キッザニアは楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる「こどもが主役の街」です。こども達は大人のようにいろいろな仕事やサービスを体験することができます。そんな、キッザニアのクルマに特化した街が、4年前の東京モーターショー会場に誕生しました。そして、名称変更された今回の日本モビリティショー2023の会場でも継続されました。
筆者はすでに古希を迎えたお爺ちゃんですが、こども時代にこれがあったらどんなに楽しかったただろうかと羨ましくてなりません。ということで早速取材してきました。
『ウワーッ、子供たちの目が好奇心に満ちて溢れている』。それだけではありません。よく見ると、見守る親御さんの目がそれ以上に輝いているのです。それもそのはず内容がすこぶる濃いのです。
トヨタの研究所では燃料電池車の模型を使い、水素を生成して仕上げはMIRAIを走らせるのです。「ハイブリッドだ、プラグインだ、燃料電池だ」と新時代を告げるカーボンニュートラル提案が矢継ぎ早に提案されて、分かったようで実は消化不足気味だった原理を、こども達がデスクトップで体験します。仲間になってくれる専門家のお兄さんやお姉さんとともに生成した水素をステーション経由でクルマに充填。すると燃料電池車が走り始めます。こども達も保護者も興味津々です。
その姿を眺めていると60年前にプラモデルのマツダR360をモーターライズして走らせた小学生時代の記憶が甦ります。あの時のエネルギー源はマンガン乾電池でした。こんな最新技術を小学生時代に体験するとどんなおとなに成長していくのでしょうか? 将来が楽しみでなりません。
この最先端技術研究所の隣には、クルマ好きのオジサンなら誰もが覗きたい試作室があります。ベールを纏った試作車は今もそこで職人の手により造形されています。そして、その部屋の中でもとびきりの匠がこども達に板金を直伝します。持ち方、押さえ方、そして叩き方。手にした板が立体に変化していきます。『ウーッ、小学生に戻りたい』誰だって入門したくなる試作室です。日本の職人の技が伝承されていきます。
ダイハツが提供する仕事場はエンジン組み付けルームです。こども達はコンロッドをクランクに取り付けます。オイルパン組み付け前の、逆さまにした3気筒エンジンのクランクにキャップをはめてボルト留めします。そして、組み上がったエンジンのピストンを上下させ、その力がコンロッドとクランクを介し回転運動に変換されるのを確認します。
興味が湧いてくるとどうなっているのか気にかかるクルマの裏側。でも、目にする機会は滅多にありません。それを体験させてくれるのが日本自動車販売協会連合会。こども心(パパ心?)をよく掴んでいます。誰もが一度はやってみたいあの行為。ジャッキアップされたクルマの裏側にクリーパーに乗って滑り込みます。移動しながらフロントからリアエンドまで、配管されたエキゾーストパイプなどクルマの裏側をベテランメカニックのお兄さんの解説を聴きながら点検します。
なかでもマニアックなのが日産です。なんと、GT-Rのエンジンのカムシャフトとバルブのクリアランスをシックネスゲージで測定するのです。ここまでくると、どんなにクルマ好きのパパでも実際にやったことがある人は少ないでしょう。基準値通りのクリアランスをシックネスゲージを通しながらスリスリしているこども達が羨ましく思えます。手に伝わる適正値の感触はやってみないとわからない。思わず『それ、私にもやらせて下さい』と声が出そうになるパパもいるハズです。
今回の変わり種としては、サステナブルイベント協議会が出展した「イベントデザイナーの仕事」。ここでは、手塩にかけたモビリティを来場者にいかに見やすく、また見栄え良く展示するかをクリエイトします。
その他、出展は三菱、マツダ、ホンダ、スバル。各メーカーがこども達のために真面目に考え、趣向を凝らした職場を提供していました。どのブースもやりごたえ、見応えたっぷりの充実の出来栄えでした。
●開催期間 11月5日(日)まで ●対象者 小学校1〜6年(要予約) 未就学児童(年少、年中、年長児) *すべて要保護者同伴 ●実施時間 平日/土曜祝日:09:45~18:30 (※全11枠) 日曜:09:45~17:30 (※全10枠) 1プログラム40分 (体験時間約30分+準備/入れ替え時間約10分) ●参加費 平日500円(税込)、土日祝1,000円(税込) ※別途JMS2023入場チケット(高校生以下無料)が必要。 ※3歳以下が対象の未就学児プログラムは無料で参加可能。 ●集合場所 東京ビッグサイト 南展示棟 Out of KidZania in JMS 2023 総合受付 ●予約方法 専用サイトより申し込み(先着順) ※事前Web予約の他に、当日、会場のみで行う予約枠も一定数あり。