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Helixx Centenary Square
世界中のあらゆる場所で製造可能
ヘリックスは、エンジニアで車両コンセプトデザイナーのスティーブ・ペッグと、ハイパーカーデザイナーのジョウィン・ウォンとヤクブ・ジョドロフスキーによって設立された独立系テクノロジー企業。ドイツのシーメンス社と提携し、英国・オックスフォードシャーにパイロット工場を設立。今後、英国における2拠点目、シンガポールにも拠点を設ける予定だ。
低コストな小型商用EVを、世界中どこでも製造/供給/維持/リサイクルできるよう、ヘリックスは地元企業へと技術移転を行うプラットフォームの開発を行っている。これにより、特にアジア・太平洋地域で使用されている、環境負荷の高い小型ICE(内燃機関)運搬車両を、EVに置き換えることを目指している。
今回公開された「センティナリー スクエア」は、小型商用EVのプレビュー版とも言える存在であり、キューブのような美しくシンプルなフォルムを持ち、製造の容易さと、最適な室内積載スペースを確保するよう設計。製造メーカーと輸送業者双方のニーズを考慮し、ひとつミッション(運搬業務)に特化したゼロエミッションカーとなっている。2024年の生産開始時には、建設業界向けのピックアップトラック、送迎サービス向け乗用タイプが加わる予定だ。
簡易な製造工程と高い柔軟性
製造工程における複雑さを解消すべく、ボディシステムはヘリックスが定める独自の規格に基づいて設計。同時にカスタマーによる改良や、ローカライズされた専用仕様にも対応する柔軟性も備えている。ボディシステムは、5つの主要コンポーネンツで構成されており、すべてが「クリック&ボンド」工法を用いて、簡単に組み立てることができる。この結果、製造コストを大幅に削減し、堅牢で耐久性の高い車両が実現した。
ヘリックスのCEO兼共同設立者、スティーブ・ペッグはセンティナリー スクエアについて次のようにコメントした。
「エンジニアとして、設計者として、私たちはヘリックスの車両がどこでどのように生産されるのかを、決して見失わないよう心がけています。従来の製造システムの複雑さへと挑戦するため、考え方を抜本的に変えたのです。私たちは、デジタル・ファースト・アプローチの世界的な再現性を証明し、ストレステストを行うために、このデモ車両『センティナリー スクエア』を開発しました」
「ヘリックスのライセンスを得た製造ハブにおいては、最初の現地調査から、最短180日で『センティナリー スクエア』の生産を開始することができます。今回発表したデモカーによって、カスタマーと関係を強化し、市場からの貴重なフィードバックを得ることができると考えています」
最大2100L/500kgの積載量を確保
ヘリックスは、3Dプリンティング技術を活用し、センティナリー スクエアの構造パーツとエクステリア・パーツのすべてをゼロから開発。各パーツは業界初の内部リサイクル可能なポリマー成形ボディシステムが導入された。これにより、大量のエネルギーを必要とする板金工程が完全に排除され、最大50%も製造工程が簡素化されている。
ボディパーツの接合工程において溶接は不要であり、従来の車両と比較して重量を30%も削減。個々のパーツ点数も数百点レベルで削減されたことで、非常にシンプルなボディシステムが完成した。
ハイブリッド・アルミニウム・シャシーをベースとするデリバリーバン仕様は、2100Lの容量と500kgの最大積載量を確保。全長3200mm、全幅1500mm、リヤドア幅1100mm、荷台長1400mmと、世界で流通する輸送用パレットの大半が積載可能となっている。ドライバーズシートはセンターに配置され、左ハンドルと右ハンドルの両市場に改造なく対応する。
ヘリックスは、東南アジアのコンセプト工場での本格稼働を開始する前に、英国オックスフォードシャーのパイロット工場において、2024年に100台のセンティナリー スクエアを製造する予定だ。