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初代からのDNAを受け継ぐ新型ゴルフRが遂に日本で初公開

フォルクスワーゲン ジャパンは東京オートサロン2025の初日にプレスカンファレンスを実施。フォルクスワーゲン ジャパンのブランドディレクターであるイモー・ブッシュマン氏が登壇し、「ゴルフRは世界で30万台以上の販売実績があり、新型もそのDNAを受け継ぎます」とスピーチを行なった。
ゴルフRの初代モデルと言えるR32は、狭角の3.2L V6エンジンである「VR6」を搭載し、241PS/320Nmのハイパワー/大トルクに、マルチリンクのリヤサスペンション、フルタイム4WDの「4MOTION」を組み合わせたハイパフォーマンスモデルだった。ブッシュマン氏は、「そんなR32はピュアスポーツに匹敵する特別な存在でした」と当時を振り返った。
新型ゴルフRは13PSアップの最高出力333PSに到達。0-100km/h加速は4.6秒


新型ゴルフR、ゴルフRヴァリアントは、現行型の8代目のビッグマイナーチェンジ版で、いわゆる「ゴルフ8.5」世代の「R」になる。
2.0L直列4気筒ガソリンターボは、エンジンセッティングが見直されている。機構としては、吸排気の可変バルブタイミング、排気側の2段階バルブリフト量可変を備え、電子制御化されたクーラント制御の採用、徹底したフリクションロスなどの内部損失の低減により最高出力333PS/5600-6500rpm、最大トルク420Nm/2100-5500rpmに達し、最高出力は13PS向上した。これらにより0-100km/h加速は、4.6秒でクリア。
組み合わされるトランスミッションは、パドルシフトを備える7速DSGで、ダイレクト感を抱かせつつ、電光石火のシフトチェンジを可能とする。

新型ゴルフRは、単にハイパワー化されただけではない。フルタイム4WDの「4MOTION」は、「R-Performanceトルクベクタリング」を備えていて、FFであるGTIとのハンドリングの違いに直結している。
このトルクベクタリングは、リヤアクスル左右間のトルク配分を0~100%の間で調整できるのが特徴で、自在なコーナーワークに貢献。さらに、シャシーの電子制御デバイスである「Vehicle Dynamics Manager」が電子制御ディファレンシャルロックの「XDS」やアダプティブシャシーコントロールである「DCC」の統合制御だけでなく、「4MOTION」までも制御することで、旋回性を大きく高めることに寄与している。
先進的で精悍さを増したエクステリアも見どころだ。キリッとした目つきの新デザインのLEDヘッドライトをはじめ、イルミネーション付きVWエンブレム、より大開口に見えるフロントロア左右のベンチレーショングリル、バンパー形状も刷新され、シンプルでありながらもより洗練された雰囲気をまとっている。

足元は、「R」がユニークなスポーク形状が目を惹く18インチアルミホイール、「R Advance」は19インチアルミホイールが標準になる。もちろん、レーシーな走りを可能にするスポーツサスペンションは両グレードに標準装備される。

インテリアの変化はより大きく、ゴルフ8.5世代の特徴である大型センターディスプレイが目を惹く。12.9インチの大型センタータッチディスプレイをはじめ、最新の「MIB4システム」の搭載により、視認性と操作性を大幅に向上させた。エアコンや音量など操作頻度の高い機能は、ディスプレイ下のバックライト付きタッチスライダーで容易に操作できる。
さらに、ゴルフ8.5世代や新型ティグアン、新型パサートと同様に、音声操作の「IDAボイスアシスタント」も搭載され、エアコンなどの車両設定を音声だけで操作可能なのも美点だ。

スポーティなデザインと高いフォールド性を実現する専用シートもゴルフRの魅力で、「R」は専用ファブリック/マイクロフリースのコンビシートが、「R Advance」は専用ナパレザーシートが標準化されている。

「速さ」と「実用性」の両立を高水準で実現したヴァリアント
ゴルフRは新型にもハッチバックとステーションワゴンであるヴァリアントが設定されていて、ニーズに合わせて選択できるのも魅力だ。ピュアスポーツとしての性能を昇華させながら、高い実用性(ヴァリアントは積載性も)を備え、フォルクスワーゲンのレーシーなイメージを牽引する旗印役にふさわしい充実の進化が存分に盛り込まれたことになる。



