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コンセプトは1980年代の世界GPレースマシン
小林 いやー、カッコいいですよね。
エンジニア一同 ありがとうございます。
小林 僕はそこまでバイク専門誌の編集者やそのライターさんほどバイクに詳しいわけでもないですが、XSR900 GPはどこからどう見ても往年のレーシングマシンを思わせて、カッコよく感じますね。このモデルのデザインモチーフとなったマシンは明確にあるのでしょうか?
橋本 公式には1980年代に世界グランプリで活躍したYZR500をオマージュとしている、となっていますが、厳密に何年のどのモデルというのはありませんね。
竹﨑 いつの時代にも、レースを応援している人には好きなライダーがいて、それぞれファンがいるんですよ。そのファンのみなさんがまたそれぞれ贔屓にしているマシンもあるんです。80年代は活躍していたライダーも多く、マシンもそれぞれなので、特定のモデルに限定するというのは想定しなかったですね。
小林 そもそもこのXSR900 GPが生まれるに至った経緯を教えて下さい。
橋本 XSR900のフルモデルチェンジで、このGPのベースである2代目へと生まれ変わる企画開発途中に、よりレーサーのような見た目のモデルがあってもいいよね、という話はありました。ちょうど他社さんからも、ヘリテージモデルが発売されていたりして、「ヤマハの強いヘリテージカテゴリーはなんだろう」と考えたとき、70〜80年代のGPレースヘリテージがひとつの強みだろう、となったわけです。長めのタンク、長めのホイールベース、シートカウルはないですがボックス形状の2段シート、そういった佇まいのXSR900に対してハーフですがカウル付きのバリエーション、という全体像が自然と浮かび上がってきました。最初は軽い気持ちでの発言だったはずですが、やってみると、最終的に出来上がったら、タンクとエンジン、フレーム以外、ほとんど別ものというくらいの作り込みになってしまいました。
小林 そういうお話、御社の取材でよく聞きます! 軽い気持ちで始めたらトコトンやってしまったという…(笑)。それを進めるに当たって、反対意見、反対勢力みたいな乗り越えるべきことやぶつかり合いはありましたか?
橋本 我々は完成車メーカーですから、「ただの着せ替えモデルで、スタイルは良いけど乗ってみると全然ダメ!」みたいな製品は出せません。さらに、「XSR900 GPは見た目だけで、スタンダードのXSR900のほうが乗るといいね」といった出来栄えでは出せないね、と全員思っていましたので、それを成立させるのが一番大変でしたね。
小林 とすると、デザインと走りを成立させるために、デザイナーと開発陣で食い違うこととかはありましたか?
下村 それはほとんどありませんでしたね。このモデルは少し特殊で、このコンセプトが好きな人が集まって作っていったようなところがありまして、好きな人同士だったのでスムーズに行ったほうだと思います。
小林 ヤマハさんで、他の開発者さんからもそういうお話良く聞きます! やると言っちゃったらその人がトコトンやらなきゃならない的な…(笑)
思っていた「赤」と違った当時のカラーリング
下村 XSR900 GPのコンセプトは明確だったので、それに反対するような意見はほぼありませんでしたが、デザインと走りの両方を製品として成立させる部分に難しさがありました。また、カラーリングで開発にムリをお願いした部分もあります。あの赤白のカラーリングは当時のスポンサードしていただいていた企業のカラーイメージなんですが、あの赤色が人によってもモデルによっても、それぞれに違っているんです。多くの人の記憶に残っているあのマシンの赤色は、まさに真っ赤というイメージだったのですが、当時の実機を改めて見ると、赤というより蛍光オレンジに近いような色なんです。けれど、これまでその色を車体に塗った市販モデルはなくて、塗装に関しては、その赤色の塗料の開発から始まったんです。
小林 意外ですね、レースで活躍したマシンに使われていたカラーが、量産車のカラーにこれまで使われてなかったというのは。僕の個人的なイメージでは、当時のスポンサー企業が使っていた赤色がマシンカラーとして使われてたんだろうと勝手に思っていました。
