数千円から買えるモノも。ホンダF1エンジンのパーツも。HRCが始める「メモラビア」とは?

株式会社ホンダ・レーシング(HRC)は4月2日、『F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2025』(東京都江東区青海NOP区画 お台場特設会場)のF1展示エリアで、メモラビリア事業の開始について発表した。メモラビアとはなんだろう?
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

メモラビリアとは一般的に、スポーツ選手が使っていたユニフォームや道具、写真やカードなどに関し、記念や記憶に値するアイテムを指す。HRCがビジネスとして始めるメモラビリアは、ホンダのモータースポーツにまつわる収蔵品の一部を、オークションやECサイトを通じて販売し、世界中のレースファンやコレクターとホンダのモータースポーツの歴史を共有しようという取り組みだ。

HRCの代表取締役社長 渡辺康治氏

HRCの代表取締役社長 渡辺康治氏はメモラビリアビジネス立ち上げの背景を次のように説明した。

「ホンダはもてぎのコレクションホールや鈴鹿のレーシングギャラリーで歴史的なレーシングマシンをいくつも展示しています。そのうちのいくつかは動態保存し、動く形でしっかり保存するようメンテナンスしています。そのために倉庫の中には、数十年前のエンジンの部品が木箱に入ったままになっています。数多くのレーシングマシンも置いてあります。こうした歴史的なマシンやエンジン、あるいは部品をレースファンの方々と共有できないかと考え、今日に至りました」

本物しか持ち得ない雰囲気。手に入れたいという方も多いのではないだろうか。

会見場には1990年のホンダRA100Eエンジン(3.5L V10自然吸気)の全バラ部品がきれいに整頓されて展示されていた。ホンダではこの状態を「オールパーツディスプレイ」と呼んでいるという。1990年といえば、アイルトン・セナがゲルハルト・ベルガーとのコンビでマクラーレン・ホンダMP4/5Bをドライブした年である。この年、セナは年間6勝を挙げ、自身2度目のドライバーズタイトルを獲得した。

およそ35年間箱詰めになっていた予備のエンジン(動態保存のための予備という意味で、実戦で使用済み)は当時、このエンジンを組み立てた熟練のメカニックが、栃木県さくら市にあるHRCのファクトリーで丁寧に分解したという。油汚れなどは落としているが、ピストンに堆積したカーボンなどはそのままだし、焼け具合も確認できる。

1990年のRA100Eのピストンとコンロッド。

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RA100Eのオールパーツディスプレイの前には、アクリルケースに収められた部品が展示されていた。こちらはベルガーが使ったRA100Eの部品で(「11月4日のオーストラリアGPで使用」とプレートに記してある)、向かって左側からカムシャフト、カムカバー、ピストン&コンロッドである。ケースの中には、間違いなくホンダのレーシングエンジン部品であることを照明するHRC認定証(サーティフィケート)が添付されている。

RA100Eの部品はまず、8月にカリフォルニア州で開催される『モンタレー・カー・ウィーク』で開催されるオークションに出品される。その後、貴重なマシンや部品(F1だけでなく、インディカーや国内レース車両、2輪のモトGP車両も対象とのこと)を、動態保存に影響ないものを見極めたうえで販売する方針だという。

組み上がったエンジンなど高価なものは、オークションで販売される予定。

当面は日本も含めオークションで展開する予定だというが、ECサイトでの販売も考えており、ECサイトに関しては数千円レベルの商品を検討しているとのこと。会見場では集まったメディアにホンダRA272(RA272E 1.5L V12自然吸気)とマクラーレンMP4/6(RA121E 3.5L V12自然吸気)、レッドブルRB16B(RA621H 1.6L V6ターボ)の排気管から出たもの(つまり排気)をごく少量詰め込んだ缶が配布された。

趙マニアックなHondaF1エンジンの排気が詰め込まれた缶詰。試験的にRA272とマクラーレンMP4/6の2タイプがあった。

このホンダF1エンジンの排ガスが入った缶詰、「みなさんの反響が良ければ商品化を検討したい」(渡辺氏)とのこと。いかがだろう。なお、RA100Eのオールパーツディスプレイは、F1日本GP開催期間中の4月4日から6日まで、鈴鹿サーキット内のHonda RACING Galleryにて展示される。

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…