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日本全国からモデューロX乗りが群馬に集結!
モデューロXのオーナーとその同伴者だけが参加できたこのイベントには、総計175台もの歴代モデューロXと、北は北海道、南は長崎県からそのオーナーたちが自走して集結。そのうちS660モデューロXが113台と全体の約2/3を占めていた。
だが裏を返せば、初代N-BOXやN-ONE、ヴェゼルのほか2代目フリード、5代目ステップワゴン、4代目フィットといった実用車をベースとするモデューロXのオーナーにも、コアなファンが少なからず存在することの裏付けと言えるだろう。
2013年1月に発売された最初のモデューロXである初代N-BOXモデューロXに乗って、モデューロ開発アドバイザーの土屋圭市さん、ホンダ純正アクセサリーアンバサダーでありレーシングドライバーの大津弘樹さん、ホンダアクセス・モデューロX開発統括の福田正剛さん、同じくモデューロX完成車性能担当の湯沢峰司さんが会場に現れると、SUPER GTでお馴染みのアナウンサー・ピエール北川さんとカーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さんを司会として、開会式を兼ねたトークショーが開始。
「『ニュルに行かなくても、ここなら路面にギャップも穴もツギハギもあるし、本当に路面が荒れているから、テストにはすごくいいですよ』と福田さんに教えた」と、今回の会場である群サイをModulo X開発に使うようになった経緯が土屋圭市さんから披露される。
また、フリードモデューロXは当初「元々タイプRに乗っていたお父さんが家庭を持った時に家族で乗るクルマとして企画されていた」(湯沢さん)が、「4ドア以上あるものは家族が必ず乗るから、2・3列目に乗る人が不快であってはならない」と考え、テスト走行する際もまず後席から試乗する土屋さんの「これじゃ後ろでコーヒーが飲めないよ」という鶴の一声で、同乗者にも優しい乗り味になったというエピソードなども明かされた。
そして、10年間で最も進化したこととして湯沢さんは、ボディ下面の空気の流れを整えて中高速域の操縦安定性を大幅に高める「実効空力」という考え方に基づいたエアロパーツを紹介。「コーナー進入時の安心感を空力で与えるためには、4つのタイヤをいかに使うかが重要。それを実現すると、荒れた路面でもサスペンションがしっかり動くようにもなる」と、「実効空力」の効果を分かりやすく訴求していた。
実効空力はコースインした瞬間から違いが分かる!
そんな「実効空力」の効果を体感できるコーナーとして、ステップワゴンまたはフリードのモデューロXに同乗して群サイの走行コースを体感する「群サイTAXI」、2代目N-BOXのルーフエンドに鋸歯(シェブロン)形状の「実効空力」デバイスを装着する前後でどのように走りが変化するかを、参加者自身が運転して確かめる「実効空力体感試乗」コーナーも展開。
トークショー後の抽選会でそのチャンスを得た幸運な参加者の皆さんは異口同音に、群サイをクルマで走行すると想像以上に過酷なコースであること、そして「シェブロンをN-BOXに装着すると安定感と安心感が全然違う。コースインした瞬間からそれが分かる」と、興奮気味に語っていた。
また「開発者テント」コーナーでは、モデューロXならではの走りを支える「実効空力」エアロパーツ、専用のサスペンションとアルミホイール、さらには「金庫のようなボディを“実効空力”で実現する」という今後のエアロパーツ開発を示唆した実験車両なども公開。
実車を用いた走行テストの現場でトライアル&エラーを繰り返し、数値には現れないベストな形状・セッティングを探っていく、モデューロXが10年間にわたり続けてきたこだわりの開発姿勢が見て取れた。
そして閉会式で、モデューロXシリーズ生みの親である福田さんが9月中に定年退職となり、後任に湯沢さんが就くことが発表されると、湯沢さんは感極まった表情を見せる。
だが福田さんから「湯沢らしくやってくれればそれでいい」と言葉をかけられると、湯沢さんは「モデューロXを作っているのは僕だけじゃない。デザイナーも開発スタッフも広報の皆さんも、みんなで作っていきたい」と宣言し、承継の証としてHondaの作業帽を福田さんから受け取ると、場内が暖かい拍手に包まれた。
半日に及んだこの大規模なイベントの最後には、参加者全員がパレードラン。群サイの走行コース全体を175台のモデューロXが埋め尽くし、華々しいフィナーレを迎えた。