清水和夫さんの喜びの声
国際モータージャーナリストの清水和夫さんが全日本ラリーでクラス優勝を飾った。実に41年ぶりの優勝となる。
1980年代にラリー活動を行なっていた清水さんは、一旦はサーキットでのレース活動をメインとしていたが、2017年にラリー活動を再開。トヨタVitz(CVT)でTOYOTA Gazoo Racingラリーチャレンジに参戦すると、2019年前からは全日本ラリーに再参戦していた。2024年シーズンは、1800㏄以下のハイブリッド車や電気自動車などで争われるJN6クラスにエントリー。そして今回の「全日本ラリー YUHO RALLY TANGO supported by Nissin Mfg」で41年ぶりの全日本ラリー優勝を飾ったのだ。
そんな清水和夫さんに優勝直後の喜びの声を聞いた。
MF:優勝おめでとうございます!
清水:1983年の全日本ラリー第1戦DCCSウインターラリーにスバル・レオーネで勝って以来だから、41年ぶりだよ! まさか40年後にこういうところに立てるとは思っていなかったな。あのときは綾部(美津雄)さんみたいな目標となる選手がいて闘争心を燃やしていたけど、いまこうして戦っているのも天野智之選手というレジェンドであり大きな目標となる選手がいるから。そして、海⽼原孝敬選手とふたりで天野選手を追いかけてきたから頑張れた。ふたりには本当に感謝だね。
MF:最終日(日曜日)1本目のSSを終えてトップで帰ってきましたが、どんな気分でしたか?
清水:こんなプレッシャーがかかったのは久しぶり。最後のSSで天野さんと6秒差。一発ミスったら終わりだったからね。安パイでいっても、(追いかける)天野さんはプッシュしてくるだろうからね。こんなに自分の気持ちが高まったというのは久しぶり。これはいいね。やめられないよ。
MF:グループA時代と同じ緊張感とおっしゃってましたね。
清水:あのころは、星野(一義)さんを追いかけても届かなかったけど、ADVANの(土屋)圭市とかあのへんとはバトルできていて、そういうライバルと戦いながら上を目指していたんだよね。レースもラリーも切磋琢磨するライバルがいてこそ。ほんと面白い。
MF:4年前にラリーを再開されて、まだまだ運転がうまくなっているし、タイムも伸びているといつもおっしゃっていますが、その理由は?
清水:若いころは有視界のラリーで、レースはまた違うマシンコントロールでやってきた。そして、またラリーをやるようになってからは、改めてペースノートとデータを活用した近代ラリーにチャレンジしています。今はデジタルのデータがたくさんあるので、動画含めて走りを分析できていて、走りに活かされていますね。チームが走りやクルマのデータを取って教えてくれるので、F1じゃないけど本当に総合力でのラリーなんだなと感じていますよ。
MF:コ・ドライバーの存在も大きいのではないですか?
清水:(山本)磨美はもう……ピカいちですね。僕は完璧にコントロールされているし、ちょっと突っ込みすぎると「こらっ!」って怒られる。逆にプッシュするべきときはプッシュしなさいと。やっぱりコ・ドライバーの存在は大きいですよ。
MF:41年ぶりの全日本ラリー優勝という偉業を達成しましたが、ラリーへの思いは高まるばかりですね!
清水:そうだね。ただ、ラリーってこんなに面白いのに、これが多くの方々に知られていないっていうのは残念なので、ガンガンYouTubeでやっていこうと思います。また、今回の丹後ラリーは開催までにもいろいろあってコースが短縮したり、ラリー中に山火事が起きたりしてオフィシャルさんは本当に大変だったと思います。自然環境を維持するとか、住民の方々の理解を得ていかないとラリーは持続可能なモータースポーツにはならないですね。我々選手の意識ももっと変えていかないといけないですね。
表彰式では2位となったライバルの天野智之選手からは「清水さん、次はないと思ってください」とカウンターパンチが飛んで会場は大いに沸いた。ハイパワーのラリー2車両が躍動するJN1クラスはもちろん注目だが、いぶし銀のベテランが渋く熱い戦いを繰り広げる全日本ラリーJN6クラスにも、ぜひご注目いただきたい!