でっかいダンプの最新仕様の『トミカ』がこちらです! | トミカ × リアルカー オールカタログ / No.103 日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?

No.103 日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3 (荷台上下・希望小売価格550円・税込)
No.103 日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3 商品リヤスタイル。

それまでの『トミカ』の『No.103 日産ノート』に替わり、2024年3月の第三土曜日に加わったのが『No.103 日立建機 リジッドダンプトラック EH3500AC-3』です。以前、『トミカ』では『日立建機 リジッドダンプトラック EH3500ACII』という商品が販売されていましたが、そのモデルチェンジ版にあたるものと考えてよいでしょう。

日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3 実車フロントビュー。
日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3 実車リヤビュー。

リジッドダンプトラックとはダンプトラックの中でも大型土木工事の現場や鉱山などで活用される大型の車両で、乗用車と同様に前輪で舵を取る機構を備えたものを言います。「リジッド=曲げられない」とは、連結列車のように車体自体が屈曲することで舵を取るアーティキュレート式に対置して付けられた名称です。いわゆる重ダンプトラックに分類され、基本的には公道走行は不可能です。採石場や鉱山などで用いられる車両を特にホウルトラック、あるいはマイニング(鉱石場)・ダンプトラック、ダンパーなどと呼びます。
JCMA(一般社団法人 日本建設機械施工協会)によると、リジッドダンプトラックはコマーシャルトラックをベースに、米国ユークリッド社によって1934年に開発された15t積みダンプトラックが最初と言われているそうです。国内で最初に使われたのは、1953(昭和28)年に着工した佐久間ダム建設工事で、ユークリッド社製の15t積みが使用されました。その後、御母衣ダム工事には20t積み、九頭竜ダム工事には27t積みと、次々と大型化された輸入車が使用されています。国産車では国土復興事業と政府の国産化政策により、1956(昭和31)年に国産の15t積みが開発されて佐久間ダムに投入されています。

日立建機 リジッドダンプ EHシリーズのコクピット。これだけ見れば普通にダンプカーやトラックの運転席のようだが、実際には巨大な車体を持ち、ビルの3階ぐらいの高さにあるため、まるで船の操舵室のような感じだ。(画像はEH3500AC-Ⅱ)

性能、機能からみると、現在のリジッドダンプトラックの原型ができたのは1957(昭和32年)ごろで、トルクコンバーター付きトランスミッションとハイドロニューマチックサスペンションが採用されていました。
積載時の長距離降坂時に十分な連続ブレーキ容量(いわゆるリターダ)としては、油を攪拌することによりエネルギーを吸収するハイドロリックリターダが一般的でしたが、1962(昭和37)年に開発された32t積みでは後輪に油冷多板式ブレーキが採用されました。また、大型化と運転居住性向上要望に伴い1975(昭和50)年に発売された46t積みでは電子制御式フルオートマチック式トランスミッションが採用され、その後一般的となっています。
生産性向上の面からは重量当たりエンジン出力が増加され、32tクラスのエンジン出力は1965年あたり(昭和40年代半ばごろ)には300kW未満であったものが、現在では約380kWになっています。安全性の点ではエマージェンシーブレーキとエマージェンシーステアリングがほとんどの機種で標準装備されるようになっています。
さて、『トミカ』になっている日立建機のリジッドダンプトラックは、世界の大規模鉱山で掘削した資源を効率良く運搬するために開発された車両です。それまでボルボ・ミシガン・ユークリッドのリジッドダンプR60などを輸入販売していた日立建機は、2000年にユークリッド社と協力し、ユークリッド日立としてEHシリーズ(Eはユークリッド、Hは日立をあらわす)のリジッドダンプトラックを開発しました。ちなみに、このシリーズの中でもEH5000AC-3 は国産車最大級の積載量を誇っています。

日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3に採用されているAC電気駆動装置の概念図、一般にディーゼル・エレクトリックと呼ばれる駆動方式で、エンジンで発電した電力を制御しつつホイールのモーターを駆動させるものであり、いわゆるシリーズ式ハイブリッド方式の一種。

さて、『トミカ』になったリジッドダンプトラック EH3500AC3は、2008年にデビューしたEH3500ACシリーズの最新型になります。ちなみに超大型のEHシリーズの中ではEH3500ACは最小クラスとなります。この車両には走行装置として日立製作所と共同開発したAC電気駆動装置が採用されています。これは一般的にはディーゼル・エレクトリック方式と呼ばれる駆動方式で、ディーゼルエンジンで発電機を回して発電した電力を、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor=絶縁ゲート型バイポーラトランジスター/電力の制御や供給を行なう半導体)インバーターを採用したコントロールキャビネットで制御しながら、AC(交流)ホイールモーターを駆動させることで、高度な車体制御による安定的な走行を実現するもの。最近では乗用車でもよく見られるようになった、いわゆるシリーズ式ハイブリッド方式の一種で、従来の機械式に比べて操作性やメンテナンス性の向上、車体のスリップやタイヤのロックなどを緩和する車体安定化制御が可能であるといった利点があります。

