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「三菱自動車4WD登坂キット体験イベント」はモーターファンフェスタでも人気のコンテンツ
三菱自動車では、モーターファンフェスタのようなイベント会場や自社販売店の駐車場などで、三菱製4WDのポテンシャルの高さを体験できる「三菱自動車4WD登坂キット体験イベント」を開催している。モーターファンフェスタでは、毎年恒例の人気コンテンツとなっており、今年も多くのお客様が訪れてプロドライバーが操る試乗車に同乗し、三菱製4WDが持つ潜在能力の高さを体験していた。
「最大傾斜45度の急坂登坂」をはじめ5つのセクションを設置
今回のモーターファンフェスタでは、横方向20度の斜面を横切る「キャンバー走行」、滑りやすい路面状況での走破性を体験できる「4輪制御」、ゴツゴツした岩場のようなイメージの「階段昇降」、3段階の大急坂登坂を体験できる「最大傾斜45度の急坂登坂」、そしてFCM(衝突被害軽減ブレーキシステム)を体験できる「ブレーキ制御」の5つのセクションで三菱製4WDのポテンシャルを体験できるようになっていた。
ドライバーは三菱自動車を代表する増岡浩さんと小出一登さんが担当
この体験イベントは、高度な走行テクニックを要求されるほか、各種アクシデントを防止するうえでも一般の方は運転できない。そのため、今回のイベントでは三菱自動車に所属する7名のプロドライバーの中から、パリダカ2連覇を達成したラリードライバーの増岡浩さんと、市販車の開発テストドライバーやインストラクターを務める小出一登さんが担当。2台用意された試乗車のうちトライトンは増岡さん、デリカD5は小出さんがステアリングを握った。
改めて三菱製4WDのポテンシャルの高さを実感!
いよいよ体験コースへ出て、各パセクションで三菱製4WDの実力を体感する時がやってきた。最初は小出さんが操るデリカD5、次に増岡さんが操るトライトンという順で同乗したが、結論からいうと、どちらも想像以上の走行性能を持っており、改めて最新の三菱製4WDのポテンシャルの高さを実感できた。
では、各セクションでの様子をレポートしていこう。
■キャンバー走行セクション
ここは横方向20度の斜面を横切って、傾いたときの安定性、ボディのねじれ剛性、脚の長さなどを体験するセクションだ。
まず、デリカD5で斜面に侵入すると右後輪が完全に宙に浮いてしまうが、姿勢がふらつくことはなく抜群の安定感を示してくれた。また、傾いたままの姿勢でリアスライドドアを開けてみたが、ボディがねじれる様子は一切なく、閉めるときも何事もなかったかのようにスムーズに元の位置へ収まった。
ご存知のとおり、デリカD5はモノコックボディだが、このボディ剛性の高さには驚きを感じざるを得ない。おそらく、肋骨のようにキャビンを支えるリブボーンフレームが、かなり効いているのだろう。
ずっと以前のことだが、初代パジェロでオフロード走行中にスタックしたことがあり、このときはリアハッチゲートが歪んでしまって開かなかったことがある。ラダーフレーム構造のパジェロでさえ、このような状態だったが、最近はモノコックボディといえども恐るべき進化を遂げているようだ。
一方のトライトンでは、安定感やボディ剛性もさることながら、20度の傾斜でもボディはほぼ水平を保ち、サスペンションストロークの長さが際立っていた。この辺りはデリカD5と異なり、やはり本格的クロカン4WDの本領発揮といったところだ。ちなみに、トライトンの最大安定傾斜角は45度なので、この程度の傾斜ならば何の心配も要らない。
■4輪制御セクション
ここは雪道や砂漠、泥道などの滑りやすい路面状況での走破性を体験できるセクションだ。体験装置には右前輪と左後輪にローラーが付いていて、それらの車輪が同時に空転する状況を再現している。
このセクションでは、デリカD5は「4WDロック」、トライトンは「4HLc」にドライブモードをセレクト。4WD機構を持たないクルマでは、完全にスタックしてしまうシチュエーションだが、多彩な4輪駆動モード+センターデフロック機構を搭載した両車は、いとも簡単にクリアすることができた。
■階段昇降セクション
ここはゴツゴツした岩場などをイメージした階段昇降路で登坂性能やグランドクリアランス、乗り心地などを体験できるセクションだ。
結果は想像どおりで、両車ともトルクフルなエンジンのお陰で登坂をスムーズに登っていくうえ、短いピッチで凸凹のある階段でもポンポン跳ねることもなく、しなやかな乗り心地を示してくれた。
ちなみに、このセクションの傾斜角度は上り下りとも20.0度。しかも、上り下りが連続するので、頂点付近では腹付きの恐れがあり、ランプブレークオーバーアングルも重要なファクターとなる。しかし、デリカD5とトライトンのグランドクリアランスは十分に確保されているので、両車とも何の問題もなくセクションをクリアできた。
【デリカD5のグランドクリアランス】 ・アプローチアングル:21.0度 ・ディパーチャーアングル:23度 ・ランプブレークオーバーアングル:16.5度 【トライトンのグランドクリアランス】 ・アプローチアングル:30.4度 ・ディパーチャーアングル:22.8度 ・ランプブレークオーバーアングル: 23.4度。
■最大傾斜45度急坂登坂セクション
ここは、このイベントでの目玉となっている急こう配の登坂を体験できるセクションだ。最初は20度、そのあとは30度、45度と段階的に傾斜がきつくなっていく。
スタートラインについて頂上付近を見てみると、想像以上の高さにやや恐怖感を覚えてしまう。この傾斜角度は、オフロードコースでも滅多にお目にかかれない急こう配なので、このような機会は貴重だ。
スタート後、両車は勢いもつけずに低速でグイグイ登っていく。そのトルクの高さには脱帽だ。トライトンは、その先の30度付近で一旦停止して、アクセルから一瞬足を離してくれたが、HAS(ヒルスタートアシスト)のお陰で車体はずり落ちることはなかった。ただし、その姿勢を保持できるのは2秒間だけだ。
いよいよ登坂路の頂点に到達すると、体には大きな重力がかかり、車窓からの景色も見たことのない角度になっていて、まるでジェットコースターに乗っている気分だ。
トライトンの最大安定傾斜角は48度なので、頂上の45度は限界に近い角度だが、ひっくり返るような様子もなく、安定して停止していたのは素晴らしい。
一方の下りについては、「HDC」ヒルディセントコントロールをオンにしたお陰で、自動的に速度が制御されており、とても安心して乗っていることができた。
■ブレーキ制御セクション
この体験コースのラストを飾るのは、FCM(衝突被害軽減ブレーキシステム)の性能を体験できるセクション。コースには人間に見立てた増岡さんの等身大の写真が立っており、そこに向かってノーブレーキで前進していく設定だ。
これは停まるとわかっていても、実際に体験してみると意外とドキドキする。トライトンの場合は、写真まで2mほど手前で急ブレーキがかかり、見事に衝突を回避できた。やはり、運転支援システムはありがたく、できれば装備しているクルマに乗っていたいと感じさせる体験だった。
今回は、モーターファンフェスタ2024のコンテンツとして出展された「三菱自動車4WD登坂キット体験イベント」についてレポートしたが、本格派4WDのポテンシャルを身を持って体感できるうえ、子供から大人まで幅広く楽しめる内容なので、すべてのクルマファンにオススメできるイベントという印象。モーターファンフェスタではもちろん、全国各地で定期的に開催しているので、興味のある方は三菱自動車のHPで調べて出かけてみるとよいだろう。