クロストレック・レイバック・アウトバック……スバルのクロスオーバーSUVを比べてみた! サイズは? メカニズムは? 価格は?

スバルから新たなSUVレイバックが発売された。これで、インプレッサがベースのクロストレック、現在は日本では販売されていないレガシィがベースのアウトバック、そしてレヴォーグがベースのレイバックと、3種類のクロスオーバーSUVが揃ったわけだ。この3車種のサイズやメカニズム、価格の違いなどを簡単に比較してみよう。
PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)/中野幸次(NAKANO Kouji)

スバルのニューモデルである「レイバック」は、2022年にデビューした「クロストレック」同様に独立した車名を戴いてはいるが、クロストレックがインプレッサをベースにしているのと同様にレヴォーグをベースにしているのはご存知のとおり。いずれもベースモデルをオフロードテイスト、アウトドアテイスト色を強めたクロスオーバーSUVと言えるだろう。

ただ、レイバックはクロストレックやアウトバックまでオフロード色を高めておらず、ヘビーデューティな印象を強くする加飾も前二車よりも控えめになっている。むしろ、セダンボディのWRX S4の方がホイールアーチのクラッディングなど、そういった面が強いデザインに感じられるくらいだ。

レヴォーグ・レイバックの狙いは? “スバルの都会派SUV””土の香りがしない”とはどういうこと? 開発者に訊いてみた

新型スバル・レヴォーグ・レイバックがヴェールを抜いた。ベースになっているレヴォーグの良さを引…

そんなスバルのクロスオーバーSUV3モデルを多方面から比較してみよう。なお、FFモデルもラインナップするクロストレックについては、もちろん4WDモデルで比較している。なお、アウトバックは改良前のモデルが対象。

エクステリア……レイバックのSUVテイストはやや控えめ

当然ながらレイバックのエクステリアはレヴォーグがベースであるのだが、インプレッサとクロストレックの関係に比べるとその違いはあまり大きくない。フロントマスクこそ違いは顕著だが、リヤやサイドについてはほとんど変わっていないのではないかと思えるほど。

レイバック
レイバック

サイドビューの大きな違いはホイールアーチのクラッディングだが、これもクロストレックやアウトバックどころかWRX S4よりも控えめなものになっている。レヴォーグクロスが出るとすれば、WRX S4のクラッディングを使うのではないかと思われただけに意外なデザインではある。

クロストレック
クロストレック

そういう意味ではよりSUVとしての立ち位置を明確にしているクロストレックやアウトバックとのキャラクターの違いを表しているのかもしれない。

アウトバック
アウトバック

余談ではあるが、アウトバックはクロストレックやレイバックと違い、一応ではあるがレガシィの名前が残っている。

ボディサイズ……わかりやすく大・中・小

全長は、
クロストレック:4480mm
レイバック:4770mm
アウトバック:4870mm
とサイズの違いがわかりやすい。写真のとおり、クロストレックのリヤオーバーハングの短さが数字に表れている。

クロストレック(上)/レイバック(中)/アウトバック(下)

一方でホイールベースが、
クロストレック:2670mm
レイバック:2670mm
アウトバック:2745mm
となっており、クロストレックとレイバックのホイールベースは同値となっており、やはりリヤオーバーハングが全長の違いになっている。

クロストレック(左)/レイバック(中)/アウトバック(右)

全幅は、
クロストレック:1800mm
レイアバック:1820mm
アウトバック:1875m
となっており、レイバックは中間よりクロストレック寄りの車幅だ。ホイールアーチのクラッディングによりレヴォーグからは+25mmだが、取り回しに大きな違いはないだろう。

Levorg Layback

やっぱりひと味以上違う スバルが贈る“都市型SUV”レヴォーグ・レイバックをレヴォーグと比較してみた

スバルは9月7日、レヴォーグの派生車種であるレヴォーグ・レイバック(以下レイバック)を正式に…

クロストレック(左)/レイバック(中)/アウトバック(右)

全高は、
クロストレック:1575mm(ルーフレール装着車+5mm)
レイアバック:1570mm
アウトバック:1675m
となっており、やはりクロストレックとレイバックは近い数値で、僅差とはいえ最も全高の低いレイバックのキャラクターを表しているようだ。

しかし一方で最低地上高となると、
レイバック:200mm
クロストレック:200mm
アウトバック:213mm
で、不整地走行を考慮した数字は確保されている。ちなみに、フォレスターの最低地上高が220mmなので、200mmは十分な数値と言えるだろう。

車名クロストレックレイバックアウトバック
全長4480mm4770mm4870mm
全幅1800mm1820mm1875mm
全高1575mm(+5mm)1570mm1675mm
ホイールベース2670mm2670mm2745mm
最低地上高200mm200mm213mm
車両重量1560kg(Limited)1600kg1690kg(Limited EX)

