橋の安全を守ってくれるあのクルマも『トミカ』になってます!

低所作業車? 高所作業車? 橋の安全を見守ってくれる頼もしい特殊作業車です! トミカ × リアルカー オールカタログ / No.94 いすゞ エルフ 橋梁点検車

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.94 いすゞ エルフ 橋梁点検車 (サスペンション可動/ブーム伸縮/上下/旋回・希望小売価格550円・税込)

橋梁(きょうりょう)点検車の「橋梁」とは、河川や谷、湖などを横断するため、または鉄道と道路などを立体的に交差させるために建設された構造物のことです。簡単に言えば「橋」や「かけはし」のこと。橋梁点検車とは、橋梁の下面からの調査・点検が不可能な場所について、橋梁の路面上からでも調査・点検が可能なように工夫された、クレーンのような特殊機械を装備した高所作業車の一種です。

橋梁点検車は図のように路上からブーム式昇降機によって作業員が乗ったゴンドラを下ろし、橋げたや橋の裏側などを点検するために使用されます。(PHOTO:いすゞ)

たとえば川にかけられた橋の下面に異常が無いかを検査する場合、川の中に入って高所作業クレーンを伸ばしたり、川の中に足場を組む必要があります。あるいは高い山あいにかけられた橋の下面を検査する場合、とても長い高所作業クレーンや高い足場が必要になることでしょう。そこで、橋の上から橋の下面側へと人を乗せたプラットフォーム(足場)やゴンドラを差し込み、橋梁の側面や下面のより効率的な検査や補修作業に用いられるのが橋梁点検車で、ブリッジチェッカーとも呼ばれます。

タダノ ブリッジチェッカー BT-110 実車リヤビュー(PHOTO:タダノ)

橋梁作業車はある意味、「低所作業車」とも言えますが、高速道路の防護壁など「高所」の検査にも用いられる橋梁点検車もあるので、正確な言い方ではありません。車両分類上は「高所作業車」になります。また、橋梁点検車は高所作業車やクレーンなどと異なり、自転車の補助輪のようにアウトリガ(作業車の車体から横に張り出された足のような構造物)の先端がローラーとなっていて、低速で移動しながら検査することが可能な車種もあります。

タダノ ブリッジチェッカー BT-110 実車ゴンドラ展開時(PHOTO:タダノ)

橋梁点検車の本体は、車両後方に搭載されるクレーンのようなブーム式昇降機を備えた作業装置ですが、これには小型から大型まで様々なサイズがあります。この作業装置はそれぞれに適した積載重量を持つトラックに搭載されて橋梁点検車が作られます。『トミカ』の『No.94 いすゞ エルフ 橋梁点検車』は商品名の通り、いすゞを代表する小・中型トラックである『エルフ』を車体に用いた小型の橋梁点検車をモデル化しているようです。

いすゞ 『エルフ』実車フロントビュー(『トミカ』と同一規格ではありません)
いすゞ 『エルフ』実車リヤビュー(『トミカ』と同一規格ではありません)

いすゞ『エルフ』は1975年に2トン・クラスのトラックで販売台数首位の座を獲得して以来、日本を代表する小型キャブオーバー・トラックとして知られてきました。2022年12月現在は2006年にデビューした6代目にあたるモデルが現役最新型となっています。

いすゞはこの6代目モデルから、小型トラックと中型トラックを一つのグループとして考え、「SEE GLOBAL(シー・グローバル)」をコンセプトに、世界市場を見て、世界に通用するトラックを目指して開発されました。いすゞがこれまで、世界中の市場で学んできたトラックに求められるニーズを踏まえ、安全性、経済性、環境性能をグローバルな視点で徹底的に追究しています。具体的には、環境規制の強化、免許制度の改正、労働人口の減少、事故・盗難の頻発、運行管理の重要性など、日本国内における小型トラックを取り巻く大きな環境変化を踏まえて開発され、将来を見据えた“運ぶ道具”として、“新普通免許最適車”、“新排出ガス基準時代の省エネ車”、“セーフティ・セキュリティ”の新しい3 つの価値基準を提案しています。