下村 話を進めてみると、当時、サーキットで実車を見た人と、ブラウン管(当時のテレビ放送やビデオなど)で見ていた人の間でも違っていたりしました。更に思い出からくるこの色だろうという強い思いもありまして…。「この色は俺の思っている赤ではない!」なんて意見が出ることもありました。それに、レースの世界では全部一品物で塗ってますので、その日の気温や湿度によって、塗料のノリや発色が違ってくることもあるので、同じにはできないとも言えますね。
橋本 そもそも、レースマシンのカラーって、年代によって違うのももちろん、場合によってはレースごとに違っていることもあって、結果的には答えは無いとも言えるんですよ。
竹﨑 このマシンの開発当時、ヤマハ発動機本社のコミュニケーション・プラザにちょうど80年代のレースマシンの企画展示があり、実車が展示してあったので非常に助かりました。お手本をすぐに見ることができたわけです。塗装で言えば、このマシンの場合カウルの裏側も塗っているのが他の市販モデルと違います。
小林 一般にはカウルの裏側は塗らないんですね。
下村 塗らない、というより、裏側を見せないような構成で設計されている、というのが正しいですかね。
橋本 最近のモデルでは、例えば、タンクの下あたり、サイドカウルの内側の部分などライダーから内部が見えないようにカウルの端を折り返したり、別のカバーで覆うなどきれいに処理をしていますけれど、今回は当時のレーサーの雰囲気を再現するため、その部分には何もないむき出しにしたかったんです。そうすると、ライダーから見える部分をどこまできれいに塗装しようか、というのを製造側とも調整して、品質的に問題なく、当時の切りっぱなしのカウルにも見えるようにしました。
小林 表から見えないところにも、手が掛かってますね。
下村 そうなんです。白い部分は白で、赤い部分は赤で回り込んで裏まで塗っていますから、手間もかかりますし、コストもそれなりにかかりますね。けれど、今回のコンセプトは最初からカラーリングも命ということで、早い段階からそこにはお金を掛けよう、とデザイン側からお願いをしました。
橋本 すごく使ってますよ〜(笑)。
下村 ざっくりしたイメージですが、今回カラーリングには通常モデルの3倍くらい使わせていただきました! 塗り分けであったり、グラフィックであったり、とてもカラーリングにはコストを掛けています。通常のモデルでは、造形デザインを進めていく上で制作するクレイモデルには、シルバーなどの単色フィルムを張って造形の確認を進めていくのですが、このモデルでは早い段階からGKさん(GKダイナミックス社)にご協力いただいて、当時のスポンサー企業のカラーでスケッチを作っていただき、みんなでイメージを共有して進めることができました。
エッジを効かせてスタイリッシュにしてはならない、80年代の丸いデザイン
小林 あのカタチですが、カラーリングもそうなんでしょうけれど、どう見ても80年代レーサーに見えますよね。全体のフォルムとしてどうすればそう見えるようにできたんでしょうか。
竹﨑 そのあたり、かなり研究した部分です。現在の最新モデルでは、スラントしていてシャープになっているんですけど、あの頃は70年代の流線型が進化してきて、80年代のレーサーは紡錘形と言いますか、丸いんですね。人によっては”ずんぐりむっくり”に見えるかも知れませんが、それを再現しないと80年代にならないんです。それを守らずに少しでもスタイリッシュにしていくと、今度は90年代になってしまうんです。
小林 それで我々五十代以降にはちょうどハマってカッコよく見えてしまうんですね〜。
橋本 きっとそうだと思いますよ(笑)。
下村 けれど、SNSなど色んな投稿を見ていたりしても、若い人にも刺さっているところもあるみたいなんですよ。最近よく言われる、「とんがった疲れ」というのがあって、若者にもノスタルジー感が育ってきているのかなと思います。だったら僕らは10年後に90年代オマージュの車両を発売すればいいかな、と。90年代がレトロと言われるとその時代を生きてきた自分たちにはちょっとだけ複雑ですが(笑)。
竹﨑 造形のところでは、最近のモデルでは速さを表現するためにキャラクターラインやエッジを立てた尖ったものが多いんですけど、80年代は流体を意識した面が滑らかになっていました。そういった印象を大事にするため滑らかな面での構成を心がけました。
小林 80年代くらいまで、四輪もそうですけど、見た目のイメージで空力が良さそうなデザインが多かったような気がします。だからカッコよくも思ってしまうんでしょう。けれどそうすると、今のエンジニアリングではありえないような部分が多くなっているんですか?
