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「洗練された和の美学」と「欧州流の重厚感」異なる個性が光る外装・内装




アコードは全長4975mmというゆとりあるサイズを活かし、後席のレッグスペースや頭上空間に余裕がある構成となっている。特に後席は大人が足を組めるほどのスペースが確保されており、長距離移動でも快適性を保てる点が特徴的だ。
一方、A5はスポーツバックのスタイルを採用しており、ルーフラインが後方に向かってなだらかに下がる構造となっている。このためデザイン性には優れるが、後席の頭上空間はアコードに比べてタイトな印象を受けるユーザーもいるだろう。
ただし、日常的な積載に加えて、後席を倒せばラゲッジの拡張も可能となっており、スタイルと利便性をバランスさせた設計といえる。全体として、後席の居住性や荷室の広さを重視するならアコード、洗練されたデザインと使い勝手の両立を求めるならA5という選び方が見えてくる。
ホンダ アコード「e:HEV」
ボディサイズ=全長4975mm×全幅1860mm×全高1450mm
ホイールベース=2830mm
車両重量=1580kg
タイヤサイズ=235/45R18(前後)
アウディ A5 「TFSI 110kW」
ボディサイズ=全長4835mm×全幅1860mm×全高1455mm
ホイールベース=2895mm
車両重量=1750kg
タイヤサイズ=205/60R17(前後)
ともにFFレイアウトながら、異なる走行感をもたらすパワートレイン


アコードは、2.0Lの直列4気筒エンジンと駆動用モーターを組み合わせたe:HEVシステムを採用している。エンジンは発電用として主に機能し、モーターで前輪を駆動するというシリーズハイブリッドに近い制御が特徴だ。そのため発進時や低速域ではエンジン音がほとんど聞こえず、モーターによる静粛性とレスポンスのよさが際立っている。
一方、A5は2.0L直列4気筒ターボエンジンを搭載し、110kW(約150PS)を発生する。トランスミッションはデュアルクラッチ式の7速Sトロニックで、スムーズかつダイレクトな加速が魅力だ。
両車ともFFレイアウトを採用しており、パッケージング効率のよさや燃費性能を優先した設計と言えるだろう。しかし、その走行感は大きく異なり、アコードはハイブリッド特有の滑らかで電動感の強い加速フィールを持ち、A5はエンジン回転にリニアに反応する欧州車らしいダイレクトなドライブ感を楽しめる仕様となっている。
ホンダ アコード「e:HEV」
エンジン形式=直列4気筒ガソリン+モーター
排気量=1993cc
モーター最高出力=184ps/5000-8000rpm
モーター最大トルク=335Nm/0-2000rpm
トランスミッション=電気式無段変速機
駆動方式=2WD(FF)
アウディ A5 「TFSI 110kW」
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボ
排気量=1984cc
最高出力=150ps/3900〜6000rpm
最大トルク=280Nm/1400〜3600rpm
トランスミッション=7速DCT
駆動方式=2WD(FF)
価格差に見合う価値をどう捉えるか、実用重視かブランド重視か


アコードの価格は544万9400円に設定されており、ハイブリッドシステムや先進安全装備、快適装備を網羅しながらも比較的手が届きやすい価格帯となっている。
さらに、装備内容にはBOSEサウンドシステムや最新の「Honda SENSING 360」も含まれ、コストパフォーマンスは非常に高い。そしてなによりアコードは、A5より50万円以上安い。
A5の価格は599万円だ。この価格にはアウディのブランド価値や内外装の仕上がり、欧州車ならではの走行フィール、輸入車としての希少性などが含まれており、単純な装備比較では測れない魅力がありそうだ。
維持費に関しては、ハイブリッドで燃費に優れるアコードの方が有利とされているが、プレミアムカーならではの所有感を重視するユーザーにとっては、A5の方が魅力的に映る場合もある。
使用目的やライフスタイルに応じて、合理性を重んじるならアコード。感性やデザイン、ブランドに価値を見出すならA5という選択が適しているといえるだろう。