36年前、本州と北海道を結ぶ「青函トンネル」が開通【今日は何の日?3月13日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月13日は、本州(青森県今別町)と北海道(北海道知内町)を繋ぐ、総延長53.85km(海底区間23.3km)の当時世界一の長さを誇った海底トンネル「青函トンネル」が開通した日だ。

世界最長の海底トンネル53.85kmの青函トンネル完成

1988(昭和63)年3月13日、本州と北海道を結ぶ青函トンネルが開通。青函トンネルの構想が作られたのは1946年だったが、1964年に着工、数々の困難を乗り越えて24年後に海底部23.3km、総延長53.85kmの当時世界一の長さを誇った海底トンネルが誕生したのだ。

青函トンネルを通過する貨物列車イメージ

青函連絡船の海難事故がトンネル工事を加速

青函トンネルは、青森県今別町から北海道知内町まで延びる総延長53.85kmの海底鉄道トンネル。海底区間は23.3kmで、海底トンネルとしては当時世界第1位の長さを誇った。ちなみに現在は2位で、1位は英仏海峡トンネルの37.9kmである。

海底からトンネルまでの最小土被りは100m、最大水深が140mと、青函トンネルは海底の浅い部分を選んで掘られている。トンネルは幅9.7m、高さ7.85mの馬蹄型で、コンクリート板の上に3本のレールが敷設できる三線式スラブ軌道が採用されており、将来的に新幹線(2016年に開通)が通ることが想定されていた。
青函トンネルは、構想段階でその規模や厳しい環境条件から実現は困難という意見が多かった。しかし、1954年台風15号による青函連絡船“洞爺丸”の悲惨な沈没事故で、早急にトンネルが必要との機運が高まり、足踏みしていたトンネル工事が加速したと言われている。

海底トンネルを成功させた掘削技術

困難を極めた青函海底トンネルの成功には、以下の3つの掘削技術が大きく貢献した。着工時には確立されていなかったこれらの技術は、日々の改良の積み重ねで精度が高まり、今では海底部の工事には欠かせない技術となっている。

・先進ボーリング
本格的なトンネル工事に入る前に、掘り進む掘削面に小さな孔をあけて地質を調べる技術。それまで90m程度先だったものが、青函トンネルでは常時1km先の調査ができるようになった。

・地盤注入
トンネル径の3~5倍の範囲に届くよう、斜め前方に放射状にあけた無数の細い孔へ薬品入りのセメントを注入。地盤をしっかりと固め、水の浸入を防いでから掘削が可能となった。

・吹き付けコンクリート
壁にコンクリートを吹き付け、急速に固めて表面を覆うことで、掘った直後の壁面のゆるみや崩れが防止できた。

トンネル採掘イメージ

青函トンネル開通の成果

青函トンネル開通の最大の成果は、時間短縮と輸送効率の向上である。
津軽海峡を横断するための所要時間は、青函連絡船が3時間50分(青函連絡船はトンネル開通とともに運行終了)だったのに対し、鉄道では青森~函館間で約2時間、新幹線なら約1時間(新青森~新函館北斗)と大幅な時間削減ができた。
また、連絡船と鉄道の乗り継ぎなしに直通運行が可能となったため、旅客、貨物とも乗り換えと積み替えの不便が解消するとともに、接続待ち合わせに要する時間の短縮も可能に。さらに、連絡船による海上輸送が天候の影響を受けたのに対し、天候に影響されない安定した輸送が可能となったことも大きなメリットである。

青函トンネルを通過する新幹線イメージ

青函トンネルでは自動車が通行できないので津軽海峡大橋があればと思うが、長くて深い津軽海峡に橋を渡すには膨大な費用がかかり、また冬季は通行できない期間が予想されるので、採算が取れないために具体的な計画はないようである。一方で、まだ先のことだろうが、自動車用の第二青函トンネルの構想はあるようなので期待したい。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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