日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3に採用されているディーゼルエンジンはカミンズ製のQSKTA50-CE型。(Photo:Cummins)

なお、EH3500AC3に搭載されている最高出力1491kWのカミンズ製 QSKTA50-CE型ディーゼルエンジンは、優れた信頼性と低燃費を実現するとともに、米国EPA Tier2の排出ガス規制にも対応した環境にもやさしいエンジンです。加えて日立のACホイールモーターは整流子やブラシがないため、メンテナンスコストの削減、トラックの稼働率や走行速度の向上など、トラックの性能を向上させることができます。この、稼動率と走行速度の向上は、生産性の向上とトン当たりのコスト削減につながります。また、インバータモジュールは、高剛性でトラックの制御性と効率性を高めます。
さて、ボックスセクションと長方形のフレームレールで構成されたEH3500AC3のフレームは、曲げやねじりに強い構造になっています。また、上下のフランジが一体化しているためクロスメンバーのつなぎ目がなく、センター部分の露出度が高いため、主要部品へのアクセスが容易なものになっています。ボディに目を向けると、全長にわたって水平スティフナーが荷重の衝撃を分散させることで、応力集中を最小限に抑えています。また、スティフナーの間隔を狭くすることで、支持されていない部分の距離を短くし、保護性を高めています。つまり、寿命が長いフレームとタフなボディを備えているという事です。運転手の死角を補うために全周囲安全確認支援装置SkyAngle(スカイアングル)を搭載している点も見逃せない特徴です。
このシリーズの派生車両として、登坂路などに敷設された架線に流れる電力を車体上部に搭載されたパンタグラフによって、あたかも電車のように取り込むことで、車載のエンジン=発電機を使わずに走行可能とした“トロリー受電式”リジッドダンプトラックがあります。これは架線区間で約2倍の速度を実現しており、エンジン負荷低減によるメンテナンスコストとCO2 排出量の抑制により、運用コストの低減と環境負荷の低減に同時に貢献しています。

巨大な日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3には、やはり大きなサイズのローディングショベルEXシリーズという“相棒”がいる。『トミカ』でも発売されているので、ぜひセットでそろえたい。(画像はEX3600です)。

さて、『トミカ』の『No.103 日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3』は、実際には長さ13メートル以上、高さ7メートル弱という、2階建て家屋のような大きさのダンプトラックが持つ迫力やユニークなデザインを的確にとらえています。また、ダンプトラックならではの、荷台の上下動アクションも楽しめます。
そしてこの巨大なダンプトラックには、実は同じように巨大な“相棒”がいます。2024年3月現在、『トミカ』のNo.25として発売されている『日立建機 ローディングショベル EX8000-7』がそれで、実際の鉱山や採掘現場、あるいは大型土木工事現場では、このローディングショベルが掘り出した土砂などをリジッドダンプトラックに積み込む光景がよく見られます。ぜひコンビでそろえてあげると良いでしょう。

■日立建機 リジッドダンプトラック EH3500AC3 主要諸元

全長×全幅×全高(mm):13560×9130(サイドミラー含む)×7000(荷台水平状態)
ホイールベース(mm):5620
トレッド(前後・mm) :5400/4340
車両重量(運転質量/空車重量)(kg/NET):141000
ペイロード:181トン(公称)
エンジン形式:カミンズQSKTA50-CE型 V型16気筒ターボディーゼル
総行程容積(cc):50300
定格出力(グロス):1491kW(2027ps)/1900rpm
最大トルク:7871Nm(802.6kgm)/1500min-1(rpm)
最高速度:56km/h
サスペンション(前/後):ストラット/リジッド
電気ブレーキ:チョッパ制御式
サービスブレーキ(前後):乾式単板ディスク式
タイヤサイズ(前後): 37.00R57

■毎月第3土曜日はトミカの日!

No.16 トヨタ シエンタ (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2024年3月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.103 日産ノート』に代わって『No.103 日立建機 リジッドダンプ EH3500AC-3』が登場します。また、それまでの『No.16 フィアット500e』に代わって『No.16 トヨタ シエンタ』が登場します。『No.16 トヨタ シエンタ』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。

No.16 トヨタ シエンタ (初回特別仕様) (サスペンション可動・希望小売価格550円・税込)*初回のみの特別仕様(特別色)です。

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