定番号標が車体に取り付けられている
(4)性能諸元表など性能が確認できるものを備え付けている

この中で最も簡単に特定原付を見分ける方法が、最初の正方形のナンバープレート。「特定原付」(特定小型原付)のために新しく作られた10センチ×10センチの白ナンバーです。原付バイクなどの「一般原付」のサイズが17センチ×10センチの長方形の白ナンバーですから、その違いが一目瞭然です。

ところが、7月1日からの運用では、交付する自治体の都合で、特定小型の届出なのに、一般原付のナンバープレートを交付しても問題ない、という見解が示されました。特定原付のナンバープレートの大きさなど標準仕様を考えた総務省自動車税制企画室です。税制企画室は、特定小型のナンバープレートを交付する市区町村の軽自動車税の仕組みを担当します。ここが作成した想定問答集には、こんなことが書かれています。

Q:標識交付数が僅少な市町村であっても、標識を準備する必要あるのか
A:特定原付の標識については、安全性の観点から、機体幅に収まる標識とするよう、シェアリングサービス等の事業者団体から要望があったことを踏まえ、現行の原付とは異なる標準様式をお示ししたものです。この趣旨を踏まえた対応についてご検討ください。

特定原付でもナンバープレートの交付が必要な理由は、車両の所有者が軽自動車税を負担するからです。届出が少なければ、ナンバープレートを用意する必要がないのでは、という質問を想定する感覚は、納税者には理解にしにくいことです。

法令上、現行の原付ナンバープレートで代用し続けても問題なし

総務省は特定原付の届出があっても、一般原付用の長方形ナンバープレートを交付し続けてもいい、という“抜け穴”を用意していました。同じ想定問答集にこうあります。

Q:特定の日以降、特定原付に対して、現行の原付用の標識を交付してはいけなくなることはあるか
A:特定原付の標識については、安全性の観点から、機体幅に収まる標識とするよう、シェアリングサービス等の事業者団体から要望があったことを踏まえ、現行の原付とは異なる標準様式(=10×10センチ)をお示ししたものであることから、この趣旨を踏まえ、令和5年7月1日から直ちに交付ができるよう準備をお願いいたします。ただし、同日からの交付が難しい場合にあっては、可能な限り早期に交付ができるようにご準備下さい。
 なお、法令上、特定の日以降、現行の原付用の標識を交付してはならないというわけではありません

想定問答集の中で「安全上の観点で要望があった」ことなのに、運用上はどっちを使っても差し支えないとする矛盾に満ちた記述です。さらに、可能な限り早く準備をするようにと言いつつ、一方では、一般原付用のナンバープレートはずっと使えると説明しています。

結果、全国1724の市区町村のうち、250市町村で、改正道交法が施行される7月1日までに、特定原付用のナンバープレートが準備できませんでした。

電動キックボードが走っていない地方で、専用のナンバープレートを用意するのは税金の無駄遣い、と思う人もいるかもしれません。しかし、電動キックボードの走行が珍しくない都市部でも一般原付のナンバープレートを許しています。

シェアサービス事業者の電動キックボードの中で、改正道交法が施行される以前に、小型特殊自動車(※特定小型ではない)扱いで走ることのできた車両は、、一般原付用のナンバープレート(17×10センチ)が付いています。これらの車両は、そのままナンバープレートを交換しなくても特定小型として走ることが可能で、交換の必要がないのです。

シェアサービスの小型特殊自動車扱いだった車両(原付車両)は、ナンバープレートの付け替えなしで「特定原付」扱いにスライドした

違う車種のナンバープレートを付けることができる、という抜け穴は、想像以上に大きいものです。なぜ、こんなポンコツな制度を作ってしまったのか。総務省にとってのナンバープレートは、軽自動車税を課税できれば、それでいいということなのでしょうか。

特定原付の識別法とされている問題点を、他の記事でも検証します。

キーワードで検索する

著者プロフィール

中島みなみ 近影

中島みなみ