【プロが選んだ思い出の愛車・ベスト3】16年ぶりに復活の”R”はぶっちぎりのポテンシャルだった!|日産スカイラインGT-R(R32型)

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ごしてきたのだろうか。業界随一のドライビングテクニックの持ち主でも知られる斎藤 聡さんだが、お気に入りの愛車・ベスト3はどれも走りに定評のあるスポーツカーがそろった。

TEXT●斎藤 聡(SAITO Satoshi)

ボクはそれほどたくさんのクルマを乗り継いできたわけではありません。どちらかというと少ないほうで、気に入ったクルマを手に入れてじっくり走り込むスタイルでした。

3位:ユーノス・ロードスター(NA型)

「足周りのセッティングをいじってとにかく走り込んだ」

そんな中で、所有してきたクルマのお気に入りベスト3、3位はユーノスロードスター(NA型)です。オープンで乗ったのは数回程度と、何のためにオープンスポーツかったの?って言われそうですが、なにしろ走るのが楽しくて、FRライトウエイトスポーツのお手本ともいえるロードスターをひたすら堪能していました。

ロードスターの魅力は、速さという評価軸から外れた独自の世界観を持ったスポーツカーで、作り手の考える走りのデザインが良くわかるクルマでした。

ロードスターの足周りは、サスペンションアームに偏心カムがついていて、トーやキャンバーがかなり自由に調整できます。これをあれこれ調整しながら操縦性の違いを確認してみたり、機械式LSDを組んで、イニシャルトルクを変えてみたり。最終的には10点式のジャングルジムのようなロールケージを組んで走行会仕様みたいになっていました。

ユーノス ロードスター
1989年にデビューしたユーノス(現マツダ)・ロードスター。当初1.6L(120ps)だったエンジンは、マイナーチェンジ時に1.8L(130ps)に換装された。
ユーノス ロードスター
インテリアもスポーツカーの王道といえるトラディショナルな雰囲気。足周りは前後にマツダでは初となるダブルウィッシュボーンがおごられた。

2位:スバル・インプレッサ WRX STI(GC8型)

「4WDの走らせ方はこのクルマで覚えた」

2位はGC8型(初代)のスバル・インプレッサWRX STIです。280psになったD型と呼ばれているモデル。4WDのドリフトは基本カウンターを当てないとか、ドリフトアングルはFRよりも深くなどなど、このクルマで本格的に4WDの走らせ方を覚えました。

ついでに前後デフのLSDのロックするポイントを変えることで走りがどんなふうに変わるのか、なんてこともいろいろ試しました。雪上や氷上は低いスピードでドライ路面とほぼ同じ動きが再現できるので、格好の練習場所でした。今でも雪上や氷上ドライブが好きなのはその時の経験があるからです。

スバル インプレッサWRX STi
1994年に登場したスバル・インプレッサWRX STiは毎年のように改良が重ねられ、96年のWRX STi バージョンIIIでは280psのフルパワー(当時)に。インタークーラー水噴射は負荷に合わせて自動噴射するようになった。

1位:日産スカイラインGT-R(R32型)

「フルノーマルなのに、なぜか速度リミッターが効かなかった!?」

1位は日産スカイラインGT-R(R32型)です。16年の時間を飛び越えて復活したGT-Rは、クルマ好きなら誰もが憧れる名車の復活であり、しかもグループAレースで勝つために作られたという、かつてのGT-Rを思い起こさせる、痺れるようなストーリーまであったのですからたまりませんでした。

実際グループAレースで使用する600psを想定して設計されたエンジンや、FRベースの4WDシステム=アテーサE-TSなど、当時ぶっちりの性能とポテンシャルを備えたクルマでした。

仕事柄、頻繁に500ps、600psのGT-Rに試乗する機会があったので、自分のクルマはフルノーマルで乗っていました。あ、なぜかスピードリミッターは効きませんでしたが…。

日産スカイラインGT-R
後にゴールデンイヤーと言われることとなる1989年に発売が開始された日産スカイラインGT-R(写真は1993年登場のVスペック)。
日産スカイラインGT-R
インテリアは専用ステアリングとセンターコンソール上の3連サブメーターがGT-Rであることを主張する。
日産スカイラインGT-R
新開発のRB26DETTエンジンは最高出力280ps、最大トルク36kgmを発生。電子制御トルクスプリット4WD(アテーサET-S)との組み合わせによる高い走行性能は、日本のみならず世界をも震撼させた。

キーワードで検索する

著者プロフィール

斎藤 聡 近影

斎藤 聡

自動車雑誌編集部員を経てフリーに自動車ライターに。守備範囲は新車、チューニングカー、タイヤの試乗イ…