スバル新型フォレスターのプロトタイプはタイヤやブレーキなど細かい手直しに期待!自転車&歩行者用エアバックは日本初だ【清水和夫試乗】

スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター✕清水和夫
国際モータージャーナリスト・清水和夫氏のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』紹介、今回は2.5L水平対向DOHC直噴+2モーターストロングハイブリッドと、1.8L水平対向DOHC直噴ターボの二本立てで登場するSUBARU新型「フォレスター」のプロトタイプを、霙交じりのサーキットで清水和夫が初乗り。さて、元祖スバル乗りの第1インプレはどうだ?
IMPRESSION:清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/MOVIE:StartYourEnginesX/PHOTO:StartYourEnginesX 、中野幸次(Kouji NAKANO)、神村 聖(Satoshi KAMIMURA)、SUBARU/ASSIST:永光やすの(Yasuno NAGAMITSU)

新型フォレスター・プロトタイプの初お披露目&初試走で清水和夫のインプレはどうだ?

2.5L直噴+2モーター e-BOXER(ストロングハイブリッド)モデルのPremium S:HEV/EX、X-BREAK S:HEV/EX、1.8L DOHC直噴ターボ(DIT)モデルのSPORT/EXの3グレード(各2種の仕様別)で発表されたスバル・新型フォレスター。2025年4月3日から先行予約も始まっている。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスターの清水和夫初乗りインプレ

気になるのはその価格だが、まだプロトタイプということで明記されず……なので、モーターファン.jp編集部での予想はこんな感じ。400万円は下らず、最高でも453万円、同グレード差は20万円くらいか。

【SUBARU新型フォレスター 編集部予想価格】
Premium 433万円/Premium EX 453万円
X-BREAK 418万円/X-BREAK EX 438万円
SPORT 401万5000円/SPORT EX 421万5000円

スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスタープロトタイプのフロントビュー
スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスタープロトタイプのリヤビュー

その根拠や各仕様別の特徴などはコチラの記事を参照いただくとして、ココでは『SUBARUのことなら清水親分に聞け!』ということで、2025年も国際モータージャーナリスト&現役ラリードライバーとして駆け抜ける清水和夫氏の1stインプレッションをお届けする。

日本仕様がついに発表!スバルの正統派SUV・フォレスターがフルモデルチェンジ!! ストロングハイブリッドで燃費も改善!? 気になる価格は……

スバルはすでに北米モデルを発表しているSUV、フォレスターの日本仕様を発表。7年ぶりのフルモデルチェンジとなったフォレスターは、正統派SUVとしてさらなる進化を遂げた。その詳細をチェックしていこう。 PHOTO:中野幸次(NAKANO Kouji)/神村 聖(KAMIMURA Satoshi)/SUBARU

テストするには気温、路面温度が厳しすぎた!

スバルにとって「フォレスター」は、相当な収益源になっている重要なモデルなので、かなり力の入った開発をしている。先にアメリカで発表されていたのだが今回、日本でもようやく新型フォレスターのプロトタイプに乗ることができる。試乗ステージは千葉県・袖ケ浦フォレストレースウェイ。今日は幸い?に路面が濡れているので、AWDを試すのにはちょうどいい。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター(プロトタイプ)清水和夫初試乗だが路面温度&気温が厳しすぎるゼ

今乗っているのは、クロストレックと同じトヨタのTHSハイブリッド、エンジンは2.5L水平対抗エンジン自然吸気の『Premium(プレミアム)』で、タイヤはブリヂストンの235/50R19。まぁクロストレックと同じなのだがクルマの質感がフォレスターのほうが上級車種。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
ちょっと気を抜くとケツが流れる!

おっ~とと! ケツが流れるな。タイヤが低転がりちゃんっぽい! 一応M+S(マッド&スノー/オールシーズンタイヤ)なんだけどタイヤが冷えているんだな。今日の路面はちょっとタイヤのウエット性能が心配。外気温は7℃。まぁでもVDC(横滑りコントロール機能)が働くから、多少ケツが流れてもブレーキでつまんでいる。M+Sっていうのはアメリカ向けの、サマータイヤに泥とスノーの性能がチョロっとあるくらいなので、まぁしょうがないか。

PremiumのBSタイヤ
Premiumにはブリヂストンタイヤ、サイズは235/50R19
X-BREAK/SPORTはファルケン
X-BREAKとSPORTにはファルケン 225/55R18を履く

