アウトドアシーンで注目のオーバーランドスタイル! 好みのタイプをチョイスしてアドベンチャートリップに挑戦しよう

キャンプブームが一段落したといわれる中で、にわかに人気が高まっているのがオーバーランドスタイルによるキャンプだ。そんな中、以前からオーバーランドスタイル・キャンプを実践している「16BASE OVERLAND」のキャンプイベントには、本格的なオーバーランダーが多数集結。ここではタイプ別のオーバーランドスタイルを紹介するとともに、本物のオーバーランドスタイルを構築するうえで、オススメのパーツブランドとは何かを考察する。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

キャンプサイトの設営・撤収は意外と面倒⁉

キャンプといえば、テント、シュラフ、食材など必要なグッズをクルマに積み込んでキャンプ場へ出掛け、サイト設営を行ったうえで、料理や焚き火を楽しむというのが一般的なスタイル。お気に入りのテント、タープ、ランタンといったキャンプグッズを使いこなすのも、キャンプの醍醐味といっていいだろう。

そんな楽しいキャンプも、実態としてはテントやタープの設営・撤収は思いのほか重労働なので、昔からキャンプをやっているベテランといえども、この作業を何とか楽に済ませたいと思っているはず。最近のキャンプブームに触発されて始めたビギナーの場合は尚更で、設営・撤収の手間に加え、自宅ではキャンプグッズの置き場所にも困ってしまい、キャンプから遠のいていく人も少なくないようだ。

今流行りの2ルームテントの居心地は最高だが、設営や撤収に大きな労力と時間が必要になる。そこを何とか軽減したいと考えている方も多いだろう。

オーバーランドスタイルならばサイトの設営・撤収の手間が大幅に軽減できる!

「16BASE OVERLAND(https://16-base.jp/)」代表のイチローさんに、オーバーランドスタイルのメリットを伺ってみると、やはりキャンプサイトの設営・撤収の手間が大幅に軽減できることが最大のメリットだと語ってくれた。確かにその通りである!

ちなみに、筆者はキャンプ歴40年以上のキャンプ大好きオジサンだが、歳を重ねるごとにキャンプサイトの設営・撤収が体力的にきつくなっているし、帰宅してからもグッズのメンテなどで手間がかかるので、キャンプに対する熱量がやや落ちてきたことは確かだ。したがって、年配の方がバンコンやキャンピングカーへ移行したくなる気持ちはよく理解できる。

キャンプを手軽で楽に済ませたいならば、バンコンやキャンピングカーをチョイスする手もある。

とはいえ、バンコンやキャンピングカーへ移行するには、予算や駐車スペースの問題をクリアしなければならないので、やはりごく限られた方にしか実現できない。

その点を考えるとオーバーランドスタイルは、今乗っているクルマをベースに構築できるので、楽ちんキャンプへの近道といえる。しかも、クロカン4WDやSUVのオーナーならば、“キャンプをしながら冒険旅行を楽しむ”という本来のオーバーランドスタイルを即座に実践できるし、何よりもその野性的なフォルムはカッコいい!

LEXUS・RX450h+をベースにした「RX OUTDOOR CONCEPT」。クロカン4WDやSUVならばループトップテントを設置するだけで、簡単にオーバーランドスタイルに変身できる。<出典:LEXUS>

オーバーランドスタイルには、いくつかのタイプが存在する

ひとことでオーバーランドスタイルといっても、単にルーフトップテント+オーニングを載せれば完成というわけではなく、さまざまなタイプが存在する。そこで「16 BASE OVERLAND」のキャンプイベントに集結したオーバーランダーの中から、代表的なタイプやアイデア満載のタイプを紹介しよう。

■クロカン4WD+ルーフトップテント

このタイプは、2ボックスタイプのクロカン4WDオーナーならば比較的簡単に実現できるオーバーランドスタイルだ。基本的には、ルーフキャリアやルーフラックの上にルーフトップテントを載せると完成するが、予めルーフの広さやレインガーターの強度などを調査したうえで、フィットするサイズや重量のルーフトップテントを選ぶのが基本だ。

メルセデスベンツ・GクラスのルーフにiKaMPER社製のルーフトップテントを搭載したシンプルなオーバーランダー。このタイプならば比較的、簡単にオーバーランドスタイルを実現できる。
 

■ピックアップトラック+ルーフトップテント

今流行りのピックアップトラックにルーフトップテントを組み合わせたオーバーランドスタイル。野性的なフォルムは、とにかくカッコいい!荷台に直にルーフトップテントを搭載すると、テントへのアプローチが簡単で就寝時や走行時の安定性も抜群だ。しかも、全高を低く抑えることができるので、日常使いにも適している点は大きなアドバンテージとなる。

フォード・F150の荷台にiKaMPER社製のルーフトップテントを搭載したオーバーランドスタイル。ピックアップトラックベースのオーバーランダーは拡張性が高いので、今後注目のタイプといえる。

■クロカン4WD+ルーフトップテント+テントトレーラー

数あるオーバーランドスタイルの中で、名実ともに最強のオーバーランダーといえるのが、こちらのハマー・タイプ1+ルーフトップテント+テントトレーラーだ。ハマーのルーフにはMAGGIOLINA社製のルーフトップテントを搭載し、FFヒーターや外部シャワーを装備したFUNFORT社製の特注トレーラーを組み合わせたスタイルは、通常のキャンピングトレーラーとは一線を画した、まさに冒険旅行のためのオーバーランドスタイルといえる。

「16BASE OVERLAND」代表のイチローさんが所有するオーバーランダーは圧巻の大迫力!このクルマならば、過酷な冒険旅行でも難なくこなせそうだ。
トレーラーには大型のオーニングのほか、ボディサイドに引き出し式のシンクや調理テーブルが装備されており、短時間で豪華なキャンプサイトが構築できる。

■ピックアップトラック+キャノピー+ルーフトップテント+トレーラー

この車両は、キャンプ用カスタムトレーラーを手掛ける「FUNFORT社(https://funfort.jp/)」のデモカー。本来ならば、クルマ側(ハイラックス+キャノピー+THULE社製のルーフトップテント)だけでも立派なオーバーランダーといえるが、これにハイラックスの荷台を架装したトレーラーがドッキングされており、見た目も積載力も大幅にグレードアップされている。

しかも、ルーフトップテントは横置きタイプなので、まるでツリーハウスのような巨大なベッド空間を生み出している。ともかく、ハイラックス+ハイラックス荷台仕様のトレーラーは統一感があり、グッドアイデアといえるだろう。

ハイラックスの荷台にはSMARTCAP社製のキャノピーが装着されており、その上にルーフトップテントが載せてある。横置きタイプのテントなので、キャパシティは必要にして十分だ。
トレーラーのAフレームにハイラックスの荷台を架装するアイデアは特筆もの。まるで純正オプションのような素晴らしい仕上がりだ!

■クロカン4WD+テントトレーラー

ランドローバー・ディフェンダーにFUNFORT社製の小型テントトレーラーを組み合わせたオーバーランダー。トレーラーの場合は現地では切り離して独立した形で使用できるところもメリットだ。どちらにもDARCHE社製のオーニングを取り付けてあり、TPOに合わせて居場所を変えられるので、このパターンも使い勝手がよさそうだ。

ディフェンダーには大切な家族とワンちゃんをゆったり乗せ、テントトレーラーにはキャンプ道具を満載できるので、キャンプ場へのアクセスもストレスフリーだ。

こちらは同じくクロカン4WD+テントトレーラーのパターンだが、FONFORT社製のテントトレーラーには独自の工夫が施されていて、収納時はフラット&コンパクト、展開時は巨大なスペースのテントに様変わりする。

(左)収納時はテントがすべてボディの中に収まる構造だ。(右)テント展開時の内部。手前には巨大なリビングスペース、奥にはベッドスペースが現れる。

■軽クロカン4WD(ジムニー)+ルーフトップテント+トレーラー

ジムニーは車中泊はおろか、通常のキャンプでさえ荷物の収納には苦労するが、このタイプならば2名+ワンコでも快適なキャンプができそうだ。ポイントは、やはり荷物用のトレーラーがドッキングされていること。これならば長期間の冒険旅行も楽にできるだろう。

クルマもトレーラーもコンパクトサイズなので、取り回しや駐車も楽にできるはず。予算的にもリーズナブルなので、軽自動車オーナーには参考になるだろう。

クロカン4WD+オーニング(エクステンション付き)+カンガルーテント

オーバーランドスタイルの番外編として紹介したいのは、クロカン4WD+オーニング(エクステンション付き)+カンガルーテントのパターン。こちらはジープ・ラングラーにDARCHE社製のオーニングを左右1台ずつ取り付け、さらにエクステンションで周囲を囲むことで、クルマを中心とした簡易的なキャンプサイトを構築している。テントはカンガルースタイル(大きなテントの中に小さなテントを設置するスタイル)で、オーニング内部に設置するだけなので、設営も撤収も素早くできるはず。これもナイスアイデアだ!

2台のオーニングにエクステンションを取り付け、その中にリビングスペースとテントスペースを作り出している。これも新たなオーバーランドスタイルといえるかもしれない。

本格的なオーバーランダーを目指すならば本物を選ぼう!

北米やオーストラリアでは比較的古くから親しまれているオーバーランドスタイルは、そもそも森林、岩場、砂漠、海岸などを走破しながら野営を繰り返すアドベンチャートリップだ。それゆえ、ベース車両はクロカン4WDがメインとなるが、ルーフトップテント、オーニング、ルーフラックなどの装着パーツはハードな使用に耐える堅牢性や耐久性に加え、使い勝手を考慮した機能性が求められる。

オーバーランドスタイルに興味を持って世界に目を向けてみると、さまざまな国から触手をそそる専用パーツが数多く販売されており、デザイン、機能性、耐久性、対応車種、クオリティ、価格などもピンキリ。しかし、ハードな使用シーンを考えると、“安物買いの銭失い”とならぬよう本物をチョイスしておくのが賢い方法だ。

このオーニングは前後270度に展開できるDARCHE社製のECLIPSE 270。人がぶら下がれるほど丈夫なヒンジが採用されており、堅牢性、耐久性、使い勝手はピカイチの一流品だ。

そんなニーズに応えるべく、世界中から本物のオーバーランド用パーツやキャンプ用品を厳選し、販売をしているのが、今回のイベントにも参加していた「SOLID JAPAN社(https://www.solid-japan.com/)」代表の浅倉氏だ。同社のデモカーを拝見すると、FRONT RUNNER(南アフリカ製)、DARCHE(オーストラリア製)、SMARTCAP(南アフリカ製)、RELICAN(アメリカ製)など、世界中のオーバーランダーが愛用するプロ仕様の逸品ばかりが装着されていた。やはり、本格的なオーバーランダーを目指すならば、このような本物パーツで固めるのがオススメだ。

SOLID JAPAN社のデモカーと浅倉氏。ルーフラックはFRONT RUNNER、ルーフトップテントとオーニングはDARCHE、キャノピーはSMARTCAP、カーゴケースはRELICANを使用して仕上げている。

今回は「16BASE OVERLAND」のキャンプイベントに集結したオーバーランダーの中から、タイプ別のオーバーランドスタイルを紹介したが、今静かなブームとなっているこのスタイルは、クルマ+アウトドア好きのエンスージャストならば大いに気になっているはず。したがって、今後もオーバーランドスタイルのメリット・デメリットや構築方法などについてレポートし、その魅力について深掘りしていく予定だ。

やはりオーバーランドスタイルは大自然の中がよく似合う。今後のアウトドアシーンではオーバーランドスタイルから目が離せない。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…