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■セリカの上級モデルとして登場したセリカXX
1978(昭和53)年4月13日、日本のスペシャリティカーの先駆けとなったトヨタ「セリカ」の2代目をベースにした上級スペシャリティカー「セリカXX」がデビューした。セリカは若者層を、セリカXXは年齢も収入も少し上の層をターゲットしたワンランク上のモデルである。


セリカXXのベースは、日本初のスペシャリティカー「セリカ」
1970年、日本初のスペシャルティカーとして「セリカ」がデビューした。



セリカのスタイリングは、ジェット機の翼に採用されている層流翼を意識した断面形状をベースに、ロングノーズのピラーレス・ハードトップのクーペスタイル。エンジンは、1.4L&1.6L直4 SOHCのシングルキャブ仕様とツインキャブ仕様、さらに「1600GT」に搭載された最高出力115ps/最大トルク14.5kgmの1.6L直4 DOHCの4種。駆動方式はFRで、トランスミッションは3速ATおよび4速&5速MTが用意された。


さらに、セリカのデビューから2年後の1973年にセリカの人気をさらに加速させた「セリカLB」がデビュー。最大の特長は、なだらかな傾斜を持つ開口可能なテールゲートをヒップアップさせたリフトバック(LB)スタイルである。
2.0L直4 SOHC&DOHCエンジンを追加して、パワーアップしたエンジンで圧巻の走りをアピールした。

スポーツカーのようなスタイリングと性能を持ち、快適性も重視した先進のスペシャリティカーのセリカとセリカLBは多くの若者を魅了。1970年代に日本でスペシャリティカーというジャンルを切り開いたのだ。
上級スペシャリティカーのセリカXX(海外名:スープラ)

上級スペシャリティカーのセリカXX(A40/50型)は、2代目セリカをベースにワンランク上のグランドツーリングカーとして、1978年にデビューした。車名の“X”は、最大のライバルである日産「フェアレディZ」の“Z”を意識したものとされている。

フロントノーズを長くして全体的にボディを拡大。トヨタのTをあしらったフロントグリルに角形ヘッドライト、ボディ同色のウレタンバンパー、鏡面仕上げのセンターピラー、横長のリアコンビネーションランプなどで、スポーティさと高級感の両立を図った。
パワートレインは、最高出力125psの2.0L、140psの2.6L直6 SOHCの2種のエンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ、駆動方式はFRを継承。セリカの4気筒から6気筒エンジンに変更して差別化を図り、北米向けではスープラを名乗り、フェアレディZに対抗した。

車両価格は、標準グレード157.6万円(2.0L)/171.8万円(2.6L)。当時の大卒初任給は10.2万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約355万円/387万円に相当する。
高級化した分、価格も高かったので、大人のスペシャリティ感が強く、日本よりもむしろ北米でスープラとして人気を獲得した。
3代目セリカXXから日本でもスープラを名乗る

セリカXXは、1981年の2代目(A60型)を経て、1986年にモデルチェンジして3代目(A70型)となった時点で、日本でも海外名スープラを名乗った。3代目スープラは、ロングノーズ&ショートデッキで構成される3ドアハッチバックで、リトラクタブルヘッドライトや大型エアカットフラップなどを採用し、シャープなシルエットが特徴だ。


トップグレード「3000GTターボ」には、当時最強の230psを発生する3.0L直6 DOHCインタークーラー付ターボを筆頭に、日本初のツインターボを搭載した2.0L直6 DOHCとNA(無過給)エンジンも用意され、多くのファンを魅了した。

そして1993年に登場した4代目(A80型)は、シャープなシルエットだった先代から一転、エアロダイナミックを追求した低重心の迫力あるフォルムに変貌し、テールを大胆に切り落としたウェッジシェイプが特徴だった。また走り自慢の4代目スープラは、スーパーGTの前身であるJGTC(全日本GT選手権)で他を圧倒する走りを見せた。

個性的なスタイリングと力強い走りで日米で高い人気を獲得した4代目スープラだったが、2000年を迎えて排ガス規制や燃費規制に膨大なコストがかかるようになり、2002年にいったん生産を終了。しかし、2019年5月に17年振りに新型「GRスープラ(DB型)」が待望の復活を果たしたのだ。
ダイナミックなロングノーズ/ショートデッキの低重心フォルムに、最高出力340psを発揮するBMW製3.0L直6ターボを搭載して大きな注目を集めた。
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初代セリカXX=初代スープラではあるが、アメリカではXXに性的・暴力的なイメージがあるため、海外向けはスープラと名乗ったという事情があった。セリカXXのように、海外で悪いイメージに捉えられる日本車名や発音しづらい日本車名は海外名を変更するのが通例である。
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