新型ゴルフRの価格は、「R」が704万9000円、ナパレザーシートや19インチアルミホイールが標準になる「R Advance」が749万9000円。新型ゴルフRヴァリアントは、「R」が712万9000円、「R Advance」が757万9000円となっている。
フォルクスワーゲン・ゴルフR・主要諸元
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4295×1790×1460mm(4650×1790×1465mm ※ヴァリアント)
ホイールベース:2620mm(2670mm ※ヴァリアント)
車両重量:1510kg(1520kg ※Advance/1590kg ※ヴァリアント)
乗車定員:5名
最小回転半径:5.1m
燃料タンク容量:56L(無鉛プレミアム)
■エンジン
型式:DNF
形式:水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量:1984cc
圧縮比:9.3
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
最高出力:245kW(333ps)/5600-6500rpm
最大トルク:420Nm/2100-5500rpm
■駆動系
トランスミッション:7速DCT
■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・R4リンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:225/40R18(235/35R19 ※Advance)
史上最速のゴルフGTIが登場。さらに進化を遂げた世界基準のホットハッチ

続いて、新型ゴルフGTIについてもイモー・ブッシュマン氏から紹介があった。
最もバランスの取れたスポーティモデルであるゴルフGTIは、今年で日本発売50周年の節目を迎えることになる。初代GTIは、速度無制限のドイツ・アウトバーンのゲームチェンジャーであり、大型車やスポーツカーなどが流れをリードするという厳格な秩序があったのを、1.6Lエンジンを積む全長4m未満の「スモールボーイ」がその秩序に挑戦し、アウトバーンの追い越し車線をリードしてみせたという。初代GTIは、機械式フューエルインジェクションやABSなどの最新技術を惜しげもなく投入したモデルであり、そうした姿勢は最新のGTIでも変わっていない。


バランスの取れたドライバーズカーとして進化を続けるGTIは、新型ゴルフやゴルフRと同様に、現行型の8代目ゴルフがマイナーチェンジを受けた「ゴルフ8.5」世代になった。心臓部の2.0Lターボは、20PSアップとなる最高出力265PS/5250-6500rpm、370Nm/1600-4500rpmを発揮する。
組み合わされるトランスミッションは、GTIもダイレクト感と素早い変速を兼ね備えているデュアルクラッチの7速DSG。足まわりには、快適な乗り心地と操縦安定性を両立するGTI専用スポーツサスペンションが備わるほか、減衰力やパワーステアリングの特性を瞬時に制御するアダプティブシャシーコントロールの「DCC」をオプションで設定する。ホイールは、専用の18インチアルミホイール、5代目GTIのそれを彷彿とさせるデザインの19インチアルミホイールもオプションで用意している。

エクステリアは、GTIとひと目で分かるハニカムグリルをはじめ、大型フロントスポイラー、ディフューザー付リヤバンパー、ルーフと一体感のあるリヤスポイラーなどが用意され、ゴルフ8.5の特徴であるイルミネーション付きVWエンブレムも目を惹く。リヤビューは、ダイナミックターンインジケーター付LEDテールランプやクロームツインエキゾーストパイプにより先進的かつスポーティなムードを放っている。
GTI伝統のチェック柄シートが目を惹くインテリアは、専用ファブリックシートのほか、オプションでGTI専用シートをチョイスすることも可能だ。インフォテイメントシステムは、ほかのゴルフ・シリーズと同様に、「MIB4システム」と12.9インチの大型タッチスクリーンがオプションで設定され、操作性と視認性を大幅に向上。「IDAボイスアシスタント」の採用により、エアコンなど操作頻度の高い機能は、音声操作にも対応した。
新型ゴルフGTIの価格は、549万8000円となっている。



フォルクスワーゲン・ゴルフGTI・主要諸元
■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4295×1790×1465mm
ホイールベース:2620mm
車両重量:1430kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.1m
燃料タンク容量:51L(無鉛プレミアム)
■エンジン
型式:DNP
形式:水冷直列4気筒DOHCターボ
排気量:1984cc
圧縮比:9.6
ボア×ストローク:82.5×92.8mm
最高出力:195kW(265ps)/5250-6500rpm
最大トルク:370Nm/1600-4500rpm
■駆動系
トランスミッション:7速DCT
■シャシー系
サスペンション形式:Fマクファーソンストラット・R4リンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:225/40R18(235/35R19 ※DCCパッケージ装着車)
パフォーマンスを突き詰めた「R」か? それともオールラウンダーの「GTI」か?
ホットハッチやスポーツワゴンを狙う人にとっては、ゴルフR(ハッチバックとヴァリアント)とゴルフGTIという悩ましい選択肢が揃っている。新型もピュアスポーツとしての高性能を求めるのならゴルフRが適任だろう。一方、乗り心地などの快適性も重視しつつ、一級のスポーツ走行も享受したいのならゴルフGTIがある。
R、GTIのいずれも史上最速モデルとしてユーザーを迎えてくれる。

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