レイバックは全長以外はほぼクロストレックに近い数値となっており、やはり際立つのはアウトバックが全体的にひと回り大きい。最小回転半径もクロストレックとレイバックが5.4mなのに対しアウトバックは5.5mと、少なからずボディサイズの違いが取り回しに影響する。逆に、レイバックはクロストレックの取り回しで余裕の動力性能と荷室が手に入るわけだ。

パワートレイン……ターボがハイブリッドか

レイバックに搭載されるエンジンはCB18型1.8L水平対向4気筒DOHCインタークーラーターボ。可変バルブタイミングの「AVCS」に直噴ターボの「DIT」だ。また、アウトバックに搭載されるエンジンも同様。177ps/30.6kgmと最高出力は控えめの数値になっている。

レイバック

配管の取り回しに若干の違いが見られるが、レイアウトなどはほとんど同じ。意外なのがレイバックのボンネットにダンパーが採用されていること。車格的にはアウトバックの方が上だが、レヴォーグの開発年次がアウトバックより後だからだろうか。

アウトバック

クロストレックはFB20型2.0L水平対向4気筒DOHC。AVCSで直噴は同様だが、こちらはNAエンジン。その代わりというわけではないが、モーターを搭載したハイブリッドとなっている。出力はエンジンの145ps/19.2kgmとモーターの13.6ps/6.6kgm。

クロストレック

3車種ともトランスミッションはリニアトロニック(CVT)だが、マニュアルモードはクロストレックが7速、レイバックとアウトバックは8速となっている。
燃料タンク容量もクロストレックが48Lのところ、レイバックとアウトバックは63Lと共通。燃料は全車レギュラーガソリンとなっており、CB18ターボはターボエンジンながらレギュラーガソリンなのがありがたい。

車名クロストレックレイバックアウトバック
エンジンFB20型
水平対向4気筒
DOHC16バルブAVCS直噴
CB18型
水平対向4気筒
DOHC16バルブAVCS直噴
インタクーラーターボ
CB18型
水平対向4気筒
DOHC16バルブAVCS直噴
インタクーラーターボ
排気量1995cc1795cc1795cc
ボア×ストローク(mm)84.0×90.080.6×88.080.6×88.0
圧縮比12.510.410.4
最高出力145ps/6000rpm177ps/5200-5600rpm177ps/5200-5600rpm
最大トルク19.2kgm/ 4000rpm30.6kgm/1600-3600rpm30.6kgm/1600-3600rpm
燃料タンク容量48L63L63L
燃料種類レギュラーレギュラーレギュラー
モーターMA1・交流同期電動機
モーター出力13.6ps
モータートルク6.6kgm
トランスミッションリニアトロニック(CVT)リニアトロニック(CVT)リニアトロニック(CVT)
マニュアルモード7速8速8速
駆動方式AWD
(FF)
AWDAWD
レイバック
アウトバック

タイヤとホイールのサイズは、
クロストレック:225/55R18(Limited)/225/60R17(Touring)
レイバック:225/55R18
アウトバック:225/60R18
となっており、クロストレックはグレードによってサイズが異なるが、レイバックとアウトバックはワンサイズ設定だ。クロストレックのLimitedグレードとレイバックは同サイズとなっている。

クロストレック(Touring)
クロストレック(Limited)

サスペンション形式はフロントにストラット、リヤにダブルウィッシュボーンという組み合わせは3車種共通で、13.5:1というステアリングギア比も同じだ。ブレーキも3車種とも前後ベンチレーテッドディスクを採用している。
また、クロストレックのみFFモデルがラインナップされるのが大きな違いとなっている。

車名クロストレックレイバックアウトバック
サスペンション前:ストラット
後:ダブルウィッシュボーン
前:ストラット
後:ダブルウィッシュボーン
前:ストラット
後:ダブルウィッシュボーン
タイヤ・ホイールサイズ225/55R18(Limited)
225/60R17(Touring)
225/55R18225/60R18
ステアリングギア比13.5:113.5:113.5:1
最小回転半径5.4m5.4m5.5m
ブレーキ(前後)ベンチレーテッドディスクベンチレーテッドディスクベンチレーテッドディスク

インテリア……縦型ディスプレイで共通性のあるコックピット

センターコンソールに縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムを配置するのは共通で、各部の意匠にも共通性があある。さらに、その他の操作系インターフェースも似通っており、スバル車としての統一感がある。場所が大きく異なるわけではないが、シフトレバーまわりのスイッチ類の配置が若干異なっているくらいか。

レイバック

また異なる点としては、レイバックはステアリングはDシェイプであることと、何よりスバルのSUVとしては唯一「X-MODE」が用意されていない点が挙げられる。

クロストレック(Touring)

