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丸型2灯ヘッドライトは「ジープ・ラングラー」を象徴するアイコン
「ジープ・ラングラー」のフロントフェイスは、1941年にジープの元祖「ウィリスMB」が登場して以来、80年以上にわたって丸型2灯ヘッドライト+縦スリットのグリルデザインが踏襲されている。「ジープ・ラングラー」に魅せられた人たちは、このデザインや頑なに伝統を守り続ける姿勢にロマンを感じるわけだが、一方であまりクルマに関心がない若者には、丸型2灯のクラシカルな風貌が新鮮に映っているようだ。ここが現在のラングラー人気の源泉なのかもしれない。
丸型ヘッドライトといえば、アメリカでは1974年まで規格サイズの丸型2灯や4灯のシールドビームの装着が義務化されていたこともあって、当時は国産車にも同様の丸型シールドビームが採用されていた。シールドビームは、文字どおりボディとバルブが一体化された構造なので、バルブ単体での交換はできないが、防水性や耐久性の点では優れている。
さらに規格サイズにしたことで、世界中に同規格のライトが流通し、例えばアメリカの荒野やアフリカのサバンナを走行中にライトが切れたとしても、比較的容易にスペアパーツを入手できるというメリットもあった。
これを裏打ちするように、以前はアフリカや中東の砂漠地帯を走っているクルマは、丸型2灯ヘッドライトのランドローバー・ディフェンダーかトヨタ・ランドクルーザーと相場が決まっていたが、これは前述の事情が大きく影響している。
JK型ラングラーのライトは時代遅れで暗い
アメリカのヘッドライト規制が解除された1980年代以降は、デザイン性と空力を向上させるために角型や異形のヘッドライトが主流になった。これに伴ってヘッドライト用のバルブは、白熱バルブ→ハロゲンバルブ→HIDバルブと進化し、最近ではLEDバルブへの移行が急速に進んでいる。
ところが、JK型ラングラーの純正ヘッドライトはH4タイプのハロゲンバルブ(60/55W)、フォグライトに至ってはPSX24Wという特殊なタイプの白熱バルブ(25W)と、今となってはかなり時代遅れのタイプ。実際に点灯してみると、色はタクシーと同じようなメリハリのない暖色で、明るさも到底満足できるレベルではなかった。
というわけで、納車直後にヘッドライトをハイワッテージバルブ(5,000K)に、フォグライトをイエローのLEDバルブ(3,000K)に交換。その後、初回車検時に片方のフォグランプが切れていることがわかり、今度は2色切り替え式のLEDバルブ(ホワイト6,000K/イエロー2,500K)に交換した。
ところが、このLEDフォグランプは想像以上に明るく、ヘッドライトとのバランスが悪くなってしまったので、夜間や雪道走行の機会が増える冬を前にヘッドライトのLED化を決断。ここでは、その交換作業の手順やハロゲンバルブとの明るさ比較などを紹介していく。
バルブ交換の際はグリルの脱着が必要
今回ヘッドライト用バルブをHIDではなく、LEDにしたのは、低価格の割に寿命が長く、消費電力も低く抑えられているなど、コスパの良さに惹かれたのが最大の理由だ。さらに最近のLEDバルブは、ドライバーユニットが一体化されていることに加え、本体も小型化されているので、ヘッドライト後方にスペースの少ないJK型ラングラーでも、スッキリ収まると判断したからだ。
では、ここからは交換作業でポイントとなる箇所や手順を紹介していこう。
■グリルの取り外し
「ジープ・ラングラー」のヘッドライトバルブを交換するには、グリルを取り外す必要があるが、その前に、両脇に付いているウインカーランプをベースごと取り外しておかないと後で面倒なことになる。問題のグリルは上部のグロメット(6本)を抜いたうえで、下部に取り付けられているツメ(6箇所)を手前に強めに引くと外すことができる。
■ヘッドライトの取り外しとLEDバルブの装着
ヘッドライトはステンレス製のフレーム+4本のトルクスネジで固定されているので、T15のトルクスビットを用意して注意深く外していく。ヘッドライトにはH4ハロゲンバルブとポジション用の白熱バルブが刺さっているので、これも破損に気を付けながら抜いておく。
次は外したヘッドライトからH4ハロゲンバルブを抜いて、LEDバルブを挿していくわけだが、後部に大きなヒートシンクが付いているので、バルブを収めた状態では防水用のゴムカバーがハマらない。これを回避するために、LEDバルブのベース部分をねじって外し、予めライト本体に取り付けておく。そのうえで防水カバーを取り付け、最後にLEDバルブ本体をねじって取り付ければ取り付け完了だ。
なお、LEDバルブは上下の向きが決まっているので、取説をよく見ながら、正しい方向へ挿し込むようにする。
■取り付け完了後は点灯状態とエラー表示の有無を確認
ヘッドライトの取り付けが完了したら、グリルを取り付ける前にヘッドライトが正常に点灯し、ハイ/ローの切り替えも正しく行えるかを確認する。さらにスモールランプやウインカーの点灯状況を確認したうえで、インパネにエラー表示が出ていないかも確認する。
各部の正常動作を確認したらグリルを所定の位置に取り付け、最初に外しておいたウインカーランプをしっかり挿し込めば取り付け作業は完了。ただ、ヘッドライトやフォグランプのバルブを交換した場合は、光軸調整が必要になるので、後日、近所のカーショップへ持ち込んで調整をしてもらった。
注)パッケージには「国産車専用」の記載があるが、JKラングラーでは問題なく動作した。
LED化の効果は絶大!夜間走行が楽しくなる
さて、肝心の成果はどうか。ビフォア/アフターの写真を見れば一目瞭然、やはりLED化の効果は絶大で、全体的に白くクリアな光でかなり明るくなった印象だ。照射の具合も素晴らしく、ハロゲンバルブの時は光のエッジがぼやけていたが、LEDバルブは極めてシャープでメリハリがあり、まるで視力が上がったかのようにクリアに見える。
とりわけ、予めLED化しておいたフォグランプと組み合わせると、足元の照射範囲が一気に広がり、さらに威力がアップする。これならば真っ暗な林道でも、大雨が降る高速道路でも、安心して走行できるだろう。もちろん、街灯のある街中でも明るさや色味の違いは実感できるし、存在感もグッと高かまるので、なぜかライトスイッチを操作するときはワクワクしてしまう。
今回取り付けた「PHILIPS Ultinon Essential LED」の実売価格は6,500円程度と安価。この程度の投資で大きな効果が得られるのは、LEDバルブの大きな魅力といえるが、それ以上に「ジープ・ラングラー」で夜間走行をするのが楽しくなったのは予想外の収穫だった。