購入後1万キロ走った総決算! やはり中古ジャガーは手がかかる! 【XK8購入記Vol.7】

中古ジャガーは他の高級ブランド車に比べて相場が安い。古くから「壊れる」「手がかかる」というのが定説になってしまったためだが、実際それほど壊れるのか、筆者自ら手に入れ1万キロを走った総決算から確かめていただきたい。
PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
オイルが盛大に漏れている!

1990年代以降のネオクラシックカーが再注目されて久しい。現在の新車が高価になったことも理由の一つだろうが、それ以上に運転して楽しいと感じられること、側面衝突などの安全基準が緩くスタイリングの自由度が高かったことなどが人気の理由ではないかと感じている。ネオクラの中でもスポーツ系モデルの人気は上昇中で、この連載が理由かどうか不明だが20年以上前のジャガーXKシリーズの中古車相場も上がり気味。とはいえ4リッター、4.2リッターのV8エンジンはスーパーチャージャー仕様もあって性能的に文句ないわりに中古車相場は比較的低い。これはやはり「中古ジャガーは壊れる」という世間の定説ゆえだろう。

そこで中古ジャガーが本当に壊れるのか人身御供となって確かめてみるのが当企画。昨年の暮れに入手して猛暑日が続く8月時点での走行距離が1万キロを走破した。そこでこれまでかかった費用を確かめてみることにした。費用の総額は最後に紹介するとして、ひとまず直近で起こったトラブルを紹介しよう。

パワーステアリング異常!

漏れたのはパワーステアリングフルードだった。
リビルト品のポンプと新品の高圧ホース。

順番として列記すると、前回の記事で右バンクの触媒を交換した。すると1ヶ月と経たないうちに未交換だった左バンクの触媒も音が発生して交換することになった。これでしばらく何事もなければと祈っていたが、今度はエアコンが不調になってきた。しっかり冷えているのだが、特定の条件で効かないことがある。でもエアコンの修理をひとまず先送りになった。

というのもある時、帰宅時にステアリングを切って車庫入れをしていたところ「グギッ」という異音が発生。なんだろうと思いつつ停車して迎えた翌朝、なんとボンネットの下で盛大なオイル染みができている。それが上の写真で、おそらくパワーステアリングが壊れたと想像しつつエンジンを始動してXK8を車庫から出そうとすると、「ミュオ〜ン」という音が出てパワステが効かなくなることがある。明かに壊れた…。

パワステのない状態で走るのは危険と判断して、J-Gear Labの長澤さんに出張修理をお願いすることになった。部品を確保してもらい修理してもらうと、以前の軽くも路面状況をしっかり伝えてくれるステアリング系が復活。使ったパーツはリビルト品のパワステポンプと新品の高圧ホースのみ。金額自体は想像以上に安価に済んだ。このことに代表されるよう、ネオクラ車の場合「エアコン」「パワステ」「AT」は確実に壊れる。これはジャガーに限ったことではないので、これからネオクラ車に乗ろうと思うなら、修理予算に組み込んでいてほしい。

内装手直しはDIYで

いつ見ても飽きのこないインテリア。
Aピラー内張が破れてしまった。

費用がかかるのは仕方ないとして、自らできる作業をDIYとすることで維持費用を抑えることも肝心だ。そこで以前からオイル交換内装の手直しは自ら行って記事にした。今回もその続きで、内装の気になる部分へ着手することとした。ウッドとレザーを多用するインテリアはジャガーのハイライトでもある。ところが日本の気候と合わないのか、傷みが出やすいことでも知られる。すでにルーフライナーも垂れ下がりつつあるのだが、それより運転中の視界に入る不具合を解消したい。それがAピラーの表皮剥がれ。入手時はもっと小さかったのだが、徐々に裂けている個所が広がり始めた。

工具ナシで外すことができる。
内張材から表皮を剥がす。

国産車の場合、内装材を外すために専用の工具を使うことが一般的だが、XK8のAピラーライナーは手で外すことができる。外側から慎重に外していくと、どこも割れることなく外せるのだ。表皮を剥がすのもカンタンだが、ライナー本体にスポンジが残ってしまう。できるだけスポンジ屑を落として表皮を再現したい。

用意した内装材にマジックで線を入れてハサミでカットする。
カットした表皮の裏へスプレーのりを塗布。

今回はJ-Gear Labの長澤さんから「ルーフを張り替えた時に余った材料があるのでお譲りします」との言葉をいただきご厚意に甘えたが、ネット通販大手でも入手可能。「ルーフライニング」や「ルーフライナー」「生地付きウレタン」などのワードで検索するとクルマ1台のルーフライナーを張り替えられるくらいのサイズで2〜4万円程度の複数商品が見つかる。これらを用いて内装表皮を一新することも可能だ。ひとまず左Aピラーだけに留めたのは、今後ルーフを含め自分でも張り替えられるかを見極めるための実験でもある。それが写真の工程というわけ。

表皮を裏まで回し込み接着させる。
ルーフライナーと色が違うが気にしない。

少々もっさりした仕上がりになっているのは、ライナー本体からしっかりスポンジ屑を落とし切れていないため。スクレーパーでゴシゴシ落としたのだが、ブラシで落とすのが効果的らしい。現在すでに半分近い面積でルーフライナーが垂れているため、時間のある時にDIYで張り替え作業にチャンレンジしようと考えている。

1万キロ走破後の総決算

猛暑日をなんとか切り抜けた我がXK8。

修理&部品代金:675,899円也!

明細まで書いているととんでもない行数になるため割愛するが、自動車税やガソリン代、オイル代などを含まない修理と部品代、さらにはグッズ関連にかかった総計が67万円以上にもなってしまった。この金額を高いとみるか、安いと見るかは人それぞれだろう。筆者としては想定内で、年間100万円以上かかるなら今後を見直そうと思っていた。中古ジャガーが手間要らずで乗れるはずもなく、修理費用が必要なことを前提としていたため車両代はできるだけ低く抑えた。もっと高価な物件を選んでも良かったのだが、どのみち維持費がかかるだろうと予想していたから現状は納得できる範囲なのだ。でもまだ、この後もトラブルは続くのだった…。

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著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…