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動力性能に優れた力強い走り 後席の積載性と利便性は特筆
フロントシートがエンジン上にレイアウトをされたキャブオーバー型ではなく、エンジンルームが前方へと突き出したいわゆるボンネット型のデザインを採用した初代モデルの誕生が1960年と、60年を超える長い歴史をもつダイハツの軽の貨物モデルがハイゼット。アトレーはそのハイゼットをベースに、個人が所有をする乗用モデルとしての適性を高めたモデルに与えられる名称となる。
エクステリア
ここに紹介する2021年末に発売された最新のモデルは、ハイゼットアトレーとして1981年に発売されたモデルから数えると、6代目となる存在だ。およそ17年ぶりにプラットフォームが一新されたこととともに、最新モデルの大きな見どころとして取り上げられるのは前述のように乗用車としてのキャラクターを重視しながら、実は4ナンバーが与えられる商用車カテゴリーとして開発されたこと。リヤシートのスペースにより厳しい制約が課せられたり、自賠責保険料がやや高額といった乗用車カテゴリーに対するハンディキャップもある一方で、税制面でより優遇されるといったメリットが見逃せないポイントになる。
乗降性
今回4ナンバー化されたのはそんな特徴を理解した上で、「後席に人を乗せる機会などはほとんどなく、むしろ趣味の道具などを積む上でラゲッジスペースが少しでも広い方が有難い」といった希望をもつ、個人ユーザーを対象にした結果と考えてもよいだろう。
実際、後席をアレンジした状態がむしろ基本の姿と考えると、そのラゲッジスペースは驚くほどに広いもの。その空間は大人が寝転ぶにも十分過ぎるほどだし、相当量のレジャー用品も楽々飲み込んでしまいそう。一方で、リヤシートは見るからに平板でそこに合法的にふたりが乗り込むことは可能でも、完全なる前席優先の設計思想は明らかだ。
インストルメントパネル
縦置き用に新開発されたCVTと組み合わされるエンジンがターボ付きに限られるという設定も、いかにも乗用ユースが強く意識された結果と言えそうなもの。実際、今回はあえて三人乗りで首都高速へと乗り入れる機会があったが、それでもさしあたりパワーは十分と感じられたのがアトレーの動力性能の実力。可能な限り高いギヤ比が選ばれるCVTを採用したことで、静粛性もまずまずという印象だ。
居住性
キャブオーバーのレイアウトを採用するモデルの宿命と言うべきか、路面によってはピッチング挙動が目立ちがちだし、直進性もピカいちとまでは言い難い。その一方で、荒れた路面を走行してもなかなか高いボディの剛性感が得られるといった点には、DNGAと称する最新のアーキテクチャーを採用した効果がいかんなく発揮されている印象だ。
うれしい装備
月間販売台数 3268台(22年7月〜12月平均値) 現行型発表 21年12月 WLTCモード燃費 14.7km/l
ラゲッジルーム
基本的には従来のユニットをリファインしたエンジンを搭載したことを除けば、実は「すべてが新設計された」と評しても過言ではないのがこのモデルの内容。数ある軽自動車の中にあってはさほど目立った存在とは言いにくい一方で、この先も末永く活躍をしていきそうな実力を秘めた最新のモデルでもある。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。