大好きなミニのために設計した究極のガレージハウスは、まるで大人のオモチャ箱!【ガレージライフ探訪 Vol.1】

クルマ好きならば誰もが憧れるガレージライフ!そんな夢のようなクルマライフを実践している方々を紹介すべく、新たにスタートしたのが「ガレージライフ探訪」という企画。その記念すべき1番バッターを飾るのは、大好きなクラシック・ミニのために自らが設計したガレージハウスで究極のガレージライフを愉しまれているkupaさん。ガレージハウス内は、ミニや英国にまつわるアンティークグッズで埋め尽くされており、さながら「おとなのオモチャ箱」の様相を呈している。そのガレージハウスでの生活は如何なるものなのか、可能な限り多くの写真を用いてレポートしよう。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

発売から65年ほど経った現在も根強い人気を誇るクラシック・ミニ

まず、kupaさんが愛してやまないミニとはどんなクルマなのか、簡単におさらいしておこう。

1959年にイギリスで誕生したミニは、BMC(British Motor Corporation)が第二次中東戦争によるガソリン価格高騰対策として開発されたのが始まりだ。当時のBMCは、傘下にオースチンとモーリスという2つのブランドを所有していたことから、当初は「オースチン・セブン」と「モーリス・ミニ・マイナー」という名称で販売されていた。ちなみに、初代ミニ(以下、クラシック・ミニ)を開発したのは、アレック・イシゴニスというギリシャ生まれのエンジニアで、のちにミニ開発の功績が認められ、イギリス王室からナイトの称号が送られている。

その後BMCは、BLMC、オースチン・ローバーへと社名を変更し、1995年にはBMWの傘下に入ったが、クラシック・ミニは2000年に販売が終了するまでの約40年間で約530万台も販売されている。現在は、BMW MINIへバトンタッチされているが、クラシック・ミニは発売から65年ほど経った現在でも、丸みを帯びた可愛らしいフォルムに加え、独特の機構と乗り味で世界中のファンから愛され続けている。

左)現行のBMW MINI、(右)初代のイギリス製クラシック・ミニ。独特のクラシカルな雰囲気を持つミニは、新旧ともに熱烈なファンに支えられている。<出典:Pixabay>

小学生のころに出会ったクラシック・ミニへの愛をひたすら貫く!

現在、モーリス・ミニ・トラベラー(以下、トラベラー)と光岡自動車・ビュート(以下、ビュート)を所有するkupaさんは、自他ともに認めるクラシック・ミニの大ファンだ。

そもそもkupaさんがクラシック・ミニに興味を持ったのは、小学生のころまで遡る(さかのぼる)。そのころは、ルパン三世やシティハンターなどのアニメをよく見ていたそうだが、そこに出てくるクラシック・ミニがとてもカッコよく思えたのが憧れるきっかけだったそうだ。

それ以来、運転免許を取ったらクラシック・ミニに乗ると決めていて、まずは1996年式モンテカルロラリー仕様を新車で購入。その後は1991年式メイフェア、2000年式40thアニバーサリーリミテッド、1991年式キャブ最終車を乗り継いで、現在の1967年式トラベラーに至っている。Kupaさんは、実に27年間もの間クラシック・ミニ一筋の愛を貫く、名実ともに生粋のミニフリークだ。

kupaさんが以前乗っていた1991年式キャブ最終車。細部に至るまで美しくレストアされており、kupaさんのミニ愛を実感できる1台だ。

大好きなミニをあらゆる角度から眺めるためにガレージハウスを建築

20歳のころに念願だったクラシック・ミニとの生活をスタートしたkupaさんは、それだけでは飽き足らず、家にいるときもクラシック・ミニをさまざまな角度から眺めていたいという想いにかられ、18年前にガレージハウスの建築を決断!建築にあたっては、自分の想いやイメージを業者さんにより具体的に説明するため、得意のイラストを何枚も描いて業者さんとの詰めを行ったそうだ。

お気に入りの愛車とガレージハウスを前に満足げな表情のkupaさん。身だしなみも英国紳士風で、クラシック・ミニの生まれ故郷イギリスへのリスペクトも怠らない。
ガレージ内に設けられたカウンターで、自ら描いたガレージハウスのイラストともに建築当時の思い出を語るkupaさん。その熱意とイラストの素晴らしさに驚嘆!

