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発表された新型WRXは、日本でいうところの「WRX S4」にあたる。この新型WRXが搭載するエンジンは2.4ℓ水平対向4気筒ターボのFA24型である。このFA24型は、北米向け大型SUVのアセントに搭載されてデビューしたエンジンで、そもそもEZ36型3.6ℓ水平対向6気筒自然吸気エンジンの代替として開発された4気筒ボクサーだ。
発表された新型WRXは、日本でいうところの「WRX S4」にあたる。この新型WRXが搭載するエンジンは2.4ℓ水平対向4気筒ターボのFA24型である。このFA24型は、北米向け大型SUVのアセントに搭載されてデビューしたエンジンで、そもそもEZ36型3.6ℓ水平対向6気筒自然吸気エンジンの代替として開発された4気筒ボクサーだ。
スペックは
FA24型
形式:水平対向4気筒DOHCターボ
型式:FA24
排気量:2387cc
ボア×ストローク:94.0mm×86.0mm
圧縮比:10.6
最高出力:275ps/5600rpm
最大トルク:350Nm/2000-5200rpm
過給:ツインスクロールターボ
燃料供給:筒内燃料直接噴射
である。
先代WRX S4のスペックは
排気量:1998cc
最高出力:300ps/5600rpm
最大トルク:400Nm/2000-4800rpm
だったから、25ps/50Nmのスペックダウンとなる。それでもコンパクトスポーティセダンとしては充分以上の性能だ。ただし、車重がやや軽くなったとは、かなりのパワーダウンを北米のスポーツカーファンたちがどう捉えるか。
下の表は、新型と先代のエンジンスペック比較だ。
新型・歴代WRX搭載エンジンスペック比較
国内では
WRX S4=FA20ターボ(300ps/400Nm)
WRX STI=EJ20ターボ(308ps/422Nm)
だった。北米では
WRX STI=EJ25ターボ(314ps/393Nm)の2.5ℓエンジンを搭載していた。
さらに見ていこう。
FA24型とCB18型スペック比較
新型WRXが搭載するFA24ターボは、すでに北米アセントや北米アウトバックが搭載している。
北米アウトバック用:264ps/376Nm
新型WRX用:275ps/350Nm
だから、パワーアップした分、トルクは少し控えめだ。
使用燃料は、先代WRX STI用(EJ25)がAKI91(AKI93推奨)だった。アウトバック用が87AKIである。AKIはアンチノック・インデックスで
大雑把にいって
87AKI=日本のレギュラー相当
91AKI=95RON
93AKI=日本のハイオク(RON98)
だから、新型WRXの北米での燃料については未発表だが、スペックから見るとレギュラー対応なのかもしれない。
BMEPで比べてみる
BMEPとは「正味平均有効圧」=Break Mean Effective Pressureのことだ。
最大トルク÷排気量×4π×10で単位は「bar」である。BMEPは、エンジンの排気量によらずに、トルク特性を横並びに評価するために用いられる理論的な数値だ。排気量あたりのトルクに比例する。ガソリンNAは10-13bar程度、ガソリンターボは18-24bar程度、ディーゼルターボでは、18から30barを超えるものまである。
このBMEPという指標で比べてみよう
先代WRX S4(FA20ターボ)=25.16bar
先代WRX STI(EJ20ターボ)=26.59bar
北米の先代WRX STI〔EJ25ターボ)=20.10bar
レヴォーグ(CB18ターボ)=21.00bar
に対して新型は
新型WRX(FA24ターボ)=18.43bar
とけっしてハイチューンではない。
となると、「STI」がどうなるかに興味が集まるところだ。次期WRX STIがレギュラーモデルとしてデビューするのか、WRXの限定モデルとして登場するかはわからない。CB18型と同じBMEP=21.00barにFA24ターボを仕立てたとしたら、最大トルクは400Nmとになる。ターボの過給圧を少し上げれば無理なく300ps/400NmのFA24型はできるはず。トランスミッションを従来通り6MTのみとするなら、320ps/430Nmも可能だろう。
厳しくなる燃費規制、メインマーケットの北米のバイデン政権による「エンジンへの逆風」トレンドを考えると、320ps/430Nmといったスペックのエンジンに仕立てるのはさほど難しくないだろうが、マーケットへの投入の仕方は難しい。
とはいえ、ちょうど良いサイズの4WDスポーティセダンの登場は歓迎亜。まずは、日本仕様のWRXの登場を待とう。