絶好調トヨタ・ハリアーに死角あり!? 今なおコスパ抜群なマツダCX-5はどこが強い?

絶好調トヨタ・ハリアーに死角あり!? 今なおコスパ抜群なマツダCX-5はどこが強い?

トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”
トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”
2020年度の販売台数が9万台弱と、2020年6月の発売以来絶好調の新型トヨタ・ハリアー。しかし、それ以前はCセグメントSUVの中で圧倒的な走りと内外装の質感、そしてコストパフォーマンスの高さを備えていた現行マツダCX-5に対し、死角はないのだろうか? 首都圏から本栖湖までを往復する各400km前後を走り、今なおCX-5がハリアーを上回っているポイントを探った。

REPORT&PHOTO●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
【トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”(FF)】全長:4740mm、ホイールベース:2690mm、最低地上高:190mm、最小回転半径:5.7m
【トヨタ・ハリアーハイブリッドZ“レザーパッケージ”(FF)】全長:4740mm、ホイールベース:2690mm、最低地上高:190mm、最小回転半径:5.7m
全幅:1855mm、フロントトレッド:1605mm
全幅:1855mm、フロントトレッド:1605mm
全高:1660mm、リヤトレッド:1625mm
全高:1660mm、リヤトレッド:1625mm

今回試乗したのは、ハリアーがハイブリッド車の「Z“レザーパッケージ”」。CX-5はディーゼル車の「XDエクスクルーシブモード」。いずれもFF車で、ハリアーは最上級グレード、CX-5は最上級グレード「Lパッケージ」をベースとして装備内容をさらに上級化した特別仕様車だ。

【マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード(FF)】全長:4545mm、ホイールベース:2700mm、最低地上高:210mm、最小回転半径:5.5m
【マツダCX-5 XDエクスクルーシブモード(FF)】全長:4545mm、ホイールベース:2700mm、最低地上高:210mm、最小回転半径:5.5m
全幅:1840mm、フロントトレッド:1595mm
全幅:1840mm、フロントトレッド:1595mm
全高:1690mm、リヤトレッド:1595mm
全高:1690mm、リヤトレッド:1595mm

エクステリアを見比べると両車とも、老若男女問わず好かれるであろう、優美で高級感がありながらもSUVらしい力強さも兼ね備えた、完成度の高いデザインとなっている。

ただしハリアーは、リヤのウィンカーとバックランプがバンパーの低い位置に内蔵されており、車庫入れなどの際に損傷するリスクが高いのは明らか。またブレーキランプも含めて発光部が細く小さく、被視認性の面で疑問符が付く。

またハリアーの方が、全長は205mm、全幅は15mm大きく、その一方でホイールベースは10mm短く(=前後オーバーハングが長く)、最低地上高は20mm低く、最小回転半径は0.2m大きい。自宅の車庫や近隣のスーパーマーケット駐車場などが狭い、あるいは傾斜や段差が大きい場合は、問題なくアプローチできるかどうか、購入前に試乗しよく確かめた方が良いだろう。

ハリアーの運転席まわりはモダンで上質だが操作性にやや疑問が残る。センターディスプレイの視認性は高い
ハリアーの運転席まわりはモダンで上質だが操作性にやや疑問が残る。センターディスプレイの視認性は高い
CX-5の運転席まわりは上質ながら機能性を重視した設計。センターディスプレイは視認性にやや難あり
CX-5の運転席まわりは上質ながら機能性を重視した設計。センターディスプレイは視認性にやや難あり

運転席まわりもデザインの方向性は同様だが、ハリアーの方がよりモダンで質感が高い印象。またセンターディスプレイはCX-5の10.25インチに対しハリアーは12.3インチと大きく、しかもよりドライバー側に設置されているため視認性は高い。なお、ハリアーがタッチパネル、CX-5がダイヤルとスイッチでの操作となっているのは、好みが分かれる所だろう。

ハリアーのセンターコンソール。EPBなどのスイッチがシフトレバーの奥に配置されている
ハリアーのセンターコンソール。EPBなどのスイッチがシフトレバーの奥に配置されている