『トミカ』と同じ前期型の車体を利用した『エルフ』のプラグイン・ハイブリッド車。

まず、デザインは無駄を省いた機能的なデザインとし、ハイキャブとワイドキャブは、フロントピラー、ボディサイドを直立化させることで、大きな室内空間を実現しています。さらに新普通免許最適車を目指し、従来型『エルフ』ハイキャブを拡大してクラス唯一の普通車(1ナンバー)専用1.8m 幅のハイキャブを開発、キャブ幅段差の縮小や、架装時のボディサイズのさらなる容積アップ(全幅拡大)を可能としています。これに加え、車両全体で徹底した軽量化を実施し、新普通免許枠内でも充実した車型バリエーションの展開を可能にしています。

エンジンでは『D-CORE(ディー・コア)』 3リッター、4JJ1‐TCS 型インタークーラーターボディーゼルエンジンを新開発し、主力エンジンとして搭載しています。排気量あたりのトルクが可能な限り高められ、軽量・コンパクト化を追求、燃費、重量、排出ガスといったエンジンに求められる諸性能が根底から引き上げられています。さらにアイドリングストップ&スタートシステムをクラスで初めて標準装備しています。

自動変速とシーケンシャルマニュアル変速を実現する、いすゞ独自のイージードライブシステム『スムーサーEx』。

トランスミッションはマニュアルトランスミッションの進化形である『スムーサーE』シリーズを発展・改良させた、いすゞ独自のイージードライブシステム、自動変速とシーケンシャルマニュアル変速を実現する『スムーサーEx』がオートマチック車には搭載されています。さらに国産トラックとしては初めて、盗難防止のための電子施錠システム『イモビライザ-』が標準装備されています。

いすゞ『エルフ』は発売以来、様々な改良が加えられてさらに、より使いやすいトラックに進化してきており、『トミカ』でも発売以来、様々な『エルフ』がモデル化されていますが、この『No.94 いすゞ エルフ 橋梁点検車』ではフロントグリルの形状などから、6代目エルフの中でも前期型のワイドキャブ車両をモデル化しているものと思われます。

車両後部の作業装置は日本ではタダノなどのメーカーが手掛けていますが、デザインから見て、橋梁点検車では日本一のシェアを誇るタダノが製造販売しているブリッジチェッカー『BT-110』をイメージしているのではないかと思われます。しかし微妙にデザインが異なっていますので、『トミカ』オリジナルのデザインでしょう。伸縮や上下動、左右旋回するブームが様々な表情を見せてくれる『No.94 いすゞ エルフ 橋梁点検車』は、『トミカ』の中でも動きが楽しい1台になっています。

■いすゞ エルフ 4トン ワイドキャブ ロングボディ フルフラットロー 2WDスムーサーEx(6速) アルミアオリ 主要諸元(『トミカ』の規格と同一ではありません)

全長×全幅×全高(mm):6140×2170×2265

ホイールベース(mm):3395

トレッド(前/後・mm) :1395/1425

車両重量(kg):2820

エンジン:4JZ1-TCS型直列4気筒DOHCディーゼル インタークーラー付き2ステージターボ

排気量(cc):2999

最高出力: 110kW(150ps)/2800rpm

最大トルク:375Nm(38.2kgm)/1400-2800rpm

トランスミッション:6速AT

サスペンション(前/後):インデペンデント/リーフリジッド

ブレーキ(前/後) :ディスク/ドラム

タイヤ:(前後)215/70R17.5

■TADANO ブリッジチェッカー BT-110 主要諸元

積載荷重:200kgまたは2名

最大作業床深さ:-7.3m

最大作業床高さ:6.8m

最大作業半径:5.6m

作業床寸法(長さ×幅×高さ):4.5m×0.88m×1.0m(伸張時)

架装シャーシ:3.5tクラス

アウトリガ最大張出幅:3.56m(ゴムソリッドタイヤ付き)

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