橋本 どういった商品にするかによるかと思います。いわゆるCDA値(車両の空力性能を表す値、空気抵抗係数CD✕前方投影面積A)だったら、今のバイクのほうがいい値を出せると思います。例えば、カウルのスクリーンは最近だともっと立ってて長いほうがいいんでしょうけど、このXSR900 GPでは短く低いのでかなり伏せて乗らないとライダーが風を避ける中に入り切らないとかはあると思います。一方で、技術的にはナックルバイザーなどは飾りだけではなく、機能面のシミュレーションや実走行もやって、デザイナーさんにもカタチの微修正もやってもらって、ナックルの風を逃がせるようにしています。空力でのCDA値は狙ってませんけれど、カウルの防風効果もライダーが疲れないようにプロテクションはシッカリと開発しています。
小林 ナックルバイザーは80年代イメージを表現してますね。
竹﨑 70年代の流線型の時代から空力に対してどんどん発展してきて、80年代のレーシングマシンの具体的な特徴としては、ナックルバイザーが付くようになってきたんです。このマシンに関しては、それを表現するため、型が別になったりとコストがかかってしまいますが、あえてナックルバイザーを別体で付けさせてもらっています。それに、最近のバイクでは各部の隙間を詰めてピッタリと作るんですが、当時のレーサーは無骨なところがあって、隙間からフレームやメカが見えていたりするんです。そういった雰囲気を大事にしていきました。
小林 具体的にどの部分で隙間が見えてますか?
竹﨑 そこかしこにありますけど、特にコクピット周りですかね。普通ですと、カウルの内側のインナーパネルをカウル内側の形状に合わせるんですが、それをあえて段差を大きくずらして作ったり、メーターステーなども見せるようにしてますね。また、カウルを止めているステーがありますが、最新の車両では技術的に必要ないんです。けれど、80年代のレーサーによくあったように、あえてそのステーをタンクの前端辺りから出していて、当時感を表現しています。我々の中ではそのステーを「あの頃ステー」と呼んでこだわって作りました。
下村 最近のモデルでは、素材の強化プラスティック、ABS樹脂などの進化により、カウルを吊るためのステーは必要ないんです。YZF-R1などにもありません。けど、「あの頃感」を出すためにステーを採用しました。
竹﨑 あとはヘッドライトですね。レーサーっぽさを表現するのにヘッドライトをなくしたいんです、それで、なるべく小さいものを探して、発表時期が近かったMT-09用を流用させてもらっています。
小林 ハンドルスイッチもMT-09と共通ですね。
フレームはアルミに「アルミ色」の塗装を施す
小林 80年代のレーサーっぽさを表現しているもうひとつは、アルミそのものに見えるシルバーのフレームだと思いますが、ベースのXSR900は黒いフレームですよね。ということは、フレーム素材のアルミが無塗装で見えているということですか?
橋本 レースマシンのフレームに関しては90年代くらいからは黒いフレームになっていくんですが、80年代はアルミ剥き出しのシルバーなんです。それを再現するためフレームをシルバーに塗装しました。シルバーに塗装することは最近はあまりなく、この3気筒モデルのシリーズでは初めてのことでした。
小林 アルミの上にアルミっぽい色で塗装しているんですか!? 素人考えでは、アルミフレームだったらシルバーに塗らなくてもクリア塗装とかすればいいんじゃないか、という気がしますが…。
橋本 以前のモデルなどではアルミ素地の上に無色のアルマイト処理とか、クリア塗装などでアルミそのものの色を見せていたことはありますが、このモデルに使っているアルミダイカストフレームでは、その手法では量産車として出せる品質ではないと判断しました。それに、アルミって色々な種類があるので、透明なアルマイト処理を行っても、その素材の違いによって、綺麗に発色するものもあれば、くすんだり、黒くなったりすることもあるんです。
小林 そうでしたか。アルミを塗装しなくていいのなら、その分楽になったのかと思っていました。
橋本 それだけじゃないんです。色を塗り替えただけでしょ、と思われるでしょうけど、実は塗装の下地処理が黒色なので、黒に塗るのは意外に楽なんです。けれど、シルバーに塗ってみると、例えば造形的にネジ穴の凹んだところなど複雑な形状では、シルバーの塗料がきちんとのらないと下地の塗装が透けて、品質感を損ないそうになる難しい部分がありました。その辺りを見越して早めに塗装色を決めて量産に間に合うようにしました。
下村 開発途中で「フレームは黒にしないか?」という話までありましたが、我々メンバーから「そうじゃない、シルバーでいきましょう」という声が上がって、なんとか実現させました。
ライディングポジションは80年代を狙っていない!?
