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海外へ長期渡航すると住民票が消えてしまう
“サブロク”に乗り続ける理由は何だろう。小判ナンバーなら重量税が免除されているから維持費が格安なのは大きい。車検を受け続けなくても、持っているだけの期間の経費が少なくて済むからだ。ただ、この車のオーナーの場合は話が別。
当初は日産が好きで系列に就職すると、新車でS13シルビアを買ったほど。その後に転職先として部品メーカーを選び、S13はそのままに趣味のクルマとしてステップバンを増やした。ところが新たな職場はアメリカへの長期出張がある。そこで調べると、長期の場合は一旦住民票が日本からなくなる。するとクルマの納税が不要になるため、ナンバーがそのままだと車検を継続できなくなる、らしいというのだ。
そこで2度ほど長期出張していた間はナンバーを一旦切ることになった。それでも手放さなかったのは、若い頃に手間暇かけて仕上げたクルマだから愛着もひとしおなのだろう。2022年の春先にようやく帰国すると、なんとか走れるように整備して車検を取り直したステップバンなのだ。
1971年にN360の後継車として発売されたのがホンダ・ライフ。360cc2気筒エンジンは空冷から水冷へと進化し、空冷時代から続くクーペのZも水冷エンジンへ進化した。72年になるとライフをベースにしたワンボックスタイプの商用車であるステップバンを追加。さらに翌年にはステップバンをベースに運転席の後ろを荷台としたピックアップまで追加するが短命に終わっている。
SUSPENSION
リヤのMkⅡは5.0Jでワンサイズ太い。タイヤはアドバンA-008!
スピードスターMkⅡはスポークが赤い塗装でグリーンと合う。
ENGINE
エンジンはファイナルステージでチューニングしてあり乗りやすく速い。排気量はヒミツだ。
FCR! キャブはインマニを作ってFCR35を2機がけ。レスポンス最高。
アルミ! ファンネル仕様で雨の日に止まり、アルミパイプ+エアクリへ変更。
長期不在のツケで復活まで苦労の連続
このステップバンは23年ほど前に始まったばかりのインターネットオークションで手に入れたもの。とても素性の良い個体で下回りにサビがほぼない。そこであまりイジらずに乗っていたが、20年ほど前に転機が訪れる。
EAエンジンのスペシャリストであるファイナルステージでエンジンを組むことにしたのだ。ただ、店主が亡くなり店もなくなる直前だったので、おそらく同店最後のエンジンかもしれない。
同時にパスタ製エアロをひと揃えして、全塗装に踏み切る。ボディ色は日産マーチの純正色で、格安に仕上げてもらえた。
ここまで仕上げたからには足まわりもノーマルではない。前後ともにクラブであるラブステップが製作したサスペンションを組んでローダウンした。他の足まわりも試したそうだが、やはり専用設計らしく乗り心地と操縦性に納得。
ところが5年前にアメリカへ出張となり、年に1度しか帰れなかった。息子さんにエンジンをかけ続けるよう頼んだが、いつしか不動に。帰国後は苦労の連続で、キャブやブレーキをオーバーホールして何とか車検を再取得した。
室内
このホンダステップバンの記事は2023年1/21発売の、令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年3月号に掲載されたものです。