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特有のラダーフレームボディ 街乗りの走行性能も大幅向上
日本独自の規格である〝軽自動車〞という枠内で開発されたジムニーをベースに、国内はもちろんアメリカ以外のグローバルなマーケットにも向けて展開されるモデルとして用意されたのが、スズキ・ジムニーシエラである。
エクステリア
本格オフローダーであることを象徴するラダーフレーム式のボディ構造やパートタイム式の4WDシステム、リジッド式サスペンションやボールナット式ステアリングなどはいずれのモデルにも共通。その上で、大型化されたバンパーやオーバーフェンダーの装着などによって、軽自動車の枠に縛られないより自由度が高く自然な佇まいを見せるモデルへと仕上げられているのがジムニーシエラならではの特徴と言える。現行モデルは2018年の発売。従来型の登場から実に20年ぶり(!)に行なわれたフルモデルチェンジということで、衝突時の安全性やADAS機能が大幅にアップデートされていることは当然。同時に、オンロード走行時の安定性や快適性なども大きく引き上げられてはいるものの、それでもそれらの性能がピカイチと呼べるレベルには至っていないのは、これもまたこのモデルならではの個性と受け取るべきだろうか。
乗降性
窮屈な姿勢になる。ドアは3段階で開く。
例えば、直進性やステアリング操作に対する応答性はそのレスポンスや正確性に今ひとつ欠ける印象が否めないし、特に4速AT仕様の場合には変速時のステップ比が大きく、クルージングのシーンでもあと1速は欲しいという印象を、走らせていて感じてしまう。しかし、それらをリファインすることと引き換えに元来のオフロード性能を少しでも失ってしまうのであれば、それこそ本末転倒というもの―これが、あえてこのモデルを選ぶすべてのユーザーの声であろうことは容易に想像ができる。
インストルメントパネル
が大型の2眼式で視認性に優れる。フルオートエアコン付きでオーディオレスが標準。
軽自動車版のジムニーに対してはボディのサイズが明確に大きいものの、実はキャビン部分に関しては同様のデザイン。それゆえ、大人4名が乗り込めば室内空間の余裕は小さく、特に後席の住人からは不満の声があがりそう。こうなると、当然聞こえてくるのがすでに23年にインドで発表済みの5ドアボディの待望論である。
居住性
現行ジムニーシエラよりもホイールベースが340㎜、全長が435㎜長いこのモデルがローンチされれば大きな人気を博すことは間違いなしと思われるものの、メーカーであるスズキからは今のところ日本導入に関するコメントは皆無。一体どうなるのか?と大いに気になる人は少なくないに違いない。ところで、ジムニーシエラが軽自動車の枠から外れたことによって獲得した最大の恩恵と実感できるのが、搭載する心臓から排気量の制約がなくなったということだ。
うれしい装備
月間販売台数 2289台(23年11月~24年4月平均値)
現行型発表 18年7月(一部仕様変更 24年2月)
WLTCモード燃費 15.4 ㎞/ℓ※5速MT車
ラゲッジルーム
なるのが美点で、荷室フロアはリヤシート裏も樹脂製なので、汚れたり濡れたりしても手入れがしやすい。
搭載する1.5ℓの4気筒ユニットが発する最高出力と最大トルクは、それぞれ102㎰/130Nmとなっている。軽自動車版ジムニーの64㎰/96Nmよりも大幅にパワフルである。これによって、さまざまな走りのシーンでより大きな余裕を感じられることは確かで、この点もまた軽規格のジムニーにはないジムニーシエラ独自の魅力のポイントと紹介することができそうだ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.159「2024-2025 コンパクトカーのすべて」の再構成です。