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本格派スポーツモデルへと進化した2ペダル仕様

「ヤリス・ファミリーの一員」であることを謳いながら一部外観でベーシックなハッチバック・バージョンとの共通性をアピールするものの、実際はボディのプロポーションや骨格構造、さらにはそこに搭載されたランニングコンポーネンツなど「すべてが別モノ」と表現しても過言ではない内容を備える〝戦うクルマ〞が、2020年に正式発表された「GRヤリス」。
エクステリア




ここに紹介するのは、発売後に得られた知見を基に、より高い運動性能や走る楽しさの実現、さらには修復性のアップまでを狙ってさまざまなリファインを加えたという24年にマイナーチェンジが実施された最新のバージョンだ。これを機に初期から設定されていた2ペダル仕様のトランスミッションはCVTから8速ステップATへと〝フルモデルチェンジ〞され、組み合わせるエンジンも自然吸気1.5ℓユニットから他モデルと共通のターボ付き1.6ℓユニットへと換装。さらに、その駆動方式もFFから他のモデルが採用してきた4WDへと変更するなど、基本的な車両キャラクターを大きく変えることになっている。
乗降性


外観のイメージはマイナーチェンジ以前のモデルと大きく変わらないものの、フロントのロワグリルに薄く軽量でかつ高強度なスチールメッシュ、バンパーのロワサイドには修復性向上のために分割構造を新採用。新たに点灯時に左右がつながるテールランプなども採用している。テストドライブを行なったのは”プレミアムスポーツシート〞を標準で装備するなど、カタログ内の最上級に位置する「RZハイパフォーマンス」の新たに設定されたAT仕様。マイナーチェンジで最高出力が272PS→304PS、最大トルクが370Nm→400Nmへと引き上げられた心臓は相変わらずパワフルで低回転域でのトルクも太い。
インストルメントパネル

「GR-DAT」という名称が与えられた新トランスミッションは、日常のシーンで扱う限りは「ごくオーソドックスなトルコン式ステップAT」という印象。「ノーマル」の走行モードでは変速ポイントも常識的な設定で、特別なATを操っているという印象は皆無だ。
居住性


ADAS機能が充実しているのは見逃せないポイントで、前車追従機能付きレーダークルーズコントロールが装備されるのはAT仕様ならでは。ただし、パーキングブレーキが手動式で停止保持機能をもたないため、停車後は直ちに作動がキャンセルされてしまう点には要注意。第8速ギヤでの100㎞/hクルージング時にエンジン回転数は1800rpmほどで、MT仕様6速時のおよそ2500rpmよりもグンと低い。
うれしい装備





大幅改良発表 24年1月12日
月間販売台数 405台(24年6月~11月平均)
WLTCモード燃費 12.4km/ℓ ※6速MT車

ラゲッジルーム


「スポーツ」の走行モードを選択してアグレッシブなドライビングスタイルに挑むと、高速になっても低いギヤをキープする制御が行なわれると同時に、減速時には次の加速へと向けた積極的なダウンシフトを敢行し、Dレンジのままでもほとんどシフトパドルへと触れることなくスポーツ走行に理想的なギヤがセレクトされる。多くのアマチュアドライバーにとってはATの方がよりスピーディかつ安全で安定した「パドル要らず」のスポーツドライビングを楽しめることは間違いなさそうだ。

