スズキ・フロンクスってどんなクルマ?『人とくるまのテクノロジー展2024』に展示されたホワイトボディの正体はコンパクトSUVのグローバルモデル!?

2024年5月22日(水)〜24(金)にパシフィコ横浜(神奈川県横浜市)にて開催された『人とくるまのテクノロジー展 2024』では自動車にまつわるさまざまなテクノロジーが展示されたが、クルマのホワイトボディが展示されるのも恒例。今回は2024年に日本での販売も始まり人気を集めている三菱のピックアップトラック「トライトン」ともう1台、スズキのSUV「フロンクス」が展示されていた。され、このフロンクスとはどういうクルマなのだろうか?

展示されたホワイトボディはスズキ・フロンクス(FRONX)。2023年1月12日にインドで開催された「オートエキスポ2023」で発表されたマルチ・スズキ(・インディア)のブランニューSUV。インド市場を中心に南アフリカやチリなどの南半球エリアで販売されているモデルだ。

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フロンクスってどんなクルマ?

スズキ・フロンクス(PHOTO:SUZUKI GROBAL)

フロンクスは運転しやすいコンパクトなボディサイズに、力強く流麗なスタイルのクーペライクSUV。大胆で厚いフロントグリルと、側面への拡張を強調するフロントとリヤのデザインは、SUVのパワフルさと強い存在感を表現。後方に傾斜するダイナミックなクーペスタイルは、流れるような伸びやかなプロポーションを強調している。

スズキ・フロンクス(PHOTO:SUZUKI GLOBAL)

やや角張ったホイールハウスのクラッディングやサイドシルプロテクターなどはSUV的な演出。異形アルミホイールは切削光輝だろうか。
ブラックアウトされたピラーがフローティングルーフを演出し、ルーフまでブラックとしたツートーンルーフ仕様も用意。ソリッドカラー7色、ツートーンカラー3色の10色をラインナップする(インド仕様)。

グリルを縦方向に大きく見せる厚みのあるフロンドグリルデザインは世界的な流行。「S」エンブレムを中心にヘッドランプをガーニッシュで繋ぐ。
リヤも小ンビネーションランプをガーニッシュで繋ぐデザイン。リヤバンパー下部には大柄なプロテクターが装着される。

上質感を演出するインテリアと充実した装備

インド仕様のおそらく上級モデルと思われるインテリアでは、ボルドーとチャコールを組みわせたカラーに、ダッシュボードやエアコン吹き出し口、ドアハンドルなどにシルバーの加飾をあしらって上質感を演出している。シート地は前後ともファブリックだ。

スズキ・フロンクスのインテリア(PHOTO:SUZUKI GROBAL)

インターフェースのレイアウトは至極オーソドックスで、ダッシュボード中央上端に9インチのHDディスプレイを配置。その下のエアコンは温度と風量をトグル式とした物理スイッチで設置。その下がUSBとシガーソケット電源になっている。
また、パーキングブレーキはレバー式を採用。ステアリングの形状やデザインはスイフトと同じものと思われる。

スズキ・フロンクスのインストゥルメントパネル(PHOTO:SUZUKI GROBAL)

これらのスペース効率に優れた高品質のインテリアに加えて、360度ビューカメラ、ヘッドアップディスプレイ、ワイヤレス充電器、後部座席の空調通気口などを採用し、利便性と快適さも兼ね備えている。

9インチのHDディスプレイオーディオはApple CarPlayとAndroid Autoに対応。
360度ビューカメラを用意しており、ディプレイに表示。バックカメラの映像との同時表示も可能。
運転席ダッシュボード上に可倒式ヘッドアップディスプレイを用意する。
センターコンソール下端にはDC12シガーソケット、USB、ワイヤレス充電(Qi)と電源が集約される。
荷室容量は304L〜308Lを確保。リヤシートは6:4分割可倒式で荷室を最大1009Lまで拡大できる。
上級グレードはセンターコンソールボックス後方にエアコン吹き出し口とUSB電源を備える。

パワーユニットは1.0L〜1.5Lガソリンエンジンにマイルドハイブリッドも

搭載されるパワーユニットは1.0Lターボ+マイルドハイブリッド、1.2Lガソリンがインド仕様に、1.5L+マイルドハイブリッドが南アフリカ仕様にあり、販売エリアごとにラインナップは異なるようだ。

K10C型1.0Lターボエンジン。
K12型1.2Lガソリンエンジン。

トランスミッションは1.0Lターボ+マイルドハイブリッドに5速MTとパドルシフト付き6速AT。1.2Lガソリンに5速MTと5速AGSを用意。1.5Lマイルドハイブリッドは5速MTと4速ATとなっている(SUZUKI South Africa)。

