電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」の生産仕様が完成

ポルシェがフラウシャーと共同開発した電動ボートの強力なパワートレインの中身とは?【動画】

いよいよ生産仕様が完成した、電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」。
いよいよ生産仕様が完成した、電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」。
ポルシェはオーストリアのボートメーカー「フラウシャー(Frauscher Bootswerft)」社と共同開発した電動スポーツボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー(Frauscher x Porsche 850 Fantom Air)」の生産モデルを初公開した。2024年にワールドプレミア後、ファースト・エディションの販売をスタートする。

Frauscher x Porsche 850 Fantom Air

イタリアのガルダ湖で生産仕様のテストを実施

電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」の航行シーン。
ポルシェとフラウシャーは、イタリアのガルダ湖で生産仕様の初期テストを実施。その後、メディア向けの試乗会を開催した。

エンゲルベルト・フラウシャーが1927年にオーストリア・ウィーンで設立した、フラウシャー・ボートスウィフト社は、95年以上の歴史を持つ世界屈指の高級ボートメーカー。オーストリアのオルスドルフ、マヨルカ島のポート・アドリアーノ、フランスのポート・グリモー、アメリカのマイアミに製造拠点を持つ。 

今回、ポルシェとフラウシャーが共同開発した、フル電動モデルとして投入される次期型マカンの電動パワートレイン技術を搭載する「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」の生産仕様が完成。イタリア最大面積を誇るガルダ湖において、初期テストを行った。

さらにガルダ湖では初めて「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」の国際試乗会を実施。ポルシェAGの販売・マーケティング担当取締役を務めるデトレフ・フォン・プラテンは、量産モデルの発表会において、次のようにコメントした。

「この電動ボートは、伝統と高い革新性を持つ情熱的な2社による素晴らしいコラボレーションです。フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアーは、フラウシャーとポルシェだからこそ実現した、卓越したパフォーマンスとラグジュアリーな体験、最高の品質、時代を超越したエクスクルーシブなデザインのすべてを備えています」

新型マカンに搭載されるPPEを採用

電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」のパワートレイン。
フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアーは、フル電動モデルとしてデビューを予定している次期マカンと同じ、プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)のコンポーネントが搭載された。

ポルシェは、ロードカー用に開発された電動パワートレイン技術をボートに搭載すべく最適化。「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」は、新型マカンのベースとなっている「プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック(PPE)」コンポーネントが導入されている。

最先端の永久励磁同期電動モーター(PSM)は、最高出力400kWを発揮。電動モーターはボートのリヤセクションに設置され、ポルシェのロゴが刻印された防水ボックスに収められた装置で制御される。同じくマカンと同じ容量100kWhのリチウムイオン・バッテリーは、リヤのラウンジエリア下部に配置されている。

サポートフレームのサスペンションには、ポルシェが開発したワイヤーロープ・マウントを採用。これにより、高速移動中や高い波浪中に発生する衝撃を吸収し、快適な乗り心地を実現するという。

ポルシェのフル電動モデルと同様、あらかじめプログラムされた航行モードを導入。「ドッキング」「レンジ」「スポーツ」「スポーツプラス」のモードが用意され、状況に応じて、適切な航行性能を選択することができる。それぞれのモードは、スロットルレスポンスを変化させると同時に、異なる制限速度を設定。例えば、港湾航行用の「ドッキング」モードでは、8ノット(約15km/h相当)に制限される。

巡航速度は22ノット(約41km/h)に設定されており、この速度であれば、約45kmの航行が可能。航行速度を制限することで、100km以上まで航続距離を伸ばすことができる。最高速度は「スポーツプラス」モードでは46ノット(約85km/h)となる。ポルシェの800Vバッテリー技術を導入したことで、250kW以上の急速充電器に対応。バッテリー10%の状態から80%まで、30分以内で充電することが可能だ。

ポルシェのスポーツカーをイメージした内外装

電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」のインテリア。
コクピットはステアリングホイールやインストゥルメントパネルなど、ポルシェのスポーツカーをイメージしたデザインが採用された。

内外装のデザインもポルシェが担当。フレームレスのアクリルガラス・ウインドスクリーンの後方に、ハイグロスブラックのインストルメントパネルが配置された。サイドセクションはポルシェ 911へのオマージュとして、ウィングレットを配置。これは実用的なグラブハンドルとしても機能する。

インストゥルメントパネル上部にレイアウトされた、911を彷彿させる5基のアナログメーターは、ポルシェのスポーツカーらしさを強調。ポルシェのスポーツカーをイメージしたステアリングホイールは、航海に適した素材が導入された。人工レザーで覆われたリム部は、海水への耐性が高められている。

スタータースイッチは、ポルシェ製スポーツカーと同様左側に配置。ふたつのフロントシートは、横方向への強力なサポートが確保された。ヘッドレスト一体化型の背もたれにはクレストが刺繍される。こちらもロードカーのスポーツシートからインスパイアされている。

25艇限定の「ファースト・エディション」を販売

電動ボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」の航行シーン。
2024年1月にデュッセルドルフで開催される船舶の見本市「ブート」でワールドプレミア後、まずは限定25艇の「ファースト・エディション」が販売される。

「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」は、2024年1月にドイツ・デュッセルドルフで開催される船舶の見本市「ブート(boot)」において、正式なワールドプレミアを予定している。

オーストリア・オールドルフにあるフラウシャー造船所で建造され、フラウシャー社が販売ロジスティックスとアフターセールスも担当する。最初に限定25艇のエクスクルーシブな「ファースト・エディション」の販売が予定されており、価格は56万1700ユーロからとされる。2024年初頭に最初のカスタマーへとデリバリーを予定している。

フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアーを動画でチェック!

ポルシェとフラウシャーは、ポルシェ タイカンをイメージした電動スポーツボート「フラウシャー x ポルシェ 850 ファントムエアー」を開発していると発表した。

ポルシェが共同開発した電動スポーツボートが搭載する最新パワートレインと次期マカンの関係【動画】

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