小林 そのスタイリングを成立させると、ライディングポジションも当時のレーサーポジションに近いのですか?
橋本 単純な答えとしては、ぜんぜん違います。ポジションは当時に合わせようとしていませんが、このスタイリングを成り立たせるためには、セパレートハンドルは必須だと考えました。ただ、ベースであるXSR900は元々バランスよく、ハンドリングで高評価をいただいているモデルです。その高次元でバランスしたモデルの基本はそのままにバーハンドルからセパレートハンドルに変更しただけでは、実験ライダーに「3回ぐらいこのプロジェクトは中止するしかないと思った」と後に言われたほど、初期の乗り味はどうしようもない状態でした。
下村 あるベテラン実験ライダーには「人生の中でイチバンどうしようもない」と言われたほどバランスの崩れた状態だったんですが、あのデザインを生かすため、かなり難しい開発をやっていただきました。一度、デザインはほぼ最終に近いものができあがってから、あまりにもハンドリングが決まらないのでセパハンをやめてバーハンドルにしてみたことがあったくらいです。製品として成立するかどうか、という状態でした。
橋本 その部分がほんとに一番苦労しましたね。フレームから設計できるのであればそれに合わせたものができるわけですが、今回はプラットフォームモデルということで、フレームやエンジンやリヤアームなどある程度大きな部品は共用するって決まっていましたし、それをやらなければこのような価格(本体価格143万円)ではできず多くのお客様に渡らない、などの制約が大変でしたね。
小林 そのために、大きな部分を変えられないから、様々な部分でトコトンやったんですね。
橋本 はい、フレーム本体は変えられないから、まずサスペンションは専用です。エンジンとフレームの締結部分を変更したり、リヤアームとフレームを繋ぐ部分のブッシュ断面を変えたりしました。ステアリングシャフトは、同じフレームを使う他のモデルはスチールなんですが、XSR900 GPだけはアルミにして、フロントの応答性を出したり、かなり手を入れています。スタンダードとGPを乗り比べてもらうと走りの面でもかなり違ったバイクに感じてもらえると思います。街中の軽快感はスタンダードモデルには敵わないかも知れませんが、ワインディングなどでは安心してコーナーに入っていけて、抜けるときにも気持ちよくアクセルを開けていけるようになっています。
小林 最初からそこまで走りを変えようというコンセプトだったんですか?
橋本 XSR900が丸目のネイキッドということで、少し若めのユーザーが街中も走りやすくカジュアルに乗るとすれば、GPのほうはそのデザインに憧れを持っていた年代である50代以降の方に乗っていただくとしたら、普段のコミューターとして使うというよりも、ツーリングがメインだろうと考えました。例えば、休日の午前中に高速道路でさっと峠まで行って午後には帰って来るなどのシーンを想定したので、走りのコンセプトも違っていました。
下村 古い言葉で言えば、当時ブイブイ言わせていたような自負もある人に、ヌルいものを提供したかったわけではないんです。
橋本 だけど、YZF-Rシリーズほどのスーパースポーツモデルまでは要らないというユーザー像を想定していました。そのため例えば、フットレストはゴム付きで振動が伝わりにくくしています。気合い入れなきゃ乗れないバイクにはしたくなかったですね。
小林 見た目がレーサーっぽいモデルだったら、気合い入れて乗ってください、というのがこれまでのヤマハだった気がしますが、そういった意味でもこのモデルは珍しいんじゃないですか?
竹﨑 確かに、珍しいかも知れませんね。
下村 突き詰めたものを求めるユーザーさんには突き詰めたものをお届けする姿勢がヤマハだとしたら、今回は80年代レーサーに憧れた世代が求めているものを突き詰めたらこのバイクになった。それがこれまでになかった、ということではないでしょうか。
小林 そうした製品を開発するに当たって、ヤマハだからこそできたことはどういったところでしょうか?
