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法人向けサービス開始で、顧客である一般ユーザーにも提供の動きアリ
脳科学の分野から見れば、クルマ運転に有用な脳機能は、大脳の前頭前野における知覚や予測によるそうだ。高齢者による運転リスクが社会問題化しているものの、この前頭前野を集中的にトレーニングすることで、危険察知や回避能力が向上できるという。そして、そのトレーニングは高齢者のみならず若年層にも有効であることがすでに確認されてもいる。
この説を世に問うのは「脳トレ」でその名を知る人も多いだろう川島隆太教授が率いる東北大学加齢医学研究所。脳のトレーニングをテーマにしたテレビ番組の制作を通じて知見を深めた仙台放送とともにトレーニングプログラムを開発し、保険会社や自治体向けのアプリケーションとしてサービス提供を開始したのが2020年のことである。翌2021年には人口知能を搭載し、利用者ごとに最適なトレーニングを行えるよう自動調整される仕組みを整えるなど、着々と機能拡張を果たしてきた。
わずか1分の短時間プレイで効果テキメン!
そして2022年、サービス提供は新展開を迎える。主要機能をクラウド上に設置することで、より多くの利用者が活用できるよう幅を広げた取り組みこそが『BTOC(ビートック/Brain Trainer On Cloudの略)』と称される新サービス。これまでよりも小規模の事業者や団体が事故防止の取り組みに活用できるのはもちろん、接客業を行う事業者向けのプランとして、一般来客に向けてもサービス提供できるような仕組みに整備された。
つまり、我々一般カーオーナーにとっても、これまで以上に接点が増えるようになったとも言える。元々、アプリ自体がシンプルでもあるし、使い手を選ばない。いまだ一般ユーザー向けのサービスではないために、我々は事業者を通じたサービス提供を待つほかないが、着々とその利用環境は整いつつある。
多くのカーオーナーが、日常的に運転技能の向上トレーニングできるようになる日もきっとそう遠くない。またそれが実現すれば、免許返納に端を発する社会問題も幾分かクリアになるはずだ。