パドルシフト付き6速AT。
5速AGS。

意外に少ない全長4m以下のSUV

フロンクスのサイズは全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mm。全幅こそ1700mmを超えた、いわゆる3ナンバーサイズにはなるが、全長は4mを切り全高も1550mmと立体駐車場にも収まるサイズ。スクエアなディメンジョンではあるがSUVとしては非常にコンパクトなサイズと言って良いだろう。

スズキ・フロンクス(PHOTO:SUZUKI GLOBAL)

国内で販売される国産コンパクトSUVクラスで比較してみると、全長が4m以下なのはトヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキー(3995mm)、スズキ・クロスビー(3760mm)、軽自動車ベースなので比較対象としては公平ではないがジムニー・シエラ(3550mm)が挙げられるくらい。輸入車でもフィアット・パンダ(3685mm)しかなく希少なクラス。なお、日本での販売は今のところ無いがジムニーの5ドアモデルは3985mmと、これもこのクラスに入る。

トヨタ・ライズ
フィアット・パンダクロス4X4

しかしトヨタや日産が海外、特に南半球市場向けにこのクラスのコンパクトSUVを発表しており、フロンクスも含めこれからさらに伸びてくるのではないだろうか。ホンダWR-Vが好評をもって日本市場に受け入れられたことから、これらの日本導入の可能性もあるかもしれない。

トヨタ・インディアのアーバンクルーザー・タイザーはスズキ・フロンクスの兄弟車。
2020年に発表された日産マグナイトも全長3995mm。2021年からインド市場に投入されている。

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日本への導入は?価格は?

スズキはエスクードとSクロスを生産終了してから、日本で販売しているSUVはクロスビーとジムニー・シエラのみという状況。今や一番の売れセンと言えるSUVのラインナップは喉から手が出るほど欲しいところだろう。
2024年2月8日の「日韓自動車新聞」では日本導入が鈴木俊宏社長の談話とともに報道されているが、2024年5月現在ではその具体的な時期や動向は不明だ。

インドでの販売価格は75万1500ルピー(1.2L/5速MT)〜128万7500ルピー(1.0Lマイルドハイブリッド)。日本に導入されるとしてどのようなグレード展開になるかは不明だし、そのままの価格ということもないだろうが、単純換算では約141万6400円〜約242万6600円となる(※)。
※1ルピー=1.88円(2024年5月29日現在)

南アフリカ仕様はインド仕様とは異なる1.5Lマイルドハイブリッドや4速AT、インド仕様にはないカラーで販売されているようだ。

一方で、1.5Lマイルドハイブリッドのみ販売する南アフリカでの価格は29万7900ランド〜35万4900ランド。日本円換算だと約256万3000円〜約305万3470円となる(※)。
※1ランド=8.6円(2024年5月29日現在)

車名FRONX(フロンクス)
ボディサイズ(全長×全幅×全高)3995mm×1765mm×1550mm
ホイールベース2520mm
最低地上高170mm
最小回転半径4.8m-4.9m
車両重量1450kg(1.2L)-1480kg(1.0Lターボ/1.5L)
乗車定員5名
ラゲッジルーム容量(最大時)304L-308L(1009L)
エンジンK12N型1197cc水冷直列3気筒DOHC
K10C型998cc水冷直列4気筒DOHCターボ(DICT)+マイルドハイブリッド
K15B型1462cc水冷直列4気筒DOHC
最高出力1.2L:89.73ps/6000rpm
1.0Lターボ:100.06ps/5500rpm
1.5L:104.7ps/6000rpm(※)
最大トルク1.2L:113Nm/4400rpm
1.0Lターボ:147.6Nm/2000-4500rpm
1.5L:138Nm/4400rpm
燃料(タンク容量)ガソリン(37L)
トランスミッション1.2L:5速MT/5速AGS
1.0Lターボ:5速MT/6速AT
1.5L:5速MT/4速AT
駆動方式FF
ブレーキ(前・後)ディスク・ドラム(1.2L/1.0Lターボ)
ベンチレーテッドディスク・ディスク(1.5L)
サスペンション(前・後)マクファーソンストラット・トーションビーム
タイヤサイズ195/60R16
1.2L、1.0Lターボはインド仕様。1.5Lは南アフリカ仕様。
(※)編集部換算値
フロンクスのプロモーションムービー(SUZUKI GLOBAL)

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