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「JOY」が狙う新しい価値とは?
こうしてみると、N-BOX、N-BOXカスタム、そしてN-BOX JOYのフロントフェイスとうまく作り分けられていることがわかる。
「ファンクショナルフェイス」と説明されたフロントフェイスは、大らかな角丸モチーフで機能を予感させるフロントグリルに、泥や傷付きをきにしないボディカラーと黒のコンビネーションバンパー、そしてよりツールライクに進化させたヘッドライトが特徴となる。
ヘッドライトは、N-BOXと形状は同じだが、アルミ蒸着をかけることでまったく違うテイストを創り出した。当初は形状から変えるというアイデアもあったというが、日常の親しみやすいN-BOXをベースにしたかったので、アルミ蒸着によって世界観を変えることにしたという。
まずはフロントフェイス周りを中心に変更を加えたが、サイドもドア側にプロテクター(ドアロワーガーニッシュ)を付けることでベースとは違ったテイストを加えられた。このプロテクターも、これより細いと存在感がないし、厚いと「ギア感が増してしまう」。絶妙なサイズとなっている。
ハイライトはインテリア、新しい柄で空間を有効活用
N-BOXの最大の特長は、他車を凌駕する広い空間だ。開発者もそれは認識していて、N-BOX JOYでは「もっと新しい柄で空間をよりより有効活用できないか」を考えたという。
開発初期、後部座席を倒して出現する広い空間に乗り込んだときに、「すごく広いけれど、自分が荷物になったように感じた」という。発想を膨らませると、そこにレジャーシートのようなチェック柄のシートを敷けば、印象を変わるのではないか、となったという。
そこで、市販のチェック柄を買ってきて敷いてみた。するとその上に座ると、チェック柄になるだけで大きく印象が変わることに気づいた……それがスタートだった。
チェック柄をルーペで見てみると、ベージュに見えたチェック柄はブルーやオレンジの糸が織り込まれていた。
「ブルーとオレンジは色相環のなかでいうと反対側ににいる色で、いわゆる補色関係にあるんです。絵の具でいうと、この補色たちは混ぜると黒になるのですが、今回は混ざっていることでちょっとグレーに全体が見えて、ベージュの色味がだんだんと色味として落とすだけでなく、あえて別の色を混ぜることでトーンを落とすという手法を使っています」という。
また、ベージュ一色のベタだったら、ゴミが付いたら目立ってしまうが、オレンジやブルーが混ざることで複雑な色になりゴミが目立ちにくくなるという効果もある。また、Nシリーズ初の撥水表皮となっている点もポイントが高い。
最終的にはジェンダーとか年代関係なく使ってもらえるチェック柄に落とし込むことができた、とデザイナー陣は語った。