これで最後…日産「レパード」、先進技術満載しスポーティなハードトップの4代目は362万円~【今日は何の日?3月4日】

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月4日は、日産自動車の高級スペシャリティカー「レパード」の4代目が誕生した日だ。3代目が米国生まれの角が取れた柔和なフォルムの4ドアセダンで不評だったことから、4代目は再びシャープな4ドアハードトップとなって人気挽回を図った。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・日産 新型レパードのすべて、80年代日産車のすべて

■最後のレパードとなった4代目

1996年(平成8)年3月4日、日産自動車の「レパード」がモデルチェンジで4代目へと生まれ変わった。1980年にデビューした初代と1986年~の2代目は、ソアラに対抗したハイソカーだったが、人気爆発のソアラの牙城は崩せず、人気挽回を狙った4代目だったが目的は果たせず19年の歴史に幕を下ろした。

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」のリアビュー
日産4代目「レパード」のリアビュー

ソアラより先行して誕生したレパードだがソアラに敵わず

高度成長で好景気を迎えていた1980年、日産から高級クーペのレパードがデビューした。

日産初代「レパード」
1980年にデビューした日産初代「レパード」。トヨタ「ソアラ」より先行して登場したスペシャリティカーだが、ソアラには敵わず

スラントさせたフロントグリルやヘッドライト、長く伸びたボンネット、傾斜のきついリアウインドウなど、スポーティなスタイリングを採用。ボディタイプは、2ドアハードトップと4ドアハードトップの2タイプが用意され、パワートレインは1.8L直4 SOHC、2.0L直6 SOHC、2.8L直6 SOHCの3機種のエンジンと、5速MTおよび3速ATの組み合わせ。その後、2.0Lと2.8Lにはターボが追加された。

日産初代「レパード」
日産初代「レパード」
日産初代「レパード」
日産初代「レパード」の1982年マイナーチェンジで搭載された2L 直6ターボのL20ET型エンジン

デビューとともに高級感あるスポーティなハードトップとして注目を集めたが、1年後にトヨタから「ソアラ」が登場すると状況は一変。ソアラに人気をさらわれ、レパードの陰は薄くなってしまった。

トヨタ初代「ソアラ」
レパード最大のライバル、トヨタ初代「ソアラ」

ソアラは、最新のデジタル技術や高性能DOHCエンジンを搭載したスポーティさと高級感で市場を席巻、後のハイソカーブームをけん引する立役者となったのだ。

2代目は先進技術を満載して再度ソアラに挑戦

ソアラの圧勝で終わった初代の対決に続いて、その巻き返しのために1986年に2代目レパードに移行した。

日産2代目レパード
1986年に登場した日産2代目レパード。トヨタ「ソアラ」を意識して2ドアクーペスタイルのみに集約

ステアリングは、ソアラを意識した高級2ドアクーペスタイルに一新され、インテリアもツイード調の上質シート、カラー液晶デジタルメーターなどで高級感を演出。さらに減衰力を3段階に切り替えるスーパーソニックサスペンションなど、先進技術も積極的に搭載された。

パワートレインは、3.0L V6 DOHCエンジンを筆頭に、2.0L V6 SOHCターボ、2.0L V6 SOHCという3種エンジンと4速ATおよび5速MTの組み合わせ。

雪辱を期して登場した2代目レパードだったが、バブル好景気の影響で人気は得られたが、人気爆発中のソアラには敵わず、販売は期待したほど伸ばせなかった。

3代目は高級クーペから高級パーソナルセダンへ刷新

日産3代目レパード
1992年にデビューした日産3代目レパード。直線基調から丸みを帯びた4ドアセダンに変貌

バブルが崩壊した1992年には、これまでのレパードとはコンセプトが大きく異なる3代目が登場した。大きくコンセプトが変わった背景には、3代目はインフィニティ向けに開発された「J30」を急遽、レパードに仕立てて日本に導入したという苦しい社内事情があったのだ。

その結果、3代目は2ドアを廃止し、4ドアセダンとなり、車名はサブネームが付けられた「レパードJフェリー」となった。これまでの直線基調だったエクステリアは一気に柔和な印象になった。

J30は、本来のターゲットである北米では好評だったが、レパードJフェリーは日本では人気が得られず3代目レパードは大きく販売を落とすことになってしまった。

人気回復を狙った4代目が最後のレパードに

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」

そして1996年3月のこの日、4代目が登場した。4代目は、セドリック/グロリアのプラットフォームや多くのコンポーネントを共有したため、全体的にセドリック/グロリアに似たモデルとなり、ボディタイプは先代の4ドアセダンから4ドアハードトップへ変わった。

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」のリアビュー

エンジンは、先代が搭載していた4.1L V8 DOHCが廃止されて、全車3.0LのV6 DOHCエンジンに統一。パワートレインは、最大出力160psのSOHC NA、220psのDOHC NA、270psのDOHCターボの3種エンジンと、先代同様4速ATとの組み合わせ。駆動方式はFRが踏襲された。

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」搭載の3.0L V6 DOHCエンジン

また安全装備では、全車にSRSデュアルエアバッグシステムとABSを採用。トップグレードには、4輪操舵(4WS:スーパーHICAS)とカーナビなどが装備されたマルチAVシステム仕様が設定された。

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」のシックにまとめられたコクピット
日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」の豪華なシート

車両価格は、標準グレード(NA)が362万円、トップグレード(ターボ)が497万円に設定。当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約427万円、586万円に相当する。

歴代レパード
歴代レパード

4ドアハードトップに戻してブラッシュアップを図った4代目だったが、目論見通りには人気は挽回せず、しかも日産自体の経営状況が逼迫状態に。レパードは、セドリック/グロリアに統合される形で終焉を迎えた。

日産4代目「レパード」
日産4代目「レパード」

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人気のソアラの陰で存在感を示せなかったレパード。その後も、コンセプトが定まらず迷走を続けたことが、ユーザーの心を掴めなった要因となったのだろう。ただし、バブル崩壊以降はレパードに限らず、それまで人気だったスポーティなセダンが低迷したという状況があったのも事実である。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…