自在感の高さが味わえるイーグルF1のフラッグシップ「SUPER SPORT」

グッドイヤー「イーグルF1 SUPER SPORT」が日本初上陸!公道で真価を試した!

グッドイヤーのスポーツタイヤである「イーグルF1」シリーズ。そのフラグシップモデルである「イーグルF1 SUPER SPORT」が、日本初上陸を果たした。ローンチではなく“初上陸”という言葉を使ったのは、このタイヤが2019年に、既にデビューを飾っていたからだ。ちなみに'19年はグッドイヤーがWEC(FIA世界耐久選手権)をはじめとする国際レースに復帰した年であり、レース用タイヤの名前にも「スーパースポーツ」の名称を用いることで、同社のプロモーション活動を盛り上げたのだという。
REPORT:山田弘樹

イーグルF1 スーパースポーツのキャラクターは「サーキットレベルの性能をカバーしたロードタイヤ」である。とはいえそれは国産メーカーの“Sタイヤ”や、ミシュラン パイロットスポーツ 「CUPシリーズ」のようなサーキット走行に主眼を置くタイヤではない。グッドイヤーの場合、このレンジは「スーパースポーツRS」(日本未導入)が対応する。

つまりイーグルF1 スーパースポーツは、卓越したドライ性能に加え高いウェット性能をも獲得するオールラウンダー。そのターゲットはポルシェ 911GT3やロータス・エミーラといったUHPセグメント(ウルトラ・ハイパフォーマンス)のスポーツカーであり、グッドイヤーは自らその性能をウルトラUHPタイヤと表現している。

イーグルF1 スーパースポーツは、4つの技術で構成される。

ひとつ目は「デュアルプラステクノロジー」と呼ばれるダブルコンパウンド技術で、U字型に配置したドライ走行用コンパウンドの中央部分に、ウェット走行に適したソフトなコンパウンドリブを3列配置するのが特徴となっている。ちなみにこのコンパウンドを採用したことで時速100km/hからの制動性能は、イーグルF1 アシンメトリック5に比べドライ路面で1%、ウェット路面で4%向上したという(ABS作動時)。

ふたつ目は「パワーショルダーテクノロジー」。その名の通り左右非対称トレッドによってショルダー部のブロックを大型化し、コーナリング時の接地面積を最大限に確保している。

3つ目は「パワーラインカバーテクノロジー」。これは内部構造の強化で、アラミドとナイロン素材を混紡したオーバーレイヤーをベルトの上にかぶせることによって、遠心力が高まる高速域でのトレッド変形を抑制。踏面における接地面積を広く保つことで、操縦安定性を高めている。

最後は「ハイフォースコンストラクションテクノロジー」だ。これはビードで折り返したカーカス(タイヤの基本骨格となるコード素材)をトレッド面まで巻き上げることによって、タイヤの側面(サイドウォール)を強化する技術。ここが強化されることによってタイヤがねじれたときも、腰砕けせずにタイヤの接地性変化を穏やかにすることが可能になる。

こうした4つの技術を搭載するイーグルF1 スーパースポーツを、当日はトヨタ GRヤリスに履かせて試乗することができた(225/40ZR18)。また車種が異なるため純粋比較とはいかないが、イーグルF1 アシンメトリック5を装着したスバル BRZ(6MT)との乗り比べも行った(215/40R18)。

スーパースポーツを走らせてまず感じるのは、剛性感の高さだ。構造はもちろんコンパウンドまでもが分厚くしっかりした感触を持っており、まっすぐ走らせているだけでも安心感がある。そしてハンドルを切ったときのレスポンスが良く、普通に運転しているだけでもとても気持ちよい。

EAGLE F1 SIPER SPORT + GRヤリス

EAGLE F1 SUPER SPORT

そんなシッカリ感を持ちながらも、乗り心地が予想以上に良かったのも評価できるポイントだ。トレッド中央に配置されるウェット用のソフトコンパウンドが、ある程度乗り心地にも効いているようだ。

ただし静粛性においては、明らかに違いがある。アシンメトリック5は路面からの細かい入力を巧みに減衰した上で、ロードノイズをもきちんと抑えている。また乗り心地も、パワークッションと呼ばれるベースコンパウンドとしなやかなトレッドコンパウンドの連携で、ワンランク上のプレミアムライドを実現している。

対してスーパースポーツは、より高負荷領域でタイヤの変形を抑えることに重きを置いているため、低負荷領域だと逆に路面の凹凸にタイヤが追従せず、ロードノイズが大きくなる。

走り比べて面白かったのは、スーパースポーツの方が「タイヤが軽い」と感じたことだ。実際には補強が多く入っている分だけスーパースポーツの方が重たいのだが(しかもトレッド面は今回1サイズ大きい)、バネ下での収まりが良く、乗り味が軽やかなのである。