アクセルオフのタックインでケツが流れる! リヤのCP(コーナリングパワー=横滑り角により生じたコーナリングフォースがこの角度に応じ増加する増加率)が足りないな。タイヤの問題もあるけど、今回はプロトタイプで量産仕様ではないのでね。

燃費ならe-BOXER、楽しさはSPORTかな

スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバル新型フォレスター✕清水和夫

ターボ(1.8L DOHC直噴ターボ)とハイブリッド(2.5L直噴+2モーター e-BOXER)を比べると、ハイブリッドの方がブレーキフィールも悪くないしいい感じだ。タイヤもウエットグリップはハイブリッドの19インチの方がちょっといいか(ターボは18インチ)。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
PremiumとX-BREAK(各EXも)には2.5L直噴+2モーター e-BOXERが載る

ステアフィールは最高! 軽くて手応えがあって、センターフィールもしっかりしている。足もいい感じで、適度にしなやかに動くしロールなども安定している。しかもハードボイルドという乗り心地でもない。ターボよりコッチ(e-BOXER)のほうが上質な感じ。まぁ買うならハイブリッドかな。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
SPORTのみ1.8L DOHC直噴ターボとなる

コチラのスポーツ、1.8Lターボにリニアトロニックの金属ベルト型CVT(e-BOXERもCVT)。タイヤは18インチの225/55、銘柄はファルケン。しかし今日はタックインでピンピンお尻が流れる! ウエットグリップはファルケンもBSもちょっと甘いな。クルマはいいんだけど、タイヤ選びに失敗しているんじゃないかなぁ。全然接地感がない。18インチ(ターボ)の方がウエットグリップは悪い感じがする。サイズというよりもメーカー違いの差。クルマはいいんだけどなぁ。

それと、ABSとかVDCが働いた時のブレーキ系のアクチュエーター音が結構する。せっかくステアリングが電動パワステでものすごくいいのに。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
ターボのSPORT、ピュアエンジンはやっぱ楽しい♪
スバル新型フォレスター✕清水和夫
ターボのSPORT、ピュアエンジンはやっぱ楽しい♪

やっぱりターボの方がハイブリッドよりもパンチはあるね。ターボかハイブリッドか…? 燃費を考えたらハイブリッドなんだろうけど、でもこの1.8Lターボも悪くない。

ウエットグリップのあまり良くないタイヤを選ぶというのは、スバルっぽくないね。スバルは燃費よりも、走り重視だから。もともとこの1.8Lターボなんて燃費がいいわけないんだから。

低温時のウエットグリップのいいタイヤ、特にリヤのCP。それが課題!
ハッキリ言っておく。雨の日は気を付けてくれ。

まだまだ十分イケる現行(旧型)と比べてみた

このフォレスターは現行というか今年、新型が出るので前のモデルになる。全長/全幅は新型がそんなにガバっと大きくなっていなく、若干新型のほうが大きいくらいなので、サイズ感はほとんど変わらない。パワートレーンが全然違い、現行は2Lエンジンにマイルドハイブリッドなので、モーターが12kWくらいだったかな。でも以前クロストレックの時にマイルドハイブリッドに乗ったのだが、意外と燃費は悪くなかった。結構この現行、キビキビしているね!

スバル新型フォレスター✕清水和夫
旧型(現行)フォレスターにも乗ったが、まだまだイケるし軽さがいいね

重量はトヨタの新しいストロングハイブイットよりも圧倒的に軽いので、ハンドリングは意外といい。ステアフィールはどのクルマに乗っても最近のスバルは本当にいい。ウエットグリップもこっちのタイヤのほうがいいな。

旧型はダメかな?と思ったけど、そんなことはない。コレ、まだ作り続けてもいいんじゃないかな?と思うくらいバランスもいい。フルモデルチェンジする必要あったのかな!? エンジンだけトヨタのTHS乗っけりゃ良かったんじゃないかな?と思うくらいボディもしっかりしているよ。

【まとめ】路面が厳しすぎてインプレも辛め、でもグレードアップした安全性は高評価!

スバル新型フォレスター✕清水和夫
まだコイツはプロトタイプで市販バージョンとは違う。細かいセットアップに期待だ

今日はサーキットで新型フォレスターの試乗なので楽しみにしてきたのに、霙(みぞれ)混じりの雪で路面温度も低くて! こういう路面だとタイヤのウエットグリップがちゃんと出ないので今日のテストは厳しいかな?と思ったら、実際走ってみてもやっぱり厳しかったね。結構ツーっていったりとかアンダー出たりオーバー出たり。それはタイヤと路面が合わない気温のせいという問題。

クルマ全体は、まぁまぁなかなかいい感じで仕上がっていると思う。すでにクロストレックでトヨタのハイブリッドシステムを入れていたので、その2作目っていうこと。

PremiumとX-BREAKの2.5LエンジンとTHSのストロングハイブリッドe-BOXER。パワートレーンは文句ないし、ステアフィールもすごくいい。全部いいかと思ったら、ちょっとタイヤのウエットグリップとかは問題あり。まだプロトタイプなので完全な評価っていうのはできないのだが、ちょっとブレーキのところが甘いかな?というのもあった。

これからのミドルクラスSUVとして、このフォレスターには頑張って欲しいね。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
サイクリストにまで対応した『歩行者保護エアバッグ』
スバル新型フォレスター✕清水和夫
サイクリストにまで対応した『歩行者保護エアバッグ』がボン!

アイサイトも標準装備だし(※各「EX」グレードには「アイサイトX」が標準装備)、それにサイクリストにまで対応した『歩行者保護エアバッグ』というのが登場した。おそらくこれは日本では初めて。ヨーロッパではボルボだったか?が使っているが、日本メーカーはまだ歩行車用のエアバックすらやってないところに、今回スバルは自転車のサイクリストにまで対応する大型のエアバックが採用された。これでスバルが絡む死者数を減らしていく、2030年にスバル車死亡0!ということが達成できる。アイサイトとこの歩行車&サイクリスト対応エアバック、この2つの技術でスバルの安全性がかなり高まっていくと思う。

しかし、『0次安全(ゼロジアンゼン)』と言われるドライビングポジションや視界性能というのが最も大事。そういう意味でも相変わらずスバルは視界性能がいいし三角窓もあるしAピラーが視界を邪魔しないというところにおいては、スバルの安全思想というのはずっと貫かれている。

スバル新型フォレスター✕清水和夫
スバルの視界性能のよさは素晴らしい!

そこに、プロペラシャフト付だが四輪駆動(AWD)との組み合わせ、しかもXドライブということ。あとオプションだと思うがハーマンのオーディオが15万円くらいで付くのだが、聴いてみるとなかなかいい音がしていた。

ハーマンカードン
harman/kardon(ハーマンカードン)のオーディオもいいよ
ハーマンカードン
harman/kardon(ハーマンカードン)のオーディオもいいよ

フォレスター、1番上のクラスだと400万円近くになると思うが(清水氏予想)、かなり魅力的なSUVとして市場に投入されるのかなと思う。いろいろコメントしたが、まだこれはプロトタイプ。量産に向けてまだまだ細かいところのセットアップが進むと思うので、そこも期待したい。

【SPECIFICATIONS プロトタイプ値・開発目標値】
車名:SUBARU FORESTER Premium/X-BREAK/SPORT
全長×全幅×全高:4655×1830×1730mm
室内長×室内幅×室内高:1950×1540×1270mm ※サンルーフ装着車は室内高1255mm
乗車定員:5名
ホイールベース:2670mm
最小回転半径:5.4m
車両重量:Premium 1750~1780kg/X-BREAK 1730~1770kg/SPORT 1640~1660kg
エンジン種類:Premium/X-BREAK 2.5L DOHC 直噴+2モーターe-BOXER(ストロングハイブリッド)/SPORT 1.8L DOHC直噴ターボ
燃料タンク容量:63L(無鉛レギュラー)
エンジン最高出力:Premium/X-BREAK 118kW(160ps)/5600rpm/SPORT 130kW(177ps)/5200-5600rpm
エンジン最大トルク:Premium/X-BREAK 209Nm(21.3kgf・m)/4000-4400rpm/SPORT 300Nm(30.6kgf・m)/1600-3600rpm
モーター最高出力:Premium/X-BREAK 88kW(175ps)
モーター最大トルク:Premium/X-BREAK 270Nm(27.5kgm)
高電圧バッテリー 種類/電池容量/定格電圧:Premium/X-BREAK リチウムイオン電池/4. 3 Ah/259V
WLTCモード燃料:Premium 18.4km/f/X-BREAK 18.8km/f/SPORT 13.6km/f
駆動方式:四輪駆動(AWD)
トランスミッション:リニアトロニック(CVT)
ステアリング:ラック&ピニオン
サスペンション(前/後):ストラット式独立懸架/ダブルウィッシュボーン式独立懸架
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後):Premium 235/50R19/X-BREAK/SPORT 225/55R18

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著者プロフィール

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、N1耐久や全日本ツ…