橋本 プロジェクトチームの判断や、やりたいことを尊重してもらえるのがヤマハらしいと感じます。もちろん、成立しないのでは、と聞かれれば説明などは必要ですが。それが成り立っていればやらせてもらえることがヤマハらしさだと思います。個々のエンジニアがやりたいと言ったことも同様です。
下村 このモデルは何万台も売るバイクではありませんので特殊かもしれませんが、数字だけを追い求めるのではなくて、モーターサイクルが好きな人に満足いただけるようにしてくれ、という上の判断がヤマハらしさだと思います。
小林 竹﨑さんは、GKダイナミックスの所属でヤマハの社員ではありませんが、外部から見てヤマハに対してどう感じていますか?
竹﨑 ヤマハってモノ作りがとても好きな人が多いですね。プロジェクトのモデルコンセプトはあるんですけど、作っている人がその人の作りたいイメージを、それぞれきちんと持っている気がします。今回はモノ作り、バイクが好きな人が集まっていて、最後までブレずにできたと感じました。
橋本 今回のプロジェクトでも、結果的には車体部品の点数で40%くらいがベースのXSR900と違うものになっています。けれど、その必要性を説明すれば、きっちりやらせてもらえるのがヤマハらしくていいところだと思いますね。
デザインコンセプトをトコトン貫いたのがヤマハ流だった
取材する前までは、XSR900 GPは、これまでのヤマハらしくないような気がしていた。これまでのヤマハのイメージは、なにがなんでもトコトン極めた製品を出してくる。走りに振ったモデルは走りを極める。楽に移動したいモデルは楽さを極めるといった具合に。今回はそれがどっちでもないと思ったのだ。
けれど、コンセプトが固まり、デザインの狙いが決まり、そのユーザー像が欲しがる走りを実現させることをトコトン極めていった結果がXSR900 GPになったのだった。
例えば、肉抜きのような穴を空けた六角ボルトを新たに何本か新開発したのだそうだ。それは、機能を満たすのはもちろんだが、デザインの統一感など、見た目を重視する部分であったり、カウルの固定部分では、設計担当からはボルト無しでもいけますよ、と言われた部分でも、デザイン上の必要性から六角ボルトを採用したそうだ。
ボルトを新開発するというのはかなり珍しく、ましてデザインからの要望で実現することは滅多にないそうだ。
また、メーターの液晶表示はユーザーが切り替えることができるが、その選択肢の中にはXSR900 GP専用の表示ができ、それはやはり80年代のアナログメーターを彷彿させる文字フォントをデザイナーが改めて作ったという。結果的には、最新のヤマハ車に採用されている、もっとも見やすいとされるメーター文字フォントとは違っていたものの採用に至ったという。
そのデザインのバイクを欲しいと思う人が望む走りを極めた。
ヤマハが作るものは走りにしろ、快適にしろ、なにかを極めたモデルであり、今回はデザインを極めたモデルだった。
そういう点ではXSR900 GPは、とてもヤマハらしかったのだと思った。
<関連リンク>
YAMAHA XSR900 GP公式ページ
XSR900 GP Specification
認定型式/原動機打刻型式 8BL-RN96J/N722E
全長/全幅/全高 2,160mm/690mm/1,180mm
シート高 835mm
軸間距離 1,500mm
最低地上高 145mm
車両重量 200kg
燃料消費率 国土交通省届出値 定地燃費値 31.6km/L(60km/h) 2名乗車時
燃料消費率 WMTCモード値 21.1km/L(クラス3, サブクラス3-2) 1名乗車時
原動機種類 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒数配列 直列, 3気筒
総排気量 888cm3
内径×行程 78.0mm×62.0mm
圧縮比 11.5:1
最高出力 88kW(120PS)/10,000r/min
最大トルク 93N・m(9.5kgf・m)/7,000r/min
始動方式 セルフ式
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 3.50L
燃料タンク容量 14L(無鉛プレミアムガソリン指定)
吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション
点火方式 TCI(トランジスタ式)
バッテリー容量/型式 12V, 8.6Ah(10HR)/YTZ10S
1次減速比/2次減速比 1.680/2.812 (79/47 X 45/16)
クラッチ形式 湿式, 多板
変速装置/変速方式 常時噛合式6速/リターン式
変速比 1速:2.571 2速:1.947 3速:1.619 4速:1.380 5速:1.190 6速:1.037
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター/トレール 25°20′/110mm
タイヤサイズ(前/後) 120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/ 180/55ZR17M/C (73W)(チューブレス)
制動装置形式(前/後) 油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
懸架方式(前/後) テレスコピック/スイングアーム(リンク式)
ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED
乗車定員 2名