目次
バンライフのイチバンの魅力は自由気ままに旅ができること!
近年、車中泊の進化形として人気が高まっていているバンライフ。エブリイやハイエースなどをベース車両として、さまざまなカスタムチューナーから趣向を凝らしたバンコンがを販売されている。しかも、バンコンは、オーナー自らがDIYを楽しみながら造り上げることもできるので、この点もバンライフ人気に拍車を掛けている要因だろう。
そもそもバンライフとは、バン(VAN)とライフ(LIFE)を組み合わせた造語。車内で夜を明かすという意味では車中泊と似ているが、バンライフは旅をしながら、車内で映画やSNSで楽しんだり、時には仕事をしたり、寝泊まり以外の生活も包括した過ごし方を指している。
バンライフのイチバンの魅力は、やはり自由気ままに旅ができることだろう。例えば、最終目的地は四国!という風にアバウトに決めておいて、1日目は沼津で美味しい海鮮丼を食べようとか、2日目は富士山麓の白糸の滝を見ながら涼もうとか、思い付きで好きな場所へ立ち寄りながら旅をすることができる。この自由気ままさは旅好きにはたまらないはずだし、乗用車では実現できないことだ。
ただ、バンライフでは、水、電気、食材などの調達に手間がかるし、トイレやシャワーも簡単には使えない。しかし、キャンプと同じように都会生活では経験できない非日常を味わうことができるので、むしろこの不自由さがバンライフの醍醐味のひとつといえる。
もちろん、バンライフではガソリン代や食費はかかるが、基本的に宿泊代や電車代などは掛からないので、比較的チープな旅をできることもメリットといえるだろう。
トレンドはバンライフからオーバーランドスタイルへ
キャンプの世界では、日々さまざまな便利グッズが登場し、テントやシュラフもどんどん進化しているので、以前と比べると、かなり快適でお洒落に過ごせるようになっている。その一方で、小さなテントで野営をするサバイバルなアウトドアを楽しんでいる人たちもおり、キャンプの世界でも多様化が進んでいるのは確かだ。そんな中でSUVブームとともに注目を浴びるようになったのが、オーバーランドスタイルだ。そもそもオーバーランドとは、陸上を長距離移動するという意味。北米やオーストラリアでは比較的古くから親しまれているスタイルで、森林、岩場、砂漠、海岸などを走破しながら野営を繰り返し、長距離移動する様子は、まさにアドベンチャートリップと呼ぶにふさわしく、YouTubeなどでも紹介されていてカッコイイと評判だ。
オーバーランドスタイルは、バンコンでの旅と違ってアドベンチャー的要素が強いので、クルマは基本的にラングラーやハイラックスなどのクロカン4WDを使用し、さらにリフトアップや大径タイヤで武装していることが多い。
宿泊は地面にテントを設営することもあるが、野生動物に襲われる危険性もあるので、ルーフや荷台の上にルーフトップテントを設置するのが一般的なスタイルだ。
ポップアップルーフ型バンコンも流行の兆し?
東京キャンピングカーショー2023では、オーバーランドスタイル人気を受けてか、ポップアップルーフを装備したバンコンの出展が目立っていた。
ポップアップルーフ型バンコンは、ヨーロッパを中心に古くから愛用されていて、実はVWタイプⅡの時代から存在していた。日本では、VWヴァナゴンやメルセデスVクラスをベースにウエストファリア社がカスタムした車両が多く輸入されていたので、知っている方も多いだろう。
ポップアップルーフ型バンコンは、オーバーランドスタイルのようにルーフトップテントを単に乗せるのではなく、ルーフをカットしてベッドスペースなどを仮装するのが基本だ。こうすることで、バンコンのウイークポイントのひとつだった車内スペースの物足りなさを改善できるので、今後はバンコンの進化形として新たなトレンドとなるかもしれない。
ポップアップルーフ型バンコンのメリット・デメリット
走行中はコンパクトに、宿泊時は広々と使えるポップアップルーフ型バンコンは、日本という狭い国土に適したエブリイやハイエースをベース車両としている場合は、スペース効率上、大きなアドバンテージとなる。その反面、ルーフをくり抜いて仮装するので、通常のバンコンと比べると価格が高めになってしまうなどデメリットも存在する。
また、ポップアップルーフには、基本的に斜めに持ち上がるトライアングルタイプと水平に持ち上がるタワータイプの2つのタイプがあり、タイプによっても印象は異なる。そのことを踏まえ、東京キャンピングカーショー2023では、さまざまなタイプのポップアップルーフ型バンコンに実際に乗り込み、使い勝手などを検証してみた。
■メリット ・車内スペースや就寝スペースが拡大する。 ・基本ダンパー付きなので、比較的簡単に展開できる ・高さがあるので、車内を立って移動でき見晴らしもよい。 ・収納時はコンパクトなので、走行時の安定性がよく、日常の足として利用できる。 ・サンルーフのように日差しや風を取り込むことができる。 ・キッチン部分に1,600㎜以上の高さを確保できるので、8ナンバー登録が可能となる。
■デメリット ・車内からのルーフトップへのアクセスが大変。 ・床部分を展開するときも大変。 ・側面は布なので、断熱性や防音性が低い。 ・濡れたまま閉じるとカビが発生するので、使用後は乾かす必要がある。 ・仮装費用が上乗せになるため車両価格が高くなる。
このようにポップアップルーフ型バンコンは、メリットもたくさんあるが、デメリットもそれなりにある。とりわけ、車内からポップアップ部へアクセスするときは想像以上に大変で、イスやテーブルに一旦足を乗せ、懸垂するような形で登らなければならない。しかも、登った後は床を展開しなければならないが、これも足のやり場がなく、お世辞にも簡単とはいえない。
しかし、リアラダーやハシゴがあれば話は別で、車外から簡単にアクセスできるうえ、床の展開も比較的容易にできる。したがって、ポップアップルーフ型バンコンの購入を検討している方は、外部ハシゴの件も頭の片隅に入れておいた方がいいだろう。
後付けでもルーフトップ生活を満喫できる
ポップアップルーフ型バンコンは、予めカスタマイズされた車両なので、ノーマル車両をポップアップルーフに改造するのは手間や費用の観点から現実的ではない。しかし、オーバーランドスタイルのようにルーフトップテントを後付けするのは比較的簡単なので、ノーマル車両のオーナーでもルーフトップ生活へ移行することができる。
そんなスタイルを会場内で提案していたのが、ポルトガル・ジェームス・バロウド社製のルーフテント。ポップアップルーフ文化が古くから根付いているヨーロッパ製らしく、シェルはABSで一体成型されており、テントキャンバスも三層構造の生地を採用しているので、空力も耐久性も抜群だ。
実際にテント内へ乗り込んでみたが、とりわけエレベータールーフ型のフロンティアラインは広々としていて、見晴らしや通気性も申し分ない。軽自動車のルーフ幅に合わせた製品もラインアップされているので、その点でも興味深いアイテムだ。
今回は東京キャンピングカーショー2023で出展が目立ったポップアップルーフ型バンコンにフォーカスし、メリット・デメリットについて考察を行ったが、人気上昇中のオーバーランドスタイルを含め、今後のアウトドアシーンではルーフトップ生活の進化から目が離せないだろう。