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俺の993の季節がやってきた
本誌GENROQとゲンロクWebで好評連載中のジャーナリスト、山田弘樹さんのポルシェ911(993型)長期レポート。私、ゲン永田も同じ993オーナーとして、山田さんとは空冷ポルシェの悩みや楽しみを共有し、慰めあっている(?)日々です。
実は私の993(1994年式)はエアコンが壊れているという致命的な問題を抱えていて、梅雨から夏の間はガレージで眠っている状態です。早く直せばいいじゃん!とよく言われるのですが、なにぶんお金が……別に走りに影響する部分でもないし、と強がってもう何年でしょうか。
そんな夏が過ぎ、993を動かし始めると「もう秋なんだなぁ〜」と感傷的になるのも毎年恒例のお約束。そんな10月のある日、箱根での取材へ向かうために993を引っ張り出し、東名高速道路へと向かいました。都内を走って用賀ICから東名高速に入り、多摩川を超えて料金所を通過。3.6リッター空冷エンジンも極めて快調で快適なドライブを楽しんでおりました。横浜青葉を過ぎたあたりから、お約束の渋滞です。最近この辺りはいつも渋滞だよな、と独り言など呟きながら30~40km/hほどのノロノロ運転となります。
港北PAを過ぎると渋滞はさらにひどくなったので、クラッチを踏みギヤを2速から1速へ、と動かそうとしたら「スコッ」とシフトレバーがまるで手応えなく「ふにゃふにゃ」に。前後には動くのですがミッションに繋がってる手応えはまるでなく、そしてニュートラル位置に持ってきても左右にはまったく動きません。
突然シフトが入らなくなった!
なんだこりゃ! ヤバい、どうしよう! 2速に入ったままなのでクルマは動きますが、2速固定のままではこのまま進むわけにはいきません。とりあえず路肩に寄せてしばし思案、結局JAFを呼んだのでした。
JAFのコールセンターからは積載車が到着するまで結構かかるから安全な場所で待っててくれ、との指示。そうこうしている間に高速パトロールがやってきて、しばらくしたらJAFの巡回車もやってきてパイロンを出したりと的確な処置をしてくれます。
「みなさんありがとう!」と深く感謝しながらじっと積載車を待ちます。渋滞しているので通り過ぎるクルマからの視線が痛いです。「あんな古いクルマ乗ってるからだよ」なんて言われてるんでしょうね〜悔しい!
そうした辱めを受けながら待つこと約90分。ようやくJAFの積載車が到着、2速で自力で荷台に載せ、港北にある行きつけのポルシェ専門店「クレフ」を目指します。それにしてもトラブル発生が横浜町田の手前で助かりました。クレフまではギリギリJAFの無料搬送の範囲内だったのです。これが箱根に着いてからだったら大変でした。う〜ん、さすがオレの993(って違う?)
はたしてトラブルの原因は?
さて、クレフの診断によると、シフトのガイドチューブジョイントの破損、ということでした。シフトノブの動きを後ろのトランスミッションに伝えるチューブ、これのジョイント部分が経年劣化でボロボロになっていたんですね。見てみるとチューブ端の樹脂カラー部分が完全に砕け散っています。いや〜盲点でした。28年も経つと思わぬところが壊れるもんですね。いや、むしろこんな樹脂がよく今まで持ったと言うべきでしょうか。
修理はガイドチューブを新品に交換するだけですが、パーツが早めに入手できて1週間ほどで退院できました。ちなみに費用はパーツ代がガイドチューブ1万7000円、ジョイント1万1000円、ナット220円。そして工賃が1万5000円でした。修理後は、心なしかシフトチェンジも軽快に決まるようになりました。このまま快調に動き続けてくれることを願うばかりです。そういえば、そろそろミッションオイルも換えてやらないとな〜。