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ヘリテージモデルの拡充を進めるベントレー
英国クルーにあるベントレーの工場跡地が、貴重なヒストリックモデルを収めた「ヘリテージガレージ」として再利用されることになった。ヘリテージガレージは「CW1 ハウス」にある既存のベントレー展示エリアを補完するもので、合わせて42台のヘリテージコレクションが展示されることになる。
ヘリテージガレージには、現在、1919年以降に製造された22台のコレクションが展示されているが、最終的にはクルーで製造された1946年以降の車両に焦点を当てた展示スペースとなる予定だ。
この新しい施設によって、ヘリテージコレクションのすべての車両が、初めてベントレーの敷地内に保管されることになった。ヘリテージコレクションは過去18ヵ月間にわたる大規模な施設拡張プログラムを経て、現在ではベントレーの全歴史を網羅するようになった。
現在、クルーを訪問するカスタマー、VIP、メディア関係者は、103年の歴史を紡いできたベントレーの生産モデルを、公道走行可能な状態で見ることができる。さらに、2023年夏までにコレクションは3つのエリアに分かれる予定。重要なクリックルウッドのモデル(1919~31年)とダービー時代のモデル(1931〜39年)は、近日リニューアル予定の「CW1ハウス」展示室に移され、クルーで製造されたモデルが、今回オープンしたヘリテージガレージに置かれる予定だ。
また、ヘリテージコレクションのうち8台のレーシングカー(ル・マンのスピード8、アイス・スピード・レコード、パイクスピーク・カー、GT3レーサーを含む)は、さらに別の展示エリア設立が計画されている。
1930年代の工場跡地を展示スペースに再利用
ヘリテージガレージは、1930年代に建てられたレンガ造りの工場内にあり、以前は「プロジェクト・フォーラム」として、コンチネンタル GTなど主要モデルが企画・開発されていた。明るく開放的なこのエリアは工場の中心にあり、工場内を歩くと自然と目に触れる場所だという。また、ヘリテージガレージはベントレーの美しいビンテージカーに囲まれたイベントスペースとして、社外向けプレゼンテーションや社内ブリーフィングにも利用される。
将来に向けた「ビヨンド100」戦略を推進する中、現在のベントレーが「どこから来たのか」を明確に示すヘリテージコレクションは、重要な役割を担っている。また、ヘリテージコレクションの車両は、ペブルビーチやミッレミリアなど、世界中の主要なヒストリックカーイベントにも展示・参加している。
ヘリテージコレクションの責任者を務めるマイク・セイヤーは、ベントレーの歴史をアピールする重要性について次のようにコメントした。
「私たちはヘリテージコレクションを再構築し、ベントレーの歴史を完全に網羅すると同時に、重要なニューモデルを発表するたびに、コレクションに追加していくことを決めました。例えば、ベントレー初のプラグインハイブリッドモデルである、2019年型『ベンテイガ ハイブリッド』も追加されています」
「私たちが進化を続けるなか、お客様や社内のあらゆる分野の従業員と、ベントレーモーターズの豊かな歴史を共有したいと考えています。ヘリテージガレージはその歴史を鮮やかに蘇らせ、過去の歴史を積極的に参照しながら、未来への道筋をつけることができるのです」
W.O.ベントレーが携わった貴重なモデルたち
ヘリテージコレクションに所蔵されている42台の車両すべてが、ベントレーの歴史において特別な意味を持っている。ヘリテージコレクションのクリックルウッドセクションには、最もアイコニックな戦前のベントレーの数々を展示。出発点はW.O.ベントレーが製造した2番目の車両であり、世界で最も古いベントレーである「EXP2」。次に、2台のブロワー(うち1台は現存するベントレーの中で最も価値の高いチームカー「#2」)、1929年式のスピードシックス、W.O.ベンとレーが2年間にわたり愛用した1930年式8リッターも所蔵されている。
マークVIは、クルー工場から出荷された最初の車両であり、短期間でセールス上の大成功を収めた。ヘリテージコレクションの「AGO 2」は、黒地にグリーンのツートンカラーで仕上げられ、1938年式の4 ¼ リッターエンビリコスと、1952年式タイプRコンチネンタルをつなぐ重要な役割を担っている。
1959年にデビューしたジャック・フィリップス設計のアルミニウム合金製V8エンジンも、歴史をつなぐ重要なピースだ。この自然吸気エンジンは、エレガントな1963年式S3スタンダード・サルーンの176 FGH、そして会長の社用車として使用された、1984年式ベントレー・コンチネンタルA455 YGJにも搭載されている。
フォルクスワーゲン傘下以降のモデル群も
6.75リッターV8エンジンにターボチャージャーが投入されると、ベントレーの販売台数は飛躍的に向上。ヘリテージコレクションには、このパワートレインを搭載した1991年式ターボRや、フォルクスワーゲングループ傘下で初めて生産された2001年式のアルナージ・レッドレーベルなども展示されている。ファイヤーグローレッドで仕上げられたこの車両は、ベントレーの歴史におけるターニングポイントとなったモデルだ。
6.75リッターV8エンジンは、ミュルザンヌのパワートレインとして採用。最高出力512ps・最大トルク1020Nmを発揮し、最高速度は184mph、0-62マイル加速5.1秒の性能を実現している。ヘリテージコレクションに収められているミュルザンヌはシャシーナンバー「000002」となり、生産ラインから2番目に出荷されたモデルとなっている。
2003年に発表されたコンチネンタル GTは、ベントレーとクルーに革命をもたらした1台。それまでベントレーは年間1000台以下の生産に留まっていたが、コンチネンタル GTからは、その10倍以上の生産が可能になった。ヘリテージコレクションのシャシーナンバー「20001」は、サイプレスグリーンの右ハンドルモデルで、クルーの生産ラインから最初に出荷されたコンチネンタル GTである。
W12エンジンを搭載したヘリテージコレクションには、3世代のフライングスパーとコンチネンタル スーパースポーツの両世代が含まれテイル。汎用性の高いW12を搭載した2016年式ベンテイガ シャシーナンバー「00001」も、生産第1号車となっている。