それにはGRヤリスの足周りの良さやターボパワーが車輪を回す力の差、4WDが持つトラクション性能の高さも当然関係している。しかしそれと同じくらい、スーパースポーツのグリップ力と、前述した剛性の高さ(変形のしなさ度合い)が、タイヤを軽く感じさせているのだと思う。

EAGLE F1 ASYMMETRIC 5 + SUBARU BRZ
EAGLE F1 ASYMMETRIC 5

肝心な走りは、ワインディングレベルでは甲乙付けがたい。

なぜならアシンメトリック5でさえ、思わず唸ってしまうほど上質なグリップ性能を持っているからである。ブレーキングからターンインに掛けてはタイヤが路面を“コシ”のあるグリップでじわっと捉え、ハンドル切り込めばほどよいしなりをもって旋回姿勢を安定させてくれる。アクセルを踏み込んでもそのトラクションは確かなグリップ感を維持し、自信をもってFRマシンであるBRZを走らせることができる。

BRZはノーマルだと18インチのタイプSにミシュラン パイロットスポーツ4を装着しているが、アルミ鋳造となるフロントナックルとの兼ね合いか、トレッド剛性の高いパイロットスポーツ4だとタイヤを押さえつけ切れていない印象があった。

対してアシンメトリック5はよりしなやかに路面へと追従し、個人的にはだがこちらの方がそのグリップを引き出せているように感じた。ただもっと言えば、1290kgと軽量なBRZより重たいクルマの方が、さらにプレミアムな乗り味を得ることができるとも思う。そう、アシンメトリック5は単なるスポーツタイヤではなく、コンフォート性能を備えたスポーツタイヤなのだ。

対して真打ちとなるスーパースポーツは、いい意味で底が見えなかった。ブレーキングできちんと荷重を掛けてもトレッド及びケースはこれを軽々と受け止め、少ない変形で旋回へとそのGをつなげる。その荷重移動のスピードは極めて素早く、ハンドルを切れば、切った通りにクルマが曲がって行く。普通に走っている限りはそのオンザレール感覚が、すこぶる気持ちよい。しかし走らせるほどに、自分の“アラ”も見えてくる。無駄に曲げれば、無駄に曲がってしまうのだ。

そういう意味で言うとスーパースポーツは、ビギナーにとって非常に自在感の高いタイヤであり、筆者のような運転好きには、クルマを美しく走らせることを追求できるタイヤだと言える。ただその真のキャパシティを満喫したいなら、行くべきはサーキットだろう。より高負荷な領域での耐熱性やグリップ力、トレッド及びケース剛性の高さを味わってこそ、その価値が解ると思う。

今回はそのウェット性能を確認できなかったが、総じてイーグルF1 スーパースポーツは、グッドイヤーの狙い通りに仕上がっていたといえるだろう。日常的に愛車を使いながらも時にはサーキットを思い切り走りたいというユーザーには、もっともバランスが取れたチョイスである。ただ、個人的にはその相対的なグリップレベルの低さを楽しむという意味も含めて、アシンメトリック5でも十分にクローズドコースを走れるタイヤだと思う。だからより日常にコンフォート性能を求める場合は、こちらを選ぶのも大いにアリだ。

イーグルF1 アシンメトリック3 SUV

今回は、イーグルF1シリーズのSUV用タイヤとなる「アシンメトリック3 SUV」にも試乗した。これはその名の通り「アシンメトリック3」をベースにSUV用へと適正化されたタイヤで、位置づけとしては同社の「エフィシエントグリップSUV HP01」や「エフィシエントグリップ パフォーマンスSUV」の上位に位置する、スポーツ性能とプレミアム性能を高めたSUV用フラグシップモデルとなる。

テクノロジー的にはスーパースポーツ同様、その内部構造にハイブリッドオーバーレイヤーを採用することで高負荷時におけるタイヤの変形を防ぎ、同時に転がり抵抗の低減や、耐摩耗性をも向上。さらにそのコンパウンドに粘性レジンを加えたことで、ハンドリング性能とブレーキング性能を高めているという。

果たしてその印象はというと、正にアシンメトリックシリーズと呼ぶに相応しいタイヤに仕上がっていた。しなやかさとシッカリ感を高い次元でバランスさせる、上質なスポーティタイヤである。ただ試乗車の三菱アウトランダーはオフロード走行をも想定したSUVだから、その足周りがソフト過ぎて正直マッチングはあまりよくなかった。アシンメトリック3 SUVも十分にしなやかなタイヤなのだが、それでも若干剛性バランスで勝ってしまうのだ。だからマッチングとしては、よりハイパフォーマンスなオンロード性能を持つ、ポルシェ・マカンやアルファロメオ ステルヴィオのようなSUVがぴったり来ると思う。

EAGLE F1 ASYMMETRIC 5
EAGLE F1 ASYMMETRIC 5 + MITSUBISHI OUTLANDER

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