AWD化で加速力はF1を凌駕!フォーミュラEが“GEN3 Evo”を公開、レース中の高速充電も導入へ

シリーズ創設から10年目を迎えているフォーミュラE。現行のマシンはシリーズ史上最高のパフォーマンスを持っているが、来シーズンにはそれを進化させたGEN3 Evoが導入される。このマシンは特定の条件下でAWD化され、静止状態からの加速力はF1マシンを上回るという。

FIAフォーミュラE世界選手権は4月25日、現行の第3世代マシン“GEN3”の改良モデルである“GEN3 Evo”を公開。2024/25年に行われるシーズン11から導入することを明らかにした。

現在使用されているGEN3は昨季のシーズン9にデビュー。従来のマシンよりもボディが軽量・コンパクトになった一方で、最高出力は350kW(約456PS)まで引き上げられた。これまで通り、リヤに加減速の両方で働くパワートレインを搭載する一方で、フロントには回生専用のパワートレインが追加されエネルギー回生力を向上。レースに使用するエネルギーの40%を回生電力が担う。

来シーズンに登場するGEN3 Evoは、現行マシンから動力性能とエネルギー効率が改善されている。

マシンはフォーミュラE史上初めてAWD化がされる。前輪が加速時にも働くのは予選やレーススタート時、そしてアタックモード作動時に限定されるが、これにより加速力が飛躍的に向上。0-60mph加速は現行のF1マシンよりも30%速く、GEN3マシンよりも36%速い、1.82秒を記録する(0-100km/h加速は1.86秒)。

また、600kwの回生ブレーキのパフォーマンスも最適化され、回生できるエネルギー量は決勝レースで使用するエネルギーの50%近くまで増加する。さらに、現在開発が進められている超高速の充電機能も備えられ、レース中に30秒間の600kw高速充電を行い、エネルギーを追加できるように設計されている。

新たなボディワークはこれまでのものよりも細身で鋭利な印象で、より頑丈に設計されている。タイヤは引き続きハンコックのオールウェザータイヤが使用されるが、グリップは5~10%ほど増加しているという。

レースに使うエネルギーの4割を回生!第3世代マシン「Gen3」はほぼ“モーターで減速”する【MF的フォーミュラEひとくち解説 その5】

日本のレース史において、本格的な四輪のレーシングカーが公道を走る初めてのレースとなる東京E-Prixの開催まであと10日。これまでは参戦するメーカーなどを紹介してきたが、今回は各チームが走らせるマシンについてお届けする。

フォーミュラEのジェフ・ドッズCEOは、GEN3 Evoの導入に際し次のようにコメントしている。

「GEN3 Evoは、フォーミュラEの進化における画期的な章を告げるものであり、持続可能なかたちで達成されるイノベーションとハイパフォーマンスへの献身を体現するものだ。前例のない加速と先進的な空力設計を特徴とするこのマシンをモナコでお披露目できたことを光栄に思う。このマシンの真に優れた能力とパフォーマンスで世界中のドライバーとファンを魅了し、レースのスリルをさらに高めるだろう」

GEN3 Evo マシンギャラリー

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