意外と知らない? 交通ルール違反時の“キップ”と“点数” 「やっちゃった」ときに確認しておきたいこと

ややこしい交通違反点数の仕組みについて解説しよう。警察官から渡される違反キップは、色によって処分内容が異なる。さらに、免停になる点数は過去の違反歴に応じて変わるうえ、一定期間が経過すると累積点数がリセットされる措置もある。違反点数のルールは運転者なら誰もが覚えておきたい事柄だ。

違反キップの色は3種類

もっとも馴染み深いのは青色のキップだろう。ほとんどの交通違反では青キップが交付されることになる。

交通違反の際に警察官からもらうキップは3色に分けられる。赤の正式名称は「告知票・免許証保管証」と言い、青と白は「交通反則告知書・免許保管証」が正式名称だ。

紙の色からそれぞれの「赤キップ」「青キップ」「白キップ」と呼ばれており、交通違反で検挙された際はそれぞれのキップが違反内容に応じて交付される。まずは、各色のキップの意味を知ろう。

違反点数6点以上の特定違反行為には「赤キップ」

赤色のキップは、3種のなかでもっとも重い違反時に発行される書類で、違反点数6点以上の特定違反行為に際して交付される。赤キップに該当するおもな違反は以下の通りだ。

  • 速度超過(一般道30km/h以上・高速道路40km/以上)
  • 酒気帯び運転・酒酔い運転
  • あおり運転などの悪質な妨害運転
  • 周囲を危険に巻き込む危険のある運転中の携帯電話使用 など

これらの違反に反則金はないが、刑事罰が科せられ犯罪歴(前科)がつく特徴がある。

赤キップが発行されたら、紙面に記載された日時と場所に出頭しなくてはならない。取り調べの後、略式裁判なら罪状に応じて数万円から100万円以下の罰金刑が科せられる。悪質と判断される場合には正式な刑事裁判で処分内容が下され、場合によっては懲役刑になる場合もある。

違反点数3点以下の一般違反行為は「青キップ」

青キップは違反点数3点以下かつ反則金が定められた交通違反に際して発行される書類だ。同時に「反則金仮納付書」も渡され、キップを受け取った日から8日以内に金融機関などで反則金を納めればそれ以上違反は追求されず、前科がつくこともない。

この仕組みを「交通反則通告制度」と言い、増加する交通違反に対して裁判手続きを簡略化するために設けられた制度だ。これにより赤キップの違反を除く、ほとんどの交通違反が違反点数の加算と反則金を納めるだけの処分ですむようになっている。

ただし、違反内容を否認した場合は裁判で争うことになる。また反則金を納付しない場合も刑事罰として処分され、罰金刑または懲役刑が科せられることも覚えておこう。

反則金がない一般違反行為の場合にのみ「白キップ」

白キップは、反則金がない違反時に発行される書類だ。該当する違反は以下の3つしかないため、その存在を知らない人も多いだろう。

  • 座席ベルト装着義務違反
    (前席シートベルト、および高速道路等における後席シートベルトの未装着)
  • 乗車用ヘルメット着用義務違反
    (バイクや原付等でのノーヘル)
  • 幼児用補助装置使用義務違反
    (6歳未満の乗員に対するチャイルドシートの不使用)

いずれも反則金は科せられず、違反点数1点だけが加算されるため白キップは「点数キップ」とも呼ばれている。周囲の交通に危害はおよぼさないが、乗員を危険にさらしてしまう違反で渡されるのが白キップだ。

違反点数が戻るのは3ヵ月? それとも1年? 

運転免許び点数制度には、一定期間を無事故・無違反でいれば違反点数がリセットされる特例措置が設けられている。

交通違反でややこしいのは点数の把握だ。

減点方式ではなく加点累積方式を採るため直感的でなく、違反をせず一定期間が経過すると点数がリセットされる措置もあるため、軽微な違反を繰り返してしまう人は自分が何点なのかわからなくなってしまうことも珍しくない。

違反点数の把握には1年リセットと、3カ月リセットの条件を覚えておくことも必須だ。

1年リセットの条件

違反後1年間を無事故・無違反で過ごせば違反点数は累積しない仕組みとなっている。

もちろん、前回の違反から1年以内に再び違反を犯してしまった場合は累積した点数が残り続ける。少々ややこしいため例を挙げよう。

2点の交通違反を犯し、その1年以内に1点の違反を犯してしまったとしたら累積3点の状態が続くことになる。その後1年間が無事故・無違反なら、最初の2点とその後の1点が抹消され累計点数は0点に戻るということだ。

3カ月リセットの条件

3カ月リセットの条件は、過去2年以上にわたって無事故・無違反だった場合に限られる。

その条件を満たすドライバーが犯した3点以下の違反に限り、その後3カ月間を無事故・無違反で過ごせば違反点数が抹消されるというものだ。

ただし1年リセットも3カ月リセットも、累積点数は消えても違反歴は残っている状態だ。ゴールド免許になるためには、最後の違反日から5年間を無事故・無違反で過ごす必要がある。

免停や免許取り消しまでの累積点はいくつ?

違反点数が一定数蓄積すると免停および免許取り消し処分のペナルティが科せられる。

免停および免許取り消しの処分基準点数は以下の通りになる。

  • 免許停止処分(免停):過去3年以内の違反累積点数が6点以上
  • 免許取り消し処分:過去3年以内の違反累積点数が15点以上

つまり、加算違反点数6点以上となる赤キップを切られた場合、過去に違反歴がなくとも免停は避けられないということだ。

免許の停止日数は点数に応じて30日/60日/90日が割り当てられ、最大180日となっている。ただし重大違反の場合は、点数に関わらず所定の期間の免停や免許取り消しを命令されることもあることを覚えておこう。

また、過去に免停などの処分を受けたことがある場合は免許経歴に記録残り続け、前歴回数が多いほど処分基準も引き下がる。

前歴がない場合は6点以上で30日間の免停だが、前歴1回がある状態で6点の違反を犯すと90日の免停期間が科せられ、前歴2回以降はたった2点で免停処分となってしまう。

免許取り消し処分の場合も同様に、前歴なしの場合は15点の累積で1年間免許が取得できない欠格期間が科せられるが、1回の前歴がある場合は10点で1年の欠格期間に基準が引き下がる。

実は、渡される違反切符に点数の記載欄はない。そのため反則点数と累積点数は自分で管理する必要がある。

過去に免停や免許取り消し処分を受けたことがない人は、さしあたって「免停になるのは6点、免許取り消しは15点」と覚えておこう。また交通違反を犯したら、警察ホームページなどで違反内容の加算点数を調べておくことも大切だ。

違反キップには累積点数や違反ごとの反則点数は記載されないため、点数は違反内容に応じて自分で把握するしかない。

過去の累積点数は運転免許センターで発行される累積点数等証明書等で確認できるが、書類の発行には手間と時間に加えて若干の費用もかかるため、点数制度のルールに従って自分で点数を管理するほうが楽だと言える。

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