今回試乗したのは、ハリアーがハイブリッド車の「Z“レザーパッケージ”」。CX-5はディーゼル車の「XDエクスクルーシブモード」。いずれもFF車で、ハリアーは最上級グレード、CX-5は最上級グレード「Lパッケージ」をベースとして装備内容をさらに上級化した特別仕様車だ。
エクステリアを見比べると両車とも、老若男女問わず好かれるであろう、優美で高級感がありながらもSUVらしい力強さも兼ね備えた、完成度の高いデザインとなっている。
ただしハリアーは、リヤのウィンカーとバックランプがバンパーの低い位置に内蔵されており、車庫入れなどの際に損傷するリスクが高いのは明らか。またブレーキランプも含めて発光部が細く小さく、被視認性の面で疑問符が付く。
またハリアーの方が、全長は205mm、全幅は15mm大きく、その一方でホイールベースは10mm短く(=前後オーバーハングが長く)、最低地上高は20mm低く、最小回転半径は0.2m大きい。自宅の車庫や近隣のスーパーマーケット駐車場などが狭い、あるいは傾斜や段差が大きい場合は、問題なくアプローチできるかどうか、購入前に試乗しよく確かめた方が良いだろう。
運転席まわりもデザインの方向性は同様だが、ハリアーの方がよりモダンで質感が高い印象。またセンターディスプレイはCX-5の10.25インチに対しハリアーは12.3インチと大きく、しかもよりドライバー側に設置されているため視認性は高い。なお、ハリアーがタッチパネル、CX-5がダイヤルとスイッチでの操作となっているのは、好みが分かれる所だろう。
その一方、ハリアーはエアコン・オーディオなどの操作パネルがピアノブラックの静電タッチ式となっており(注:「Z」系グレードのみ。「G」系および「S」はボタン&ダイヤル式)、EPB(電動パーキングブレーキ)やドライブモード切り替えのスイッチがシフトレバーの奥に配置されているのは、操作性の面で大いに疑問が残る。同じGA-Kプラットフォームを用いるRAV4が、悪路や寒冷地でも操作しやすいインターフェイスを備えていただけに、クルマの性格の違いはあれど残念でならない。
メーターパネルもやはり、両車ともモダンなテイストだが、文字が小さく細身なうえ、目盛りの刻みも細かいため、視認性は今ひとつ。ハリアーはさらに、中央のマルチインフォメーションディスプレイが他のトヨタ車と同様のデザインで、左右のメーターとデザインの整合性が取れていないのが、高級車としては気になる所だ。
ここまでは両車とも同様の傾向を示していたが、フロントシートは性格の違いが最も端的に現れたポイントだろう。ハリアーは全体的に柔らかめだがCX-5は表皮が柔らかい一方でクッションは硬く、乗る人の体重や走行距離・時間で評価が大きく分かれるだろうと感じられた。
だがリヤシートは両車ともクッションが柔らかく、ルーズな姿勢をある程度許容する快適性重視の設計。ただしハリアーはヘッドクリアランスに余裕がなく、身長176cm・座高90cmの筆者が座ると頭上に手の平が入る程度だった。
ラゲッジルームはハリアーの方がホイールハウスやサスペンションの張り出しが少なく、フロア下にも収納スペースが豊富なため使い勝手は良好。ただし両車とも、後席の背もたれを倒しても若干の傾斜が残るため、小さめの荷物をたくさん積み込むのは難しいだろう。しかしながら長尺物に関しては、4:2:4分割可倒式のCX-5の方が、後席の居住空間をさほど犠牲にせず積載することが可能だ。