センターコンソールに配置されるドリンクホルダーは、レイバックとアウトバックが左右並列配置。クロストレックがオフセットした前後配置(助手席側が左前、運転席側が右後)となっているのも、些細ではあるが3車の違いではある。

アウトバック

レヴォーグの流れを組むだけあって、レイバックのシートはスポーティだ。さらに、クロストレックとレイバックはブラック/グレー系であるのに対し、レイバックはトリコット/ファブリックでも本革でもブラックとアッシュの2色使いとなっており、他2車種とかなり印象が異なる。いずれも10way(助手席は8way)パワーシートが標準ないしオプションで用意され、本革シートの設定もある。

レイバック(リヤシート)
レイバック(フロントシート)

それぞれ十分な室内空間を確保しているものの、リヤシートはボディサイズが大きく影響してくる。特にリヤクォーターウィンドはボディサイズと比例しており、明るさや開放感はアウトバックが最も有利だ。

クロストレック(リヤシート)
クロストレック(フロントシート)

サイドシルのステップを広く取り、足の出し入れをしやすくしているのは共通だが、クロストレックとアウトバックはルーフへの積載も考慮してステップに滑り止め加工を施しているが、レイバックにはそのような処理は施されていないのがわかる。

アウトバック(リヤシート)
アウトバック(フロントシート)

ラゲッジルーム……使いやすさはレイバックが最良?

ボディの全長を考えればラゲッジルーム容量ではアウトバックが圧倒的に広いのかと思いきや、レイバックが意外と検討している。特に、床下のサブトランク容量はアウトバックよりも大きく、トランクルームだけでは及ばないもののサブトランクも含めた全体容量ではアウトバックと同程度の容量を実現しているという。

レイバック
レイバック
レイバック
レイバック

リヤシートの分割可倒方式は、クロストレックとアウトバックが6:4の二分割なのに対し、レイバックでは4:2:4 の3分割となっており、より多彩なラゲッジルームアレンジが可能になっている。

クロストレック
クロストレック

クロストレックとアウトバックはトランクスルーにもなっていないので、センターのみ倒して長物を積んで4名乗車という使い方はレイバックでしかできない。

アウトバック

荷室サイズと容量は以下の通りだが、200mmの最低地上高を確保しながら、床から荷室までの高さはアウトバックはもちろんクロストレックよりも低い。サブトランクを含めた容量や荷室のサイズ、リヤシートの分割可倒方式など考えると3車の中ではレイバックが一番ラゲッジルームの使い勝手が良いのかもしれない。

車名クロストレックレイバックアウトバック
荷室長814mm1070mm1086mm
開口幅1042mm1100mm1149mm
荷室高708mm771mm815mm
容量315L492L+サブトランク69L522L+サブトランク39L
荷室までの高さ780mm690mm715mm
スバル調べ

気になるグレードと価格は……?

レイバックは11月24日発売予定で、先行予約受付中。今のところ発表されているグレードは「Limited EX」のみで、価格は399万3000円と言われている。マイナーチェンジされたレヴォーグのC18B搭載グレードが、360万円(Smart Editon EX)、380万円(GT-H EX)、420万円(STI Sport EX)、435万円(STI Sport EX Black Interior Selection)と言われているので、STI SPORTは別格としてレヴォーグの1.8L系としては最上位モデルという位置付けといったところか。

クロストレックはAWDモデルに限って見て、上位グレードの「Limited」が328万9000円、標準グレードの「Touring」が288万2000円。
アウトバックは「Limited EX」が440万円、「X-BEAK EX」が425万7000円とグレードの価格差異が少ないが、これは上位/標準というわけではなくキャラクターの違いといったところ。
レイバックの400万円切りという価格設定は、やはりこの3車種の中間にあたる。

車名グレード価格(税込)
クロストレックTouring288万2000円
クロストレックLimited328万9000円
レイバックLimited EX399万3000円
アウトバックX-BEAK EX425万7000円
アウトバックLimited EX440万円

なお、「Limited」はスバルのSUVでは共通で使われるグレード名で、特別仕様車を除けば上位グレード的な位置付け。クロストレック(Limtied)との価格差を考えると、レイバックにも300万円台後半(360万円〜370万円程度)の「Touring」のような標準グレードが今後追加される可能性もあるのだろうか? 逆にレヴォーグ同様にSTI SPORTが追加される可能性……スバルの傾向としてはこちらの方が高そうだ。

レイバック(用品装着車)
STI製アルミホイール
STI製シフトノブ

※レイバック、レヴォーグの価格は編集部調べ
※アウトバックの価格は2023年9月の改良後のもの

キーワードで検索する

著者プロフィール

MotorFan編集部 近影

MotorFan編集部