その一方、ハリアーはエアコン・オーディオなどの操作パネルがピアノブラックの静電タッチ式となっており(注:「Z」系グレードのみ。「G」系および「S」はボタン&ダイヤル式)、EPB(電動パーキングブレーキ)やドライブモード切り替えのスイッチがシフトレバーの奥に配置されているのは、操作性の面で大いに疑問が残る。同じGA-Kプラットフォームを用いるRAV4が、悪路や寒冷地でも操作しやすいインターフェイスを備えていただけに、クルマの性格の違いはあれど残念でならない。


ハリアーのメーターパネル
ハリアーのメーターパネル

CX-5のメーターパネル
CX-5のメーターパネル

メーターパネルもやはり、両車ともモダンなテイストだが、文字が小さく細身なうえ、目盛りの刻みも細かいため、視認性は今ひとつ。ハリアーはさらに、中央のマルチインフォメーションディスプレイが他のトヨタ車と同様のデザインで、左右のメーターとデザインの整合性が取れていないのが、高級車としては気になる所だ。

ハリアーのフロント本革シート。座面長は51cm、背もたれの高さ(ヘッドレスト除く)は62cm(いずれも筆者実測)
ハリアーのフロント本革シート。座面長は51cm、背もたれの高さ(ヘッドレスト除く)は62cm(いずれも筆者実測)
CX-5のフロントナッパレザーシート。座面長は49cm、背もたれの高さは61cm(同)
CX-5のフロントナッパレザーシート。座面長は49cm、背もたれの高さは61cm(同)

ここまでは両車とも同様の傾向を示していたが、フロントシートは性格の違いが最も端的に現れたポイントだろう。ハリアーは全体的に柔らかめだがCX-5は表皮が柔らかい一方でクッションは硬く、乗る人の体重や走行距離・時間で評価が大きく分かれるだろうと感じられた。

ハリアーのリヤシート。座面長は51cm、背もたれ高は62cm、ニークリアランスは15cm、ヘッドクリアランスは5cm(同)
ハリアーのリヤシート。座面長は51cm、背もたれ高は62cm、ニークリアランスは15cm、ヘッドクリアランスは5cm(同)
CX-5のリヤシート。座面長は49cm、背もたれ高は61cm、ニークリアランスは15cm、ヘッドクリアランスは10cm(同)
CX-5のリヤシート。座面長は49cm、背もたれ高は61cm、ニークリアランスは15cm、ヘッドクリアランスは10cm(同)

だがリヤシートは両車ともクッションが柔らかく、ルーズな姿勢をある程度許容する快適性重視の設計。ただしハリアーはヘッドクリアランスに余裕がなく、身長176cm・座高90cmの筆者が座ると頭上に手の平が入る程度だった。

ハリアーのラゲッジルーム。後席背もたれは4:6分割可倒式。奥行きは98~185cm、幅は98cm、高さは71cm、開口部地上高は80cm(同)
ハリアーのラゲッジルーム。後席背もたれは4:6分割可倒式。奥行きは98~185cm、幅は98cm、高さは71cm、開口部地上高は80cm(同)
ハリアーのラゲッジフロア下。前後スライドが可能なトレーを備え、その下の工具入れにも開口部側に三角停止板などを収納できるスペースがある
ハリアーのラゲッジフロア下。前後スライドが可能なトレーを備え、その下の工具入れにも開口部側に三角停止板などを収納できるスペースがある
CX-5のラゲッジルーム。後席背もたれは4:2:4分割可倒式。奥行きは96~175cm、幅は104cm、高さは79cm、開口部地上高は73cm(同)
CX-5のラゲッジルーム。後席背もたれは4:2:4分割可倒式。奥行きは96~175cm、幅は104cm、高さは79cm、開口部地上高は73cm(同)
CX-5のラゲッジフロア下。ボーズサウンドシステム装着車は工具入れの中央にサブウーファーが鎮座するため、残された収納スペースはごくわずか
CX-5のラゲッジフロア下。ボーズサウンドシステム装着車は工具入れの中央にサブウーファーが鎮座するため、残された収納スペースはごくわずか

ラゲッジルームはハリアーの方がホイールハウスやサスペンションの張り出しが少なく、フロア下にも収納スペースが豊富なため使い勝手は良好。ただし両車とも、後席の背もたれを倒しても若干の傾斜が残るため、小さめの荷物をたくさん積み込むのは難しいだろう。しかしながら長尺物に関しては、4:2:4分割可倒式のCX-5の方が、後席の居住空間をさほど犠牲にせず積載することが可能だ。

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著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…