ネクスト・チャプター第2弾・LEXUS LXは、SUVモデルの頂点を極めたか【瀨在仁志の新型車チェック】

LEXUS LX600 “OFFROAD” (7人乗り)1290万円〜
次世代レクサス。ネクスト・チャプターの第2弾モデルとして、SUVモデル・LXにようやく試乗することができた。NXから始まったレクサスの第2章、LXはSUVモデルの頂点を極めたか? 注目のLX600 “OFFROAD” をジャーナリスト・瀨在仁志がチェック。

TEXT&PHOTO:瀨在仁志(Hitoshi SEZAI)

デザインだけでなくその乗り味にも注目

NXから始まるレクサスの第2章は、それまでの特徴的なスピンドルグリルをボディと一体化させることで、EV化に向けてのグリルレスデザインに狙いを定め、スピンドルボディ・コンセプトとして進化させていくと聞く。

従来どおりの大型グリルだが、縁取りがなくさらに上質さが増したように思える

確かに、LXを見ると大型のグリル周りにもかかわらず横基調のデザインは従来のような縁取りはなく、ライトやエアダクトへと連続性を持たせる工夫が感じられる。重量級で筋肉質のボディラインは、スピンドルボディに向けての成長過程といったイメージだが、それまでの厳つさや無骨さを払拭しつつあり、レクサスらしい上質感をしっかりと作り込んでいる。

デザイン以上に進化のあとを見せるのが走りだ。ご存じのとおり先にデビューしたランドクルーザーとシャシーを共有しているものの、乗り味は洗練度を極めた。ステアフィールは電動化されたことによって機械的な細かな振動や不用意な反力などがなく、操作に対して常にスッキリとした手応えをもってドライブできる。

切り増ししていったときの重さ加減は、線形的に増加していくと同時に反応も正確で、従来の電動パワステのような舵抜け感が少なく、不安なく切り込んでいける。ボディが重量級で足元までのつながりも距離があるだけにダイレクト感を出すのは困難を極めるはずだが、サスペンションとの協調が良く、精度の高い操舵性能を実現した。

このフィーリングであれば、オフロードに入っていっても、ステアリングキックバックによるドライバーへの負担は少ないだろうし、外乱に対する押さえ込みも行ないやすく、荒れ地での走りにも大いに期待が持てる。

なかでも、今回の試乗車であるLX600 “OFFROAD” は、ほかのグレードが20・22インチタイヤを履くのに対し、ハイトの高い18インチの265/65を採用、前後デフには唯一機械式ロック機構を持たせることで、極悪路での高い接地力と駆動力を確保。それでいながら通常試乗においては、オフでの逞しさを微塵も感じさせないほどカドのない乗り味と静粛性を極めて、レクサスブレンドらしい本格4WDモデルに仕上げられている。

まさに匠の技の賜! だが……

市街地においては重量級モデルにもかかわらず、足元の動きがしんなりと路面を追従し、ロードノイズもシャットアウト。パワーをかけていったときの蹴り出しはセンターデフを有する常時フルタイム4WDモデルならではの安定した駆動力によって、パワーをスムーズに伝達。大きなタイヤを暴れさせることなく加速態勢に入れることでボディ全体が沈み込むような安定感を持つ。
もっとも高速域での安定感に関してはステアリングの座り感はしっかりしている一方でフロントの直進力はやや甘い。このあたりはメルセデスのGクラスやレンジローバーのように、ステアリングはルーズでもクルマ自体が強力な直進力を持って突き進むのとは一線を画す。

エンジンはV6の3.5ℓガソリンターボユニットを積み、従来のV8ユニットに比較してフロントの重さによる、ゆるめのハンドリング性能から、正確さをグンとアップ。ルーフやボンネット、全ドアパネルをアルミ化することによる200kgほどの軽量化の効果も大きく、ロールの進行も穏やかだ。

形式:3.5ℓV型6気筒DOHCターボ
型式:V35A-FTS型
排気量:3444cc
ボア×ストローク:85.5mm×100.0mm
最高出力:415ps(305kW)/5200pm
最大トルク:650Nm/2000-3600pm

エンジンフィールは極低速域からでもパワーの立ち上がりに隙がなく、重量級のボディを意識させない。10速ATとの組み合わせによる、加速、変速時のショックが削り取られているうえに、エンジン自体の揺れも少なく、速度の上昇による乗り味の変化が小さいのが良い。音、振動に関してはシャシー同様にエンジンも徹底的に対策が施され、すべてにおいて磨き込まれた印象を受けた。
オフでの強力な走破力こそがこのシャシー本来の持ち味に違いないはずだが、レクサスではオンでの走りと快適性に徹底的にこだわり、ドライ性能の進化と共に高級サルーンのような仕上がりを見せた。この走り込みと作り込みによる精度の高い仕上がりこそがレクサスの持つブランドと、匠の技の賜。

匠の技は伝統技術同様に金額に換算できないもの、と考えるとこの価格も理解はできる一方、共有シャシーモデルとの価格差を見ると大きな差がありすぎることは確か。
LXは間違いなく日本を代表するSUVとして頂点を極めたが、もう少し価格を抑えてほしかった。

レクサスLX600 OFFROAD(7人乗り)
 
 全長×全幅×全高:5100mm×1990mm×1885mm
 ホイールベース:2850mm
 車重:2580kg
 
 サスペンション:F/ダブルウィッシュボーン式
         R/トレーリングリンク式
 駆動方式:AWD
 
 エンジン
 形式:3.5ℓV型6気筒DOHCターボ
 型式:V35A-FTS型
 排気量:3444cc
 ボア×ストローク:85.5mm×100.0mm
 圧縮比:-
 最高出力:415ps(305kW)/5200pm
 最大トルク:650Nm/2000-3600pm
 燃料供給:D-4ST(筒内直接+ポート噴射)
 燃料:プレミアム
 燃料タンク:80ℓ

 最小回転半径:6.0m
 
 燃費:WLTCモード8.1km/ℓ
 市街地モード:5.5km/ℓ
 郊外モード:8.4km/ℓ
 高速道路モード:9.8km/ℓ
 
 トランスミッション:10速AT

 車両本体価格:1290万円~
 ※OFFROADには5人乗り・7人乗りモデルがある。

著者プロフィール

瀨在 仁志 近影

瀨在 仁志

子どものころからモータースポーツをこよなく愛し、学生時代にはカート、その後国内外のラリーやレースに…