設計にあたってイチバン重要視したのは、クラシック・ミニを俯瞰して(上から)見れるようにすること。実際にkumaさんのガレージハウスに伺ってみると、ガレージと接する1階ダイニングやガレージ右側面はガラス張りになっていてガレージを見渡せるほか、ガレージ上部に設置されたロフトからもガレージの全景とクラシック・ミニの俯瞰ショットを愉しむことができる。これはガレージハウスとしては、まさに理想的といえる構造で、その素晴らしい設計に思わず息を飲んでしまった。

ガレージ内は吹き抜け構造になっており、2階のロフトスペースから望むガレージとトラベラーの俯瞰ショットは格別だ。
1階ダイニングの側壁はガラス張りになっており、大好きなミニとガレージ内の様子を眺めることができる。何とも贅沢な設計だ!
ガレージの右側壁もガラス張りになっており、庭からもお気に入りのガレージ内を眺めることができる。ガレージ内にディスプレイされた装飾品もkupaさんのセンスが光っている。

アンティークグッズ満載のガレージハウスは、まるで大人のオモチャ箱!

kupaさんの凄さは、クラシック・ミニ一筋のミニ愛や理想的なガレージハウスだけにとどまらない。ガレージハウス内に立ち入ってみると、ガレージ内はもちろんのこと、ガレージに接するダイニング、ロフト、2階プライベートスペースの至るところにミニにまつわるグッズやkupaさんお気に入りのアンティークグッズが所狭しとディスプレイされており、まるでアンティークグッズ専門店に来たかのような錯覚に陥ってしまう。

ガレージ内には、kupaさんが長年掛けてコツコツ収集したミニにまつわるグッズやアンティークグッズが所狭しとディスプレイされている。
 
ガレージ内のカウンターでトラベラーを愛でながら寛ぐkupaさん。360度好きなものに囲まれて過ごすのは至福の喜びだろう。
 

ひとつひとつのグッズを取り上げると切りがないが、おそらく数にすると1000点以上はあるだろう。その一例を挙げると、ミニチュアカー、テーブルやイスなどのファニチャー類、写真やポスター、壁掛け時計、蛍光管式ディスプレイ、革製トランク、レコードプレーヤー、ラジオ、タイプライターなどが整然と隙間なくディスプレイされており、マニアならばヨダレが出そうなミニにまつわるグッズやアンティークグッズで埋め尽くされている。とにかくガレージハウス全体が、まるで大人のオモチャ箱のような空間に仕立てられていて、これぞ究極のガレージライフという印象だ。

2階プライベートスペースにもお気に入りのグッズがバランスよくディスプレイされている。左上の棚に収納されたミニチュアカーは、kupaさん的には1軍級の逸品だそうだ。
 
ガレージ上部のロフトスペースにもお気に入りグッズが満載!ここはこじんまりした空間なので、とても落ち着くのだそうだ。

トラベラーはクラシック・ミニ好きにとって最終到達点⁉

Kupaさんは、サルーンタイプのクラシック・ミニを4台乗り継いだのち、念願だった長物(ながもの)と呼ばれるトラベラーに乗り換えている。多くのクラシック・ミニのマニアにとっては、レースで活躍したクーパーSが憧れの存在だが、その一方でエステートタイプのトラベラーも、ウッドトリムや観音開きのリアドアを持つ独特のフォルム、エステートタイプの使い勝手のよさ、さらには希少性の高さなどからマニアの羨望の的となっている。つまり、クラシック・ミニ好きにしてみれば、トラベラーは最終到達点のひとつといえる存在なのだ。

