画期的フランス車「シトロエン C6」と「ルノー アヴァンタイム」

もう一度乗りたいフランス車「シトロエン C6」と今回はもう1台【今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?20台目】

最近クーペスタイルの、ちゃんとトランクのあるセダンが増えてきたが、「シトロエン C6」は今から約20年前に出たいわば先駆車である。
最近クーペスタイルの、ちゃんとトランクのあるセダンが増えてきたが、「シトロエン C6」は今から約20年前に出たいわば先駆車である。
クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。第20回はどちらも捨てがたい2台のフランス車を紹介する。

CITROËN C6

フランス車はちょっと変わっている?

シトロエンの持ち味はもちろん乗り心地にあるのだけれど、高速道路が特に素晴らしい。

フランス車好きは変態だ。日本のクルマ好きはよくそんなふうにいう。そして当のフランス車好きはそれを褒め言葉だと思っている。違うと思うけれど。

いずれにしてもフランスでフランス車に乗っているフランスの人にとっては、失礼千万な話でしかないと思う。俺たちはみんな変態なのか、ええ?(マァ、そうやんって言いたくなることはフランスに行けばよくあるのだけれど)。そうか、フランスそのものがちょいちょい変わっているから、ちょいちょい変わったクルマが出てくるのか。クルマは現代人の生活に密着するツールゆえ、その土地の風土や歴史、文化に合った形で進化する。ワインと同様にテロワールで語ることができる。そう考えればそもそもちょっと変わったフランスにちょっと変わったクルマが現れたとて不思議でもなんでもない。

その極め付けの組み合わせを今回はオススメしたい。2台とも私が今、本当に欲しいと思うフランス車だし、うち1台に至っては過去に新車で買った経験もあった。それくらい、いいクルマで、今はもうそんなに刺さるフランス車が少なくなったから、ちょっと前のモデルでももう一度欲しいと思うわけだ。そう、フランス車もまただんだんフツーになってきた。あかんなぁ、グローバル。

乗り味がいいから結構走っている個体が多い

独創的なエクステリアもいいが、著者がかつて所有したクリーム内装もいい。

1台目はもう一度欲しい方で「シトロエン C6」。今頃になってかっこいいセダンとか既存のセダン概念をぶち壊すとか言ってクーペスタイルの、けれどもちゃんとトランクのあるセダンが増えてきたけれど、C6あたりは今から約20年前に出たいわば先駆車だ。

私は当時、ひと目惚れした。個性があるとかユニークだとかありきたりの言葉では修飾できない存在の強さがあった。国際試乗会は確かシャンパーニュで行われた。シャトーかなんかでランチタイムだったのに(試乗中だったので)シャンパンを飲めなかったことが恨めしかったが、それでもクルマの乗り味にも大いにひかれた。そして買うと宣言した。

買ったのは茶色にクリーム内装という洒落たコンビネーションで、秋から冬にかけて最高のサルーンだった。シトロエンの持ち味はもちろん乗り心地にあるのだけれど、高速道路が特に素晴らしい。そのことを私はエグザンティアやXMで知っていた。エグザンティアは編集部にあったし、XMは所有したこともある。

乗り味がいいからだろう。カーセンサーで検索すると5万km以上走った個体ばかり。それでも200万円以上のプライスタグをつけている。400万円以上という売り物もあって、こちらは日本未輸入のディーゼルターボだ。フランス人をさらに気取ってマニュアルで乗ってみたい。まぁ、現実的には130万円くらいで買える7万kmあたりの個体が狙い目だろう。

3.5リッターV6ハイブリッドを搭載するLC500h。

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Renault Avantime

代わるもののないミニバン

もう1台は「ルノー アヴァンタイム」だ。こちらは正規輸入がたった200台ちょいだったこともあって、流通台数は極端に少なく、原稿を書いている時点ではカーセンサーに4台しかなかった。それに、こいつも乗り味がいいので距離の伸びている個体が多い。いや、乗り換えようにもこれに代わるモデルがなくて、ずるずる長い付き合いになってしまったというユーザーが多かったのか。それにしてもキテレツな2ドアミニバンである。確か日本導入時には横綱の愛車としても有名になった。でかいドアは確かに横綱級だ。

アヴァンタイムには印象的な思い出がある。21世紀になってまもなく、私はパリ〜モナコで開催されたスーパーカーラリーに参戦する友人の応援でCDG(シャルル・ド・ゴール空港)に降り立った。借りていたレンタカーはごく普通のルノーだったけれど、窓口で数万円追加すればアヴァンタイムを貸せるとスタッフが宣う。長い距離を走るので変わったクルマの方がいいか、という軽い気持ちでアヴァンタイムを借りたらこれが大正解だった。なんとスーパーカーラリーの参加者と最後まで間違えられたのだ! サーキットまで入れられた時はドギマギしたけれど。

というわけで、シトロエン C6とルノー アヴァンタイムは、歴史的にみてもフランス車の特殊性を表現するいいサンプルだと思う。セダンとミニバン、いずれもフツーの実用車なのに、そのスタイルがぶっ飛んでいる。しかも乗り味もチョー優秀となれば、乗っておいて損はない。

最後のM3クーペ。これ以降、M3といえば4ドアセダンを指し、2ドアはM4になった。そして、最後の自然吸気M3でもある。

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西川 淳