目次
トヨタが納車時のスマートキーを2→1個に変更。半導体不足への苦肉の策。
いま、新車業界を悩ませる半導体不足。クルマには欠かせない半導体が思うように入手できないことで自動車メーカーが「クルマが作りたくても作れない」状況が続いていることをご存じの人も多いことでしょう。
興味深いのは大きく影響を受けているメーカーとそうでもないメーカーがあることで、たとえば前者を代表するのがトヨタや日産でどちらも納期の延長が相次いで「2年以上」となったり、挙句の果てに「受注停止」となっている新型車もあるのはよく知られるところ。ランクルやZがその代表ですね。
いっぽうマツダあたりは「一部の例外を除き納期は3か月程度」と通常よりは長めではあるものの、他のメーカーに比べると影響は小さめ。どこも苦労していることは間違いないようですが。
さて先日、それに関してちょっとしたニュースが流れました。トヨタが半導体不足の対応として「一部の車種においてスマートキーを1個の状態で納車する」というのです。
対象車種は、11月29日の段階で新たに「MIRAI」とレクサス「RX」が追加されて下記の25車種となります。
<トヨタブランド> MIRAI、クラウン、カムリ、プリウス、bZ4X、RAV4、ハリアー、C-HR、アルファード、ヴェルファイア、ノア、ヴォクシー、ランドクルーザー、ランドクルーザー プラド、グランエース <レクサスブランド> RX、LS、ES、IS、LC(含むConvertible)、RC F、LX、NX、UX、UX300e
もう少し状況を説明すると、通常はトヨタ車(スマートキー装備車)を買うとスマートキーが2個付属します。しかし、対象車種では納車時にオーナーに渡されるスマートキーはひとつのみ。“2つめ”のスマートキーに関しては廃止されるわけではなく「準備が整い次第、順次お渡しさせて頂く予定」だそうです。
また、スマートキーにはバッテリー上がり時などに緊急的に使うための機械式のキーが組み込まれていますが、そちらは納車時に2個渡されるとのこと。なのでスマートキーはひとつですが「キーがひとつしかないなんてとっても不安」という状況ではないと言えるでしょう。
またレクサス車はスマートキーのほかにカードキー(そこにも機械キーが内蔵されている)も付属しますが、そちらは対象外。つまりレクサスを買うと「スマートキー1つとカードキー1枚、そして機械キー3個」が渡されることになるわけです。
これからの時代は、物理的な鍵が必要なくなるのでは?
さて、ここからが本題。
そもそも、クルマにはキーが2個必要なのでしょうかね?
確かに、「夫婦で1つずつのキーを使うから2個ないと困る」という人もいることでしょう。たしかにそういうユーザーもいると思います。メーカーによっては電動シートのポジションなどをそれぞれのキーに保存し、“自分のキー”でクルマに乗り込めば自動的に運転ポジションを合わせてくれる機能もありますからね。そういうのも便利です。
でも、もしかすると多くのユーザーにとってキーは1本で事足りるのかもしれません。
たとえば昨今はスマホの操作でドアロックを解除できる新車がどんどん増えていますが、さらに上を行く「デジタルキー」も搭載拡大中。国産車だとトヨタやホンダの一部車種ではキーがなくてもスマホからエンジン始動(システム起動)が可能です。
それらの多くは「操作はスマホの電波が入る場所に限られる」という制約があるので万全ではないのですが、少なくとも“キーは絶対に2つ無ければいけない”という時代ではないような気がするのです。
むしろ「キーは1個だけ標準。追加で欲しい人はオプション」としたうえで、そのぶん車両価格を下げる方法もアリなのではないでしょうか。半導体不足によるトヨタの対応から、ふとそんなことと感じたりするのでした。皆さんどう思いますか?