カナダのポルシェセンターが356や911のレストア技術を披露

ポルシェはクラシックモデルを諦めない。レストア技術を競う「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」を開催 【動画】

「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」に参加したヒストリックポルシェ。
「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」に参加したヒストリックポルシェ。
カナダのポルシェセンターは、2020年に続き2年連続で「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション(Porsche Classic Restoration Competition)」を開催した。今回のイベントでも、ヒストリック・ポルシェを工場出荷時のコンディションへと戻すことを目標に実施。このコンペティションは、カナダに拠点を持つ各センターの専門知識と技術力を示すと同時に、各チームとカナダのポルシェファミリーの結束を高める役割を果たしている。

カナダにある12のポルシェセンターが参加

「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」に参加したヒストリックポルシェ。
2回目の開催となった「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」には、カナダを拠点とする12のポルシェセンターが参加した。

第2回「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」には、カナダにある12のポルシェセンターが参加。356シリーズや空冷911のレストア技術を競った。ポルシェセンターに所属するテクニシャン(メカニック)は独自に車両を調達し、かつての栄光を取り戻すだけでなく、その過程を丁寧に記録。様々なSNSを通じて共有し、総合的なコンペティションを行った。

決められた修復期間が経過した後に、すべてのエントリー車両はカナダにおけるポルシェのテクニシャン・トレーニングセンターでもあるオンタリオ州ミシサガのポルシェ・パーツ&物流センターに集められた。ここではポルシェ・クラブ・オブ・アメリカのカナダ地区代表、ポルシェ・カーズ・カナダのマーク・ウアユン社長兼CEOを含む審査員が、修復に関する技術、車両の状態、マーケティングやコミュニケーションレベルなど、総合的な審査を行った。

ポルシェ・カーズ・カナダのカナダ国内担当セールスビジネス・マネージャーのラジャト・タクラルは、ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティションを終えて、次のようにコメントしている。

「このプロジェクトの目的は、カナダ各地のポルシェセンターが持つヒストリックーに関するノウハウとレストア能力を紹介することにあります。 また、参加チームはポルシェが持つ深く豊かな歴史に熱中することもできます」

各ポルシェセンターが見せた様々なアプローチ

「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」に参加したポルシェ 356の各モデル。
それぞれのポルシェセンターは、356と空冷911の中からベース車両を選択し、持てる技術をすべて投入してレストアを行った。

今回のポルシェ・クラシック・レストア・コンペティションでは、それぞれのポルシェセンターが様々ななアプローチを披露した。ポルシェセンター・オークヴィルによる1964年製「356 B クーペ」の入念なレストアから、ヴォーンのPfaffポルシェが美しく蘇らせたポーラーシルバーの「タイプ993 カレラ」まで、非常に見所のあるコンペティションとなった。この993はPfaffポルシェが1990年代に販売した車両で、レストア時点で走行距離が20万kmを超えていたという。

その他のユニークな車両としては、オンタリオのポルシェセンター・ロンドンにより大胆なペイント・トゥ・サンプルのブルーに仕上げられた「930 ターボ」。マーク・モーターズ・ポルシェが、のべ2200時間をかけて再生させた“ロングフード”仕様の1969年製「911 E」。ポルシェセンター・バンクーバーは1980年代のラリーへのオマージュとして、リフトアップされた足まわりとタータンインテリアを備えた「911 サファリ」を仕上げている。

総合&356部門のウイナーは「356 B カブリオレ」に

「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」で総合ウイナーに輝いた、356 Bカブリオレ。
356部門に加えて、総合ウイナーに輝いたのは、ポルシェセンター・サスカチュワンが手掛けた1960年製「356 B カブリオレ」。

356部門を制したのは、ポルシェセンター・サスカチュワンが手掛けた1960年製「356 B カブリオレ」。珍しいハードトップが356の丸みを帯びたフォルムに美しくフィットし、その繊細なレストア技術と取り組みが審査員から高評価を得ている。

「今回、356が3台も参加したことに私自身もワクワクしました。古いクルマをレストアするのは決して簡単なことではありませんし、当然ですが古ければ古いほど作業は困難になります。コンペティションにおいて、それぞれのポルシェセンターが成し遂げた成果には驚かされました」と、タクラル。

さらに、ポルシェセンター・サスカチュワンの356 B カブリオレは、多くのライバルを退けて、総合部門のウイナーも獲得した。

911部門を制した貴重な「911 タルガ CE」

「ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティション」で911部門を制した、ポルシェ 911タルガ CE。
911部門は、25万台生産アニバーサリーモデルを新車のように蘇らせたポルシェセンター・ローゾンの「911 タルガ CE」が獲得している。

911部門は、ポルシェセンター・ローゾンによる1986年製「911 タルガ CE」。非常に珍しいこの911 タルガは、911の生産が25万台に達したことを記念して製造されたアニバーサリーモデル。その見事な完成度は新車と見まごうばかりだった。この911 タルガ CEは、総合部門の次点にも輝いている。

「911 タルガ CEは、まるでファクトリーからラインオフされたばかりのようでした。実際にドライブしても、夢のようなフィーリングでしたから・・・。エクステリアもインテリアも、ポルシェセンター・ローゾンのこだわりが強く感じられました。信じられない1台です」と、タクラルはその出来栄えを絶賛した。

マーケティング&コミュニケーション部門はポルシェセンター・ノーストロントが、パッション部門はポルシェセンター・バンクーバーが手掛けた911 サファリがそれぞれ受賞。ポルシェ・カーズ・カナダのマーク・ウアユンCEOは、今回のコンペティションを終えて次のように総括した。

「今回のコンペティションは、プロジェクトに大きなエネルギーと情熱を注いできた技術者や職人のスキル、品質、ノウハウをあらためて示すことになりました。この成果を前に、私たちはポルシェのネットワークが持つ素晴らしい技術を誇りに思うことでしょう。歴史を蘇らせてくれたポルシェセンターの皆さんに感謝します」

964時代のビビッドカラーも復活、ポルシェが新たなカラーオプション「ペイント・トゥ・サンプル」を導入

ポルシェ、新たなカラーオプション「ペイント・トゥ・サンプル」を導入。964時代のビビッドカラーも復活

ポルシェ・エクスクルーシブ・マニュファクトゥール(Porsche Exclusive Man…

ポルシェ・クラシック・レストア・コンペティションを動画でチェック!

キーワードで検索する

著者プロフィール

GENROQweb編集部 近影

GENROQweb編集部