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BMW M4 × TOYOTA SUPRA RZ
サイズも重さも大きく異なる




2024年7月11日に登場した「BMW M4 Competition M xDrive クーペ」は、車名にCompetitionが冠されていることからも読み取れるように、サーキットでより高いパフォーマンスを発揮できるマシンとして開発されている。
「トヨタ スープラ RZ」はラインナップの最高峰モデルだが、M4ほど尖ってはいない。その証拠に、同じ3.0リッター直6ツインターボエンジンを搭載していてもM4のそれとは別物なのだ。M4のエンジンがモータースポーツ直系のBMW M社が開発した「S58B30A」型なのに対し、スープラはBMWの通常モデルに搭載される「B58B30B」型となる。前者はツインターボ、後者はシングルターボという違いもある。
さらにボディを比較してみると、同じクーペでもスープラは2シーターなのに対し、M4は5人乗りだ。そのため、ボディは必然的にM4のほうが大きくなる。その影響はボディデザインにも現れている。スープラはロングノーズ・ショートデッキのピュアスポーツ的な雰囲気があるが、M4はキャビンが大きい分、GTカー的なプロポーションを持つ。
車重もM4の方が重いが、タイヤサイズを太くしたり、四輪駆動化したりと、ボディの大きさ・重さをカバーするような装備や仕様が散見される。スープラはM4ほどスパルタンな仕様ではないが、車重1500kg強という軽さは、M4に対して十分にアドバンテージがあるといえるだろう。
BMW M4 Competition M xDrive クーペ
ボディサイズ=全長4805mm×全幅1885mm×全高1400mm
ホイールベース=2855mm
車両重量=1790kg
タイヤサイズ=275/35R19(前)/ 285/30R20(後)
トヨタ スープラ RZ
ボディサイズ=全長4380mm×全幅1865mm×全高1295mm
ホイールベース=2470mm
車両重量=1530kg
タイヤサイズ=255/35ZR19(前)/ 275/35ZR19(後)
重く大きいボディを引っ張るチューニングエンジン




実はスープラとM4は親戚関係にある。現行型のスープラは「BMW Z4」と兄弟関係にあり、同じエンジンとシャシーを使用しているのだ。
だが、エンジンのスペックを比較してみると、ここでもスープラとM4の違いが見て取れる。いってみれば、スープラのエンジンはノーマルでM4のそれはチューニングエンジンだ。大きく重いボディを速く動かすためにはパワーとトルクの増強が不可欠であり、そのスペックを余すことなく路面に伝えるのなら、四輪駆動化するのが最適解といえる。それを実践しているのがM4だ。
一方のスープラはコンパクトで軽い、そのピュアな姿に価値があるといえよう。パワーもトルクもM4に劣るが、後輪駆動の楽しさは絶大だ。さらにいうなら、スープラには3ペダル式の6速MT仕様も用意されている。
BMW M4 Competition M xDrive クーペ
エンジン形式=直列6気筒DOHCツインターボ
排気量=2992cc
最高出力=530PS/6250rpm
最大トルク=650Nm/2750〜5730rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=AWD
トヨタ スープラ RZ
エンジン形式=直列6気筒DOHCターボ
排気量=2997cc
最高出力=387PS/5800rpm
最大トルク=500Nm/1800〜5000rpm
トランスミッション=8速AT
駆動方式=RWD
スープラの価値あるプライスが光る


車両価格は両車に倍ほどの差がある。M4のベースとなる4シリーズはもともと高級車だが、それをチューニングしてサーキット爆速仕様にすれば、それなりにコストがかかる。車体価格が1500万円に達してしまうのもうなずける。
それに比べればスープラのバリューの高さが光る。中身はほぼBMWで、3.0リッター直6ツインターボエンジンに6速MTも選べるのに700万円台前半とは、結構なバーゲンプライスだ。ちなみに同じエンジンを積むBMW Z4 M40iの価格は940万円なので、それよりもはるかに安い設定となっている。