新型ホンダ N-BOXとモデル末期のダイハツ タントを比較!意外と違う2台の役割

2023年10月、軽ハイトワゴンの王者として君臨し続けたN-BOXが堂々のモデルチェンジを果たした。発売して1年あまりが経つ新型ホンダ N-BOXと、5年前に発売されたダイハツ タントのスペックを比較して、両者の違いを改めて見比べてみよう。

HONDA N-BOX × DAIHATSU TANTO

車内空間と後席の広さでタントを圧倒するN-BOX

軽自動車であるため両車のボディサイズはまったく同じだが、N-BOXの方がホイールベースがわずかに長いうえ、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトによって限られたスペースを有効に使えている。

後席の膝周り空間はタントも十分に広いが、N-BOXはさらに広い。また室内高もN-BOXのほうが30mm高く、数値以上にN-BOXのほうが広く感じられるだろう。

さらにN-BOXの後席は座面を跳ね上げられるチップアップ機構に加えて、ダイブダウン式の折りたたみ構造となっており荷室の縦方向を有効に使える。荷室空間が広いのもN-BOXのほうだ。

唯一、タントが勝る点は「ミラクルオープンドア」の存在が挙がる。助手席側センターピラーレスによる大開口と、大スライド可能な助手席シートを併せて使うと、小さな子どもを後席に座らせるシーンなどで非常に使いやすい。

ホンダ N-BOX
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:910kg
タイヤサイズ:155/65R14(前後)

ダイハツ タント X
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1755mm
ホイールベース:2460mm
車両重量:910kg
タイヤサイズ:155/65R14(前後)

パワートレインは出力/燃費ともにN-BOXのほうが上

NAエンジン同士の比較では、最高出力、最大トルクともにN-BOXがタントを上回る。これは同車のエンジンに搭載された可変バルブタイミング&バルブリフト機構「i-VTEC」の恩恵と言えるだろう。N-BOXは優れた車内の静粛性もあって郊外道路や高速道路では余裕を持って走れるだろう。

燃費に注目すると、WLTCモード平均燃費でN-BOXが21.6km/L、タントは22.7km/Lとなる。タントは市街地モード、高速道路モードともにN-BOXより優れているほか、最大トルクもより低回転で発揮されるため、街乗りなどの低速走行向きと言えそうだ。

ターボエンジンモデルを比較した場合も、パワーのN-BOX、燃費のタント、という構図は変わらない。ただ、N-BOXのターボモデルはピーク出力がより低い回転域で発揮されるほか、過給圧の緻密な制御を実現する電動ウェイストゲートが採用されたことでレスポンスも向上されたため、街乗りでのドライバビリティに優れる。

ホンダ N-BOX
エンジン形式:直列3気筒ガソリンエンジン
排気量:658cc
最高出力:58ps/7300rpm
最大トルク:65Nm/4800rpm
トランスミッション:CVT
駆動方式:2WD(FF)

ダイハツ タント X
エンジン形式:直列3気筒ガソリンエンジン
排気量:658cc
最高出力:52ps/6900rpm
最大トルク:60Nm/3600rpm
トランスミッション:CVT
駆動方式:2WD(FF)

メインカー向きのN-BOXと、セカンドカー向きのタント

N-BOXの総合性能はタントを圧倒している。ただし、高い性能と引き換えにN-BOXは新車価格も相応に高い。

同等の装備となるN-BOXのベースグレードと、タントのXグレードとの価格差は14万円にもなる。ターボモデルや、特別な内外装が与えられたカスタムモデル同士で比較した場合も、タントのほうがN-BOXより数十万円も安い。

それぞれのクルマの特徴を考慮すると、総合力に優れたN-BOXはメインカーとして十分に使えるクルマだ。対するタントは、ピラーレスドアの優れた使い勝手とコストパフォーマンスの高さでセカンドカーに向く。

もちろん、どちらも軽ハイトワゴンとして不自由なく使えるのは間違いない。とりあえずN-BOXを選んでおけば後悔することはないだろう。ただし、クルマの用途や使用環境に応じて検討を加える必要はありそうだ。

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