『トーマスランドエクスプレス』とは、東京駅と山梨県富士吉田市にあるアミューズメントパーク『富士急ハイランド』とを結ぶ、富士急行が走らせている急行高速バスです。『トーマスランド』とは、イギリスで製作され世界的に愛されている幼児向け3DCGアニメーション番組『きかんしゃトーマス』をモチーフにしたテーマパークで、『富士急ハイランド』の園内に設置されています。この『トーマスランド』へ遊びに行く「急行=エクスプレス」高速バスということで、『トーマスランドエクスプレス』と言い、バスの全体に『きかんしゃトーマス』の仲間たちが描かれたラッピングが施されています。
現在では東京駅から『富士急ハイランド』を結ぶ急行高速バス路線そのものを『トーマスランドエクスプレス』と呼ぶこともあり、また、前記の急行高速バス路線を走行していなくても、『きかんしゃトーマス』のラッピングを施したバスすべてを『トーマスランドエクスプレス』と呼ぶこともありますので、その意味はかなり広くなっています。
さて、『トミカ』の『No.29 トーマスランドエクスプレス』は、車種で言うと日野自動車の『日野 セレガ』という大型観光バスの2代目モデルになるようです。この『日野 セレガ』の2代目モデルはボディやシャシーすべての見直しにより、斬新なデザインとともに抜群の走行性能を持つバスとして2005年に登場しました。乗客はもちろんバス事業経営者、ドライバーさんやガイドさん、さらに整備者や製造事業者にいたるまで、関係するすべての人々に“喜んでもらう”ことを目標に掲げて開発されました。この面では『きかんしゃトーマス』や『トーマスランド』の理念と相通じるものがあるかもしれません。また、この2代目モデルはいすゞ自動車の大型観光バス『ISUZU ガーラ』の2代目モデルと兄弟車の関係にあります。このためマニアの間では“セレガーラ”などという愛称(?)で呼ばれることもあります。
さて、『日野 セレガ』の2代目モデルは、“弾けるような元気─そして、おもてなしの心”をデザインコンセプトに、乗客がバスに対面した瞬間から楽しい旅を予感できるようなデザインを狙いとしています。外観ではオリジナリティあふれるアクセントピラーとオーナメントランプ、室内ではドーム天井と自動車用で初採用となるLEDファイバー照明など癒しの空間を演出する照明デザインが特長で、広い荷物棚、フラットフロアなど機能的にも優れたものとなり、2005年グッドデザイン賞の栄誉も獲得しています。また、前後パネルにはFRP樹脂を採用し、板金プレスでは難しいディティールが表現できたことも特徴の一つです。
さらに静かな室内、ソフトな乗り心地によってさらなる感動をもたらすべく、サスペンションを前後ともに新開発。サージタンクの追加、ロッドレイアウト・ブッシュの最適化を図ったことなどで、、振動レベルを初代モデルから30%低減しています。さらに、ショックアブソーバー、エアスプリングを常に最適にコントロールすることで、走行安定性と乗り心地の両立も実現した電子制御システムも設定しています。
2005年にデビューしているため、『日野 セレガ』が『トミカ』になるのは実は初めてではありません。しかしながら過去に発売されたものとは決定的な大きな違いがあります。『トーマスエクスプレス』は高速路線バスなので、『トミカ』の『No.29 トーマスランドエクスプレス』の左前方のドアは、観光バス仕様で一般的に用いられているスライドドアではなく、路線バスに多く見られる中折れ式を再現したものになっています。こういった細かな違いがさりげなく再現されているのも『トミカ』の侮れないところです。
■日野 セレガ ハイデッカ 2RG-RU1E型 床上トイレ付 都市間路線用 主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)
全長×全幅×全高(mm):11990×2490×3500
ホイールベース(mm):6080
トレッド(前/後・mm) :2030/1820
車両重量(kg):15685
エンジン形式:E13C-AE型 直列6気筒ディーゼル
排気量(cc):12913
最高出力:331kW(450ps)/1700rpm
最大トルク:1961Nm(200kgm)/1100rpm
トランスミッション:6速MTまたは6速AMT(ProShift6)
サスペンション(前/後):独立懸架式エアサスペンション/車軸式エアサスペンション(4輪電子制御空気圧式)
ブレーキ(前後) :空気式&ドラム(主)/圧縮開放式(補助)
タイヤ:(前後):295/80R22.5