ある日Kupaさんは、行きつけのミニ専門店(エムズコレクション)で上物のトラベラーを見つけ、すぐに乗り換えることを決断した。手始めにボディをアイランドブルーにオールペイントしたうえで、内装はオリジナルの状態を忠実に復元するのではなく、自身のセンスで明るい色調のツートンカラーにレストア。インパネに至っては、春夏用と秋冬用の2種類を用意するなど、独自のセンスでkupaさん好みのトラベラーに仕上げている。

エステートタイプのミニは、「オースチン・ミニ・カントリーマン」と「モーリス・ミニ・トラベラー」という名で1960年から1969年まで生産され、現在でもマニアを魅了し続けている。
内装はkupaさんの好みで明るい色調のブラウンとベージュの2トーンとし、それに合わせてステアリングもブラックからアイボリーに塗装されている。
エンジンは848cc直列4気筒OHV+SUツインキャブレターで34ps/6.08kgmを発生。補機類を含めて入念にメンテナンスを施し、長距離走行での信頼性を高めている。

生活の中心に居るのはいつもミニ!お気に入りの空間でミニとの時間を味わい尽くす日々

仕事や寝ている時間以外、ミニのことばかりを考えて生活しているのでは?と思えるほどミニ愛に満ち溢れているkupaさんは、ミニとの日常を毎日Instagramで発信している。その内容を見てみると、ガレージ内のカウンターでミニを眺めながら食事やコーヒーを楽しんだり、ミニのイラストを描いたり、トラベラーのラゲッジスペースにお気に入りのグッズをディスプレイしたり、プロジェクターでミニのYouTubeを観たり、とにかく時間さえあればミニとの時間を味わい尽くすことに専念している。

時間があるときは、趣味のひとつでもある料理をして、ガレージ内のカウンターでミニを愛でながら食事をするというkupaさん。まるで映画のワンシーンのような素敵な光景だ。
気が向けば、子供のころから培った絵の才能を活かして、ミニにまつわるイラストを描いて至福の時間を過ごしている。その腕前はプロ並みだ!
取材当日はトラベラーのラゲッジルームにお気に入りの革製トランクとレコードプレーヤーを積み込み、ビートルズの曲をかけて出迎えてくれた。その粋な演出と心遣いに感動!

当然ながら、kupaさんのミニ愛はガレージハウスの外でも発揮されていて、季節ごとにトラベラーをモチーフにした写真を撮りに行ったり、天気のよい日にはラゲッジスペースにピクニックセットを積んで出かけたり、ミニのイベントに参加したり、とにかくミニとの時間をとことん愉しんでいる。

季節感のある映えスポットを見つけては、トラベラーをモチーフとした写真を撮っているkupaさん。ここにもミニ愛が溢れている。
天気のよい日にはラゲッジスペースにピクニックセットを積んで、大好きなトラベラーとアウトドアを満喫している。シチュエーションや時間の使い方もイギリス風で徹底している。

今回はクラシック・ミニに惚れ込んで、誰もが羨むような究極のガレージライフを送っているkupaさんのガレージハウスや日常についてレポートした。普通の感覚だと、すでに夢は完結しているように見えるが、今後はトラベラーのラゲッジスペースにご自慢のアンティークグッズを満載してフリマに出店したり、ダイハツ・トッポミニのマスクをミニ風に改造してキッチンカーをやってみたいと語るなど、まだまだ夢は尽きない様子。おそらくkupaさんは、この先もクラシック・ミニへの愛を貫き、日々新たな愉しみ方を見つけながら、より一層充実したガレージライフを送っていくだろう。

クルマ好きにとってガレージライフは憧れの的!いつかはkupaさんのように素敵なライフスタイルを実践したいと思っている方は少なくないだろう。
 

